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私立中高進学通信

2026年8月号

実践報告 私学の授業

日出学園中学校

授業で培い、学校生活で実践
深化する探究的「情報」教育

情報科の学びが、学校を動かしていく生徒の力に
情報科専任教諭の武善先生と現生徒会、生徒会OBの皆さん。情報科の授業を行うメディアルームには、にぎやかな装飾が施され、“楽しく学ぶ”工夫も。

情報科専任教諭の武善先生と現生徒会、生徒会OBの皆さん。
情報科の授業を行うメディアルームには、にぎやかな装飾が施され、“楽しく学ぶ”工夫も。

 同校では、情報科の授業で学んだ知識を、生徒会運営やアプリ開発へと直結させています。ICT教育を“身近な課題解決”と結びつける探究的な学びが、主体的に動き、動かす生徒を育てているのです。

ICT教育を実生活へ
探究学習として深化させる
ICT化を推進する、情報科の武善紀之先生。ICT化を推進する、情報科の武善紀之先生。

 日出学園の情報科教育は、ICTの知識や使用スキルの習得のみに終わらせず、“活きた探究学習”につなげている点が特徴です。

「情報科では、プログラミング・データサイエンス・情報デザインの3つを実践を通して習得できるようにして、学校生活の課題解決につなげています。校内のピクトグラムの改善案や、生成AI(Gemini)を用いた試験にも使用できる時間管理アプリの開発、オープンデータを分析した課題提案と議論での合意形成スキルなど、実習を中心に発表・改善・創作を重ねて、情報の授業を実生活とリンクさせています」(情報科/武善紀之先生)

 高校の情報科授業は通常2単位ですが、同校では最大8単位を取得可能です。その単位数の多さは、情報科教育を、科目を横断する探究学習の一環として、身近な課題解決に活かしてほしいという考えの表れです。

「一般的に『総合的な探究の時間』では社会課題の解決をテーマにしがちですが、本校の情報科が重視するのは“身近な不便”の解消です。そうした実社会でこそ役立つ探究意識、課題解決意識を身につけてもらうことを心がけています」(武善先生)

生徒会活動を変革する
デジタルスキルの実践
生徒会長を務め、ICT知識も豊富なYさん(高2)。生徒会長を務め、ICT知識も豊富なYさん(高2)。

 探究的な情報科の学びを、学校生活に役立てている好例が生徒会活動です。

「生徒会ではミーティングなどを行う際に、QRコードによる出欠システムを使っています。僕が昨年、情報の授業で学んだ生成AIのスキルを用いて開発したもので、役員間の連絡がかなり便利になりました」(Yさん/高2・生徒会長)

 生徒会からの連絡を掲示するデジタルサイネージ(電子看板)の製作・設置や、生徒会公式サイトの充実など、生徒会と生徒をつなぐツールとしてのデジタル活用にも積極的です。

中学生ながら生徒会公式サイトの運営に携わるAさん(中2)。中学生ながら生徒会公式サイトの運営に携わるAさん(中2)。

「私は生徒会長のYさんに協力してもらいながら、生徒会公式サイトの充実に取り組んでいます。これまで紙で配っていた生徒会新聞『Student Times』も、現在は生徒会のサイトで閲覧できます。サイトにはデジタル目安箱をつけたので、生徒総会の議題になるような意見がもっと集まってくるように、より良い活用方法を模索しています」(Aさん/中2・生徒会役員)

 全校生徒が活発に議論を交わす生徒総会の運営も、デジタル化が進んでいます。取材に参加してくれた2018年卒業の生徒会OBの尾崎正和さんは「僕が生徒会議長だった約10年前、生徒総会の議題への投票を、iPadを使ってデジタル化し、即時開票を実現しました」と話します。

「特にコロナ禍中は全校集会を開くのが難しかったので、『Google Meet』を使って各教室のプロジェクターとつないで生徒総会を開き、議事を動画で表現するなど工夫を凝らすようにしました。尾崎さんが作ってくれたデジタル投票システムも含め、今も過去のシステムを改善、取捨選択しながら生徒総会を運営しています」(Yさん)

 生徒会では現在、2025年度の生徒総会で議題にあがった校内のWi-Fi環境整備に取り組んでいます。

「日出学園では全生徒がChromebookを使っていますが、校内の場所によってはWi-Fiが弱く、接続に苦労するという意見が多くありました。そこで、生徒会からもポケットWi-Fiの一時的使用許可などを提案しつつ、さらなる改善案を学校に提示するため、再調査を進めているところです」(Nさん/高3・前生徒会役員)

卒業生との協働で加速する
探究的なアプリ開発授業
生徒会活動で得た学びを、アプリ開発に活かすNさん(高3)。生徒会活動で得た学びを、アプリ開発に活かすNさん(高3)。

 高3選択授業の「情報Ⅱ」では、生徒が生成AIを活用して開発したアプリを、『日出学園アプリストア』というサイトを通して全生徒に公開しています。使用感をアンケートで答えてもらい、制作者はアプリの改善に役立てるという探究的施策を行っています。Nさんは仲間と開発したイベント出欠管理アプリ『SUNRISE出欠』をストアで公開し、改良を続けています。

「一緒に手がけた吹奏楽部の友人が、部内の出欠管理に苦労していたことが、開発のきっかけです。学年やクラスごと、委員会や部活動ごとのイベント出欠確認を、自分のスケジュールと融合してカレンダーに表示できるよう、武善先生から助言をいただきつつ、生成AIに何度も質問を投げてブラッシュアップしてきました」(Nさん)

 この授業では、尾崎さんが仲間と開発した、アプリのアイデアを生み出すためのフレームワーク『BeYouSheet』を活用。同校をよく知る先輩との、世代を超えた連携も生まれています。

「本校OBでデジタル分野の専門家でもある尾崎さんに協力してもらい、最新のICT知識を学ぶ機会も設けています。本校は2024年度よりDXハイスクールに採択されています。今後も生成AIを代表とする新たな知識やスキルを授業に採り入れ、より探究的・実践的な情報科教育を強化していきます」(武善先生)

「情報Ⅱ」の授業でNさんが開発したイベント出欠管理アプリ『SUNRISE出欠』のサンプル画面。
直感的で使いやすく、実用的で細かな工夫が満載です。

ココも注目!
アプリ開発の授業に
同校OB開発の『BeYouSheet』を活用
情報教育の専門家として母校の授業で協働する生徒会OBの尾崎さん。情報教育の専門家として母校の授業で協働する生徒会OBの尾崎さん。

「情報Ⅱ」の授業で使用されている『BeYouSheet』は、アプリのアイデアを創出するためのフレームワーク。同校OBの尾崎正和さんが代表を務め、活動の場を韓国やシンガポールにも広げている学生向けアプリ開発支援コミュニティ「Swift Student Community Japan」のワークショップ用に開発されました。同校の生徒たちは、出欠アプリを開発したNさんのように、『BeYouSheet』を使って身近な困り事をアプリに落とし込んでいます。

「もともと『BeYouSheet』は、自分を取り巻く環境を、徐々に視点を広げながら整理して書き込んでいくワークシートです。その書き込みから気づきを得て、“どんな人に、何を、どうしてもらうアプリにしたいか?”という発想を、アプリの仕様設計へと落とし込みます。今回は授業で使うものなので、シートの内容を学校内の環境に関するものへと改変しました。母校の授業に貢献できるのはうれしく、やりがいも感じますね」(尾崎さん)

授業用に虹色のシートへと改変された『BeYouSheet』。「クラスメート」~「学校全体」まで、周囲の環境へ向ける視野を段階的に広げて、考察を深めていきます。

授業用に虹色のシートへと改変された『BeYouSheet』。
「クラスメート」~「学校全体」まで、周囲の環境へ向ける視野を段階的に広げて、考察を深めていきます。

(この記事は『私立中高進学通信2026年8月号』に掲載しました。)

日出学園中学校  

〒272-0824 千葉県市川市菅野3-23-1
TEL:047-324-0071

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