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私立中高進学通信

2021年8月号

私学だからできるオリジナル教育

東京成徳大学中学校

ICTを活用し、
「未来を見据え、世界を知り、自分を拓く」

一人1台のiPadを学習のツールとして活用する同校。
Apple認定校でもある同校の、中3公民の探求型学習を紹介します。
「真のバリアフリーとは?」。福島先生の問いかけに多様な意見が寄せられました。

「真のバリアフリーとは?」。福島先生の問いかけに多様な意見が寄せられました。

iPadに頼りすぎず
効果的に活用

 iPadを活用した教育の優れた成果から、Apple社より「Apple Distinguished School」(※)に認定されている同校。授業中も生徒の机の上にはiPadが置かれていますが、iPadはあくまでツールでしかないというのが、同校の基本的な考え方です。

「授業の主役は、生徒と先生です。『未来を見据え、世界を知り、自分を拓く』という教育ビジョンの通り、私たちは生徒が30歳になった“未来”を見据えて授業を組み立てる中で、iPadを必要に応じて活用しているに過ぎません」(学年主任・ICT活用推進部課長/福島祥雅先生)

 取材に訪れた中3の教室で生徒たちのiPadの活用の様子を見てみると、待ち受け画面を自分の好きなように設定するなど、比較的自由に使っていました。それも同校の狙いだと福島先生は話します。

「当然、アダルトサイトや暴力的な内容のサイトなどへの制限はかけていますし、クラスメートにも肖像権があるので写真を扱う時には注意が必要など最低限の指導はしていますが、あえて自由に使わせています。それは、中学生のうちにiPadに慣れて、その"限界"を知ってほしいから。そして、リアルに友達と話すほうが楽しいということに、自分自身で気づいてほしいからです。電車の中でスマートフォンのゲームに没頭し、家族団らん中にもSNSをチェックせずにいられないような大人にはならないでほしい。自分の人生に自分で責任を取れる人間になるためにも、iPadに頼りすぎることは禁物です」

自分の信条をもって
発言できる大人に

 同校では、全生徒が海外に留学する取り組みも実施していますが、それもあくまで生徒を「言い訳せずに生きていける人間」に育てていくための手段の一つだと話します。

「英会話のスキルアップよりも、留学経験を通して異文化に触れ、自分の未来についてこれまでとは異なる視点から考える機会にしてほしい。実際、帰国後の生徒たちは、偏差値に縛られずに進学先を選んだり、海外の大学を視野に入れたりと、新たな価値観をもとに、自分の進路を決めているように思います」

 授業でもディスカッションの時間を長く取っていましたが、知識の詰め込みに偏らない教育方法は、高校受験がない中高一貫校だからこそできることだといえるでしょう。

「人の意見を聞いて、自分の考えを深める授業を通して、感性が豊かな中学生のうちに、自分がどんな人間で、社会の一員として何ができるのか考える習慣を育てていきたいです。社会に出てどんな業種・職種で働くことになっても、自分の信条を持って、意見をしっかり発言できる大人になってほしい。自分の力で事実を調べて考え、責任を持って発言する。正解のないテーマについて時間をかけて議論する中で、そういった力を身につけてほしいと思っています」

具体的なテーマを設定し
基本的人権について考える
別の授業で行った学習のまとめ。知識の詰め込みよりも考える力を育てています。別の授業で行った学習のまとめ。知識の詰め込みよりも考える力を育てています。

 今回見学した中3の公民の授業では、憲法の「基本的人権」について考えるために、まずは車椅子ユーザーを巡る現状を新聞記事で把握したうえで、「車椅子で生活する同級生が転校してきたら?」という具体的な設定を提示。話し合いの中で基本的人権について考えました。

 生徒たちはチームに分かれて、「学校施設に必要なものは?」「体育の授業はどうする?」などさまざまな角度から話し合い、結果をPadletというソフトを使って発表。書き込んだ内容はリアルタイムでクラス全員に共有され、チームごとの話し合いにフィードバックされていきます。

「黒板に付箋を貼っていくような感覚で使えるPadletは、同時共有というスピード感はもちろん、匿名で意見を共有できるという点で重宝しています。中学生は自分の意見を発表するのがどうしても恥ずかしい年頃で、優等生的な意見しか出てこないとか、少数派の生徒が口をつぐんでしまうことが起こりがちです。そこであえて匿名で発言できる場を与えて、『発言するのは恥ずかしいことではない』と実感してもらうようにしています。高校生になる頃には、リアルの場で活発に議論できる土壌が育っていると感じています」(福島先生)

チームで議論した内容をiPad上で入力、送信すると、その内容が全員にシェアされます。チームで議論した内容をiPad上で入力、送信すると、その内容が全員にシェアされます。
「健常者が車椅子バスケを体験した」という新聞記事から、ノーマライゼーションについて考えます。「健常者が車椅子バスケを体験した」という新聞記事から、ノーマライゼーションについて考えます。
話し合いを通して、自分で考え、相手の話を聞く力を伸ばすとともに、多角的な視野を獲得していきます。話し合いを通して、自分で考え、相手の話を聞く力を伸ばすとともに、多角的な視野を獲得していきます。
基本的人権について学ぶ授業では、今後、LGBTQなどについても議論していく予定です。基本的人権について学ぶ授業では、今後、LGBTQなどについても議論していく予定です。
先生から一言
生徒が発言しやすい環境を整えています!
学年主任・ICT活用推進部課長/福島祥雅先生学年主任・ICT活用推進部課長/福島祥雅先生

 今回の憲法の授業や、道徳の授業など、自分自身の意見を発表することに対して生徒がハードルを感じるような時に、Padletはとても便利なソフトです。しかしながら、発表時に常にiPadを使っているわけではありません。

 例えば、授業で以前扱った「模擬国連」では、一つのテーマに沿って生徒が各国の置かれた状況を調べ、国の代表として教室の前に立って発表をしました。リアルな発表とiPadを使う発表のどちらが効果的か、どのソフトをどのように使ったら有効か、教員間でも活発に情報を交換して、生徒にとって最適な環境を整えることができるのが、本校の一番の強みです。

(この記事は『私立中高進学通信2021年8月号』に掲載しました。)

東京成徳大学中学校  

〒114-8526 東京都北区豊島8-26-9
TEL:03-3911-7109

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