Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2024年4月号

キャリア教育の現場から

八千代松陰中学校

全国医療アイデアフォーラムで
医学部志望の4人が優勝!

左から高1の伊藤杏真さん、高2でリーダーの石井沙由梨さん、伊東伶さん。背後に写っているのはCPAP。山木戸さんはこの日、演劇部の全国大会に出場のため欠席。

左から高1の伊藤杏真さん、高2でリーダーの石井沙由梨さん、伊東伶さん。
背後に写っているのはCPAP。
山木戸さんはこの日、演劇部の全国大会に出場のため欠席。

全国の中高生がヘルスケア課題解決のアイデアを発表するフォーラムで、八千代松陰の高1・高2チームが全国優勝。一時はテーマの変更を考えるほど準備に難航しましたが、全員の努力と担当教員のサポートで栄冠を勝ち取りました。

医学部志望のチームが挑戦
医療課題解決プログラム
担当教員/相澤拓弥先生担当教員/相澤拓弥先生

 豊かな自然のなかに広大なキャンパスを有し、最新の教育設備を備える八千代松陰。「生徒の持ち味を生かす教育」を実践し、その一環としてキャリア教育に力を注いでいます。

 今回取材したのは、高1の伊藤杏真さん、高2でリーダーの石井沙由梨さん、伊東伶さんの3人。この3人に高1の山木戸さんを含む4人は、最難関国立大学や医学部などをめざすAEM(英数特進)コースで医学部進学を志望しています。山木戸さんが声をかけて集まった4人のチーム「LUCE」(ルーチェ:イタリア語で光の意)は、2023年12月3日に開催された中高生が医療系課題解決のアイデアを発表するフォーラム「i-GIP2023」で全国優勝を成し遂げました。

「私たちが参加したのは、東大や東京医科歯科大などの学生が『若者の力でいのちを守る社会を創る』ために集まった団体『inochi WAKAZO Project』が主催するプログラムです。関東・関西・北陸・九州の4地区から全国大会に駒を進めた7校が『睡眠時無呼吸症候群』をテーマに課題を設定、約8分間、解決方法を発表しました」(石井さん)

「i-GIP2023」は5月の書類審査の後、ミーティングやビデオ審査を経て、10月29日に関東大会、12月3日に全国大会というスケジュール。運営側から提案された課題から彼らが選んだのは、「無呼吸防止用の特殊マスク(CPAP)を使用した治療からの離脱者を減らすこと」でした。

壁にぶつかってからが勝負
先生の一言で奮起

 4人はCPAP療法の離脱者を減らすための解決策を発表することになりました。課題解決のために医療論文を読み、専門クリニックで医師や患者からヒアリングをして課題に対する理解を深めました。

「課題解決のために私たち高校生にできることを見つけるのが難しく、9月中旬までかかりました。一時は別のテーマに変えようかと思ったほどです」(石井さん)

 そんな時、担当教員の一言が彼らを奮起させました。

「学問も同じですが、研究をすればするほど、自分にできることは何もないように思えます。あるいはアイデアが浮かんでも、すでに先人が研究済みだというのはよくあることです。彼らには、『もうやることがない』と思ってからが勝負だと伝えました」(担当教員/相澤拓弥先生)

 ある時、睡眠時無呼吸症候群に悩む女子のクラスメートが漏らした

「CPAPを固定するためのヘッドギアをつけて寝ると、朝起きたときに髪が乱れて大変」という一言に、メンバーはピンときたと言います。

「髪が乱れるなんて些細なことなので、患者は医師に相談しない。だからこそ、私たちが取り組む意味があると思いました」(伊東さん)

4人の連携で見事優勝
今も商品化を模索

 それからの彼らの行動は早く、100円ショップでヘア小物を山のように購入し、CPAPのヘッドギアに装着して髪トラブルを防ぐための実験を繰り返しました。

「僕は髪の毛が短いので実感できなかったけれど、課題を発見してその防止策を考えるのが面白かったです」(伊藤さん)

 10月の関東大会まで、多くの専門家にアドバイスをいただきながら、解決策をブラッシュアップしていった「LUCE」。なかには「髪トラブルなんて取り上げるほどのことではない」という辛口な意見もありましたが、そんな話は患者から聞いたことがないという専門医の言葉にメンバーは自信をもちました。

「最終的に、ヘアカーラーの素材をヘッドギアの後頭部に当たる部分に装着しました。商品化に際してもローコストで製造することができます」(石井さん)

「LUCE」は、追い込みが功を奏し、関東大会で優勝しました。全国大会までは、ヒアリングに協力してくれた医師から紹介された台湾の医療機器メーカーと、英語でメールのやり取りやZoom会議をし、商品化への道筋を探りました。

 大会前日のリハーサルでは、メンバーは緊張して思ったようにプレゼンできなかったと言います。

「われわれがプレゼンするのは優勝するためではなく、睡眠時無呼吸症候群の友人、専門クリニック、患者さんなど、世話になった方々の役に立つためだと彼らに伝えました。例えば、受験勉強をするのは大学入学のためではなく、自分がやりたい仕事に就くためですよね。中高生は目の前のことに精一杯で、真の目的を忘れがちなんです」(相澤先生)

 本番では4人とも落ち着いて発表することができ、見事、優勝に輝きました。現在も商品化に向けて、メーカーとやりとりを重ねています。

CPAPを装着することで発生する問題について説明する伊東さん。CPAPを装着することで発生する問題について説明する伊東さん。
関東大会の会場にて、フォーラム終了後の笑顔。関東大会の会場にて、フォーラム終了後の笑顔。
大阪市で行われた全国大会、優勝時の写真。大阪市で行われた全国大会、優勝時の写真。
関東大会のオフショット。関東大会のオフショット。
「i-G I P2023」で学びました!
伊藤杏真 さん(高1)

「i-GIP2023」に参加するまで、自分の考え方と他人の考え方はそんなに違わないだろうと思っていました。でも今回、メンバーや患者さんと話をして、自分には考えつかない意見に触れることができて、たくさんの“気づき”がありました。

 将来は大好きな昆虫と医学を結びつけて、人の役に立つ仕事をしたいと思います。


石井沙由梨 さん(高2)

 私は今回、リーダーを経験しましたが、メンバーに指示を出すのが難しかったです。相手にわかりやすく指示を伝えるにはどうしたらいいか、指示を受けた人のことを考えて、適切な言葉を使うように心がけました。

 私は児童精神科医をめざしています。子どもだけではなく、親御さんをはじめとした家族にも寄り添って、みんなが幸せになるように頑張りたいです。


伊東 伶 さん(高2)

「i-GIP2023」を通して、人と人とのつながりの大切さを再認識しました。私は小さい頃から医療に携わりたいと思っていましたが、今回患者さんにヒアリングをしてみて、患者としてだけではなく、人として見ることでわかることがあると、つくづく感じました。

 大学卒業後は、最新の医療技術と患者が必要としている治療を、マッチングさせられるような仕事に就きたいと思います。

進学通信 2024年4月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ