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私立中高進学通信

2024年4月号

進化する高大連携

東京女学館中学校

大学の学びを体験して将来を
思い描き主体的な進路選択へ

北里大学 物理学教授による講義の様子の写真です。

『高1探究導入講義』で実施された北里大学 物理学教授による講義
『光と物質の相互作用~光を調べると何がわかる?~』の一コマ。
高校の物理から一歩踏み込んだ学びに、生徒たちは知的好奇心を大いに刺激されます。

大学のアカデミックな学びを高1で体験し、クオリティーの高い探究学習・論文執筆へとつなげる同校の『高1探究導入講義』。主体的な進路選択を促す取り組みについてお聞きしました。

探究と論文執筆を包括した
高大連携プログラムが始動
井上聡先生の写真です。副教頭/井上聡先生

『高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成』を教育目標に掲げる東京女学館。一つの課題を皆で共有し、それぞれが主体的な視点をもって解決する力の育成をめざし、『インクルーシブリーダーシップ教育』を推進しています。

 これに伴い、2022年度より、高大連携プログラムの一環として『高1探究導入講義』を始動しました。高1を対象に北里大学、東京女子大学の教授や、自衛隊中央病院の自衛隊医官を招いて多彩な講義を行う試みで、生徒はそれぞれ興味のある講義に参加します。2022年度は歴史・社会学・情報整理学・哲学・国際関係・医学・海洋生命学など幅広いテーマの講義を14コマ(1コマ50分)、2023年度は12コマの講義を実施しています。

 この『高1探究導入講義』は、同校が推進する探究学習と論文執筆に大きく結びついています。同校では1991年度より課題研究と称した論文執筆を実践してきました。現在では、高1初めに探究導入講義によってテーマの種を得て、1年間をかけてテーマを決定します。そして高2では、5000字の課題論文に取り組みます。

「論文を書くためには、問いを立て思考を深め、さまざまなアプローチで考察し、結論を導くプロセスを経る必要があります。こうした経験を通じて、社会に出てから必須となる、多角的に考察し、論理的に伝えるスキルや論文を書く力の育成をめざします。
『高1探究導入講義』で大学教授の講義を経験することは、論文テーマを決める一助となっています。高校の時点で大学の幅広い分野の学問、研究者の熱意に触れられるのは大きな利点です。
 文理選択や大学での研究、将来の職業へとより具体的に思いを巡らせ、主体的な進路選択へもつながると考えています」(副教頭/井上聡先生)

手厚いサポートを受け
5千字の論文を仕上げる

 高1の1学期に『高1探究導入講義』を受講した生徒たちは、グループワークを主体とした『探究』の授業で、得た知識や研究手法を参考に自身のテーマの方向性を定めます。そして、似通ったテーマの同級生とグループになり、夏休み中に大学の研究室や美術館などを訪れてテーマを掘り下げていきます。

 2学期にはまとめた資料をクラス内でプレゼンテーションしたり、個々のテーマ設定についての改善点を話し合ったりするなどの過程を経て、論文のテーマを設定します。時間をかけてテーマ決めをするのは、論文を書くに足るしっかりとしたテーマを、生徒一人ひとりが設定するためです。

 高2からは個人で探究を進め、論文を執筆していきますが、生徒4名に教員が1名付き、学術的な論文を書けるよう、丁寧に指導していきます。さらに、大学院の博士課程に在籍する卒業生チューターが、論文を書く力をつけるよう手厚いサポートを行っています。

「プレゼンを行う前には『高1探究プレゼン講座』、論文を執筆する前には『高2探究論文の書き方講座』を開講するほか、チュータールームで個別の論文指導をしています。最初は調べ学習に近かった文章が、最終的にはきちんとした論文に仕上がり、生徒たちは大きく成長します」(チューター/松永真理子さん)

 論文の最終提出は高2の秋。2年間の最後には全生徒の活動が探究論文集という形にまとめられ、優秀作品は表彰されます。

「自ら興味のある分野を掘り下げて探究し論文を執筆することは、主体的に高い志をもち、学部・学科を選ぶことにつながります。
 グローバル社会において、東京女学館が掲げる『人と社会に貢献する女性の育成』の“人”は世界の人であり、“社会”は国際社会です。今後はさらにグローバルな視点を取り入れ、学びが深まり広がる環境を提供していきたいと考えています」(井上先生)

グループで論文のテーマ決めを行う高1生の写真です。グループで論文のテーマ決めを行う高1生。教員が作成したオリジナルのワークシートに必要事項を書き込むことで探究したい分野を絞り込み、論文のテーマを明確に設定できるよう工夫しています。
防衛医科大学校を卒業後、自衛隊病院で働く医師が『高1探究導入講義』に登壇している写真です。防衛医科大学校を卒業後、自衛隊病院で働く医師も『高1探究導入講義』に登壇。この講義をきっかけに医学の道に興味をもつようになった生徒もいます。
やりたい学びに出会えた! 『高1探究導入講義』
生徒インタビュー1
好きなことを突き詰める楽しさ
自分の特性を知ることができました
Iさん写真です。Iさん/高2

 論文テーマは「鉄道は今、安全・快適だろうか」としました。幼少の頃から大好きな鉄道について探究したかったからです。『高1探究導入講義』では海洋生命学を受講し、塩分濃度と魚の関係性を学びました。講義を通して多角的な視点をもつことの大切さ、証拠を集めて証明する研究アプローチの仕方を学んだことが、探究活動、そこからの論文執筆に活きてきたと思います。

 言い回しや挿入する図が正しく使えているかなど、論文執筆には苦労しましたが、自分の好きなテーマを調べる作業は楽しかったです。好きなことを突き詰める喜びを知ることができました。

鉄道について探究したIさんの論文の写真です。

鉄道について探究したIさんの論文。

生徒インタビュー2
好きなこと・得意分野が明確になり
将来の夢が広がりました
Sさんの写真です。Sさん/高2

『高1探究導入講義』では、『化学現象のコンピューターシミュレーション』の講義を受講し、“見える形で表現する”ことを学びました。私も何かを見える形で探究したいと、論文のテーマ『アイアンマンのように人を助けることは可能か』と連動させて、受験生に学校の魅力を伝えるアプリを作ろうと思い立ちました。人助けをするアイアンマンのファンで、私も彼のように誰かの役に立ちたいと思ったのです。

 論文執筆はとても楽しかったです。論文の書き方やアプリ開発の技術が身につき、自分の“好き・得意”が明確になり、将来の夢が広がりました。

Sさんが高1の2学期に作成したプレゼン資料の写真です。

Sさんが高1の2学期に作成したプレゼン資料。

卒業生インタビュー
博士課程に在籍する
卒業生チューターが論文指導
松永さんの写真です。卒業生チューター/松永真理子さん

 卒業生チューターの松永真理子さんは、立教大学大学院経済学研究科 博士課程に在籍しており、税務会計学の研究者として論文を執筆し、学会発表に取り組んでいます。その知識・経験を活かし、大学での学術論文の書き方を高校生向けに落とし込んだテキストを作り、参考文献の引用の仕方や表記の方法などを教えています。

「私自身、大学入学後、高校との学びの違いに驚き、特に論文の執筆には苦労しました。なので、後輩たちには在学中に論文を書く力をつけてほしいと考えています。
 将来への進路決定の段階で大学の講義を受け、その先にある研究分野・職業を知ることができるのは素晴らしいことです。
 今後もそのような探究導入講義と並行する形で、テキストや指導法を改良し、後輩たちの指導にあたりたいです」(松永さん)

松永さんが作成した論文執筆のテキストの写真です。

松永さんが作成した論文執筆のテキスト。

進学通信 2024年4月号
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