私立中高進学通信
2026年7月号
未来を切り拓くグローバル教育
八千代松陰中学校
IGSコースは中1全員でベトナムへ!
異文化理解の原体験を刻む
世界遺産・ハロン湾での体験学習や、日本へ技能実習生を送り出している教育機関の見学など、
ベトナム社会の多様な側面を体感できるプログラムも実施。ベトナムで充実した6日間を過ごしました。
『IGS(6カ年特進)コース』の中1生は、全員がベトナム研修に参加します。現地フィールドワークやホームステイを通して得た「驚き」は、6年間の学びを支える「問い」の原点になっていきます。
生きた英語体験と
「探究」の場としてベトナムを選択
「個人のもち味を活かす教育」を実践している八千代松陰。国際教育や探究活動を重視し、世界で活躍できる視野と発信力の育成に力を注いでいます。
同校では、2024年度より、中高一貫の精鋭コースとして『IGS(6カ年特進)コース』(以下、IGSコース)を新設。最難関国公立・私立大学や海外大学への進学を見据え、ハイレベルな教育を展開しています。その取り組みの一つとして、中1の1年間を通し、探究学習と海外研修での実践的な国際交流を組み合わせた『グローバル・チャレンジ・プログラム』を新たに導入しました。IGSコースの中1生は、1学期から事前学習に取り組み、2月には6日間のベトナム研修に参加します。中1での海外研修先にベトナムを選んだ理由について、IGSコースを担当する前川大知先生は次のように語ります。
「ベトナムでは英語が公用語ではないものの、学びや仕事の場面で英語を活用する人が多くいます。英語を通じて、国や文化を越えて人とつながることができる。そのことを生徒たちに実感してほしいと考えています」
1・2学期の事前学習では、外部講師によるグループワークを通して、社会課題の見つけ方や解決に向けた多様なアプローチを学習。秋には日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所を訪問し、ベトナムの経済発展の歩みや日本との関わりについて理解を深めました。
その上で、『ベトナムで何を見つけ、何を探究したいか』を意識しながらテーマを設定し、ベトナム研修に臨みました。
ベトナム人家庭への
ホームステイも経験
滞在4~5日目は、現地の私立インターナショナルスクール「日本国際学校」で、同世代の生徒と交流を深めました。研修前半は、ベトナムの大学生と共に行うフィールドワークです。探究活動で立てた「問い」を携え、街を視察・調査するユニークな取り組みです。
「高い英語力をもつ彼らとコミュニケーションを図りながら進めるフィールドワークは、英語を使って探究的な学びに取り組む貴重な経験となりました。ベトナムの人々への取材では、大学生に通訳をお願いするグループもありました」
研修後半には、インターナショナルスクールを訪問し、同世代の生徒と一緒に授業や文化交流を体験。さらに、現地生徒宅でのホームステイにも挑戦しました。受け入れ家庭の多くは、日本に進出している企業の経営者や社員の家庭です。英語を共通言語として、生徒たちはベトナムの人々の暮らしに触れながら、自然な形で英語によるコミュニケーションを重ねていきました。
帰国後はグループで探究学習のまとめに取りかかり、その成果を発表しました。
「生徒たちは現地の学生との議論を通じて、理論だけでは動かない現実を知りました。多様な価値観や社会の現実に触れたことは、今後の学校生活や語学学習への大きな原動力になるはずです。こうした経験が、国際的な視野で物事を捉える原体験になってくれればと思います」
2日目はデジタル人材育成で知られるFPT大学の学生とともに、事前学習で決定した探究テーマを調査するフィールドワークに出発。英語を使いながらリサーチを進めます。
3日目には世界遺産・ハロン湾の鍾乳洞を訪れ、ベトナムの自然に触れました。
FPT大学にも実際に訪れ、大学生のサポートのもと、各生徒が「将来の夢」を英語で発表しました。参加生徒インタビュー
ベトナム「屋台」の衛生改善を探究
英語は“使う”ことで身につくと実感
S・Rさん(IGSコース・中2)ベトナム研修では、「オールドクォーターの屋台の衛生環境」をテーマに探究を行いました。ハノイの旧市街は屋台文化で有名ですが、観光客にとっては食中毒のリスクも課題となっています。そこで僕は、その原因が個人の衛生意識だけではなく、設備や制度にもあるのではないかと考えました。
事前に「石けんや流水が使えるか」「冷蔵設備があるか」などのチェックリストを作成し、現地で実際に屋台を調査。さらに、日本の福岡にある屋台街とも比較したところ、ハノイでは特に水回りの設備が十分ではないことが見えてきました。
フィールドワークでは、現地の大学生と積極的に英語で交流しました。大学での交流授業では、「将来は投資家になりたい」という夢を英語で発表する場面もありました。完璧な英語ではなくても、自分の考えが伝わったことで自信につながり、英語は学ぶだけでなく、実際に使うことが大切なのだと実感しています。
「もっと英語を話せるようになりたい」
初の海外経験で学ぶ意欲が向上
N・Kさん(IGSコース・中2)出発前は「英語が通じるかな」と不安でいっぱいでした。フィールドワークでは英語の聞き取りが思うようにできず、自分から話すことにも苦労したので、英語が得意な友達に頼る場面もありました。
ホームステイでは、同い年の女の子と、日本語を勉強しているお姉さんがいる家庭に宿泊しました。お姉さんとはアニメ好きという共通点があり、一緒に日本の『クレヨンしんちゃん』の映画を見たり、散歩へ出かけたりするうちに、自然と仲良くなっていきました。
現地大学との交流授業では「福祉の仕事に就きたい」という将来の夢を英語でスピーチし、気持ちをしっかり伝えられたと感じています。この研修を通して、「英語が話せないもどかしさ」を強く実感する一方で、ホームステイでは海外の人と交流する楽しさも味わえました。これからさらに英語を勉強し、また海外に行きたいと思っています。
ベトナムで経験した
“良質な失敗”が学びを変えた
IGSコース担任/前川大知先生生徒たちは、屋台の衛生問題やバイクによる交通渋滞、大気汚染などの環境課題について調査し、自分たちなりの解決策をまとめて現地で発表を行いました。本人たちは「良いものができた」と探究内容に自信をもっていましたが、現地の学生に向けて発表したところ、想像以上に厳しい意見が返ってきました。
社会課題を解決するには、ベトナムの気候や地理的条件、経済的な事情に加え、そこで暮らす人々の生活や価値観まで考慮しなければなりません。その難しさを、身をもって実感したのです。こうした“良質な失敗”を中1の段階で経験できたことは、生徒たちの今後にとって大きな財産になると思います。
帰国後の生徒たちは、自分たちがいかに恵まれた環境で学んでいるかを自覚したことで、日々の学習への向き合い方が根本から変わりました。特に、日本で働くために懸命に日本語を学ぶベトナムの若者の姿を目の当たりにして、強い衝撃を受けたようです。研修を経て、「学んだことをこれからどう生かしていくか」という視点をもつ生徒が増えたように感じています。
(この記事は『私立中高進学通信2026年7月号』に掲載しました。)
八千代松陰中学校
〒276-0028 千葉県八千代市村上727
TEL:047-482-1234
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