私立中高進学通信
2020年神奈川版
注目! News and Topics
藤嶺学園藤沢中学校
自ら学ぶ姿勢を身につけるとともに
伝統文化を体験して人間性を育む

「T.A.S.L」の様子。自宅でも学習計画を立てて自学自習する習慣を身につけ、確かな基礎学力を養うことが目的です。
タブレットを活用した
放課後の「T.A.S.L」
鎌倉時代に創建された時宗総本山の遊行寺。同校の前身は、その僧侶養成機関である時宗宗学林です。1915年に創立され、2015年には100周年を迎えました。今日まで送り出してきた卒業生は各界で活躍しています。そんな同校の教育目標のひとつが「21世紀の国際社会でリーダーシップを発揮できる人材の育成」。その実現に向けた第一歩として、中学生のための放課後学習会を行っています。それが「T.A.S.L(タッスル)」。「藤嶺アフタースクールラーニング」の略です。ねらいについて、中学教頭の廣瀨政幸先生にお話を聞きました。
「前校長だった濱谷海八先生の『入学時から生徒に学習習慣を身につけさせたい』という思いから5年前にスタートしました。中1は全員が、中2と中3は希望者が対象です。今年の中2と中3のうち3分の1の生徒が参加しています」
「T.A.S.L」の目的は、あくまでも自学自習の場を生徒に提供することです。定期試験の結果が思わしくなかった生徒には、他の日に「基礎補習」が用意されています。
「T.A.S.L」を行うのは、火・水・金の週3日です。本校では部活動が月・木・土と週3回行われているため、それ以外の曜日に実施しています。定期試験の1週間前からは毎日行っています。時間は放課後の3時30分から5時30分の2時間です。途中に10分間の休憩があります。
この2時間、生徒はタブレットを使ってICT教材の問題などに取り組みます。中1には教員が、中2と中3には大学生のチューターがついて、質問などを受け付けています」
中2の生徒に「T.A.S.L」の感想を聞くと、次のような答えが返ってきました。
「自分から進んで勉強する習慣がしっかりと身につきました。成績も全教科で伸びています」(Y・Mくん)
「家に帰ってからでは落ち着いて勉強に身が入らないので『T.A.S.L』が役立っています」(H・Kくん)


茶道や剣道、陶芸など
自国の文化を学ぶ
国際社会に貢献するには、自国の文化を世界に向けて発信する力が求められます。そこで、中1から高2まで生徒全員が必修科目として茶道と剣道を、高2では陶芸を履修。同時に豊かな人間性も育みます。
剣道では心身を鍛え、武道の精神を習得。相手を敬う心も養います。陶芸は今年から中2の美術の授業にも取り入れることになりました。「集中して物事に取り組む姿勢を中学時代に身につけさせたい」という教員たちの願いから導入が決まったそうです。茶道部の顧問を務める廣瀬先生は次のように語ります。
「茶道では畳の上で正座することなど日本人としてわきまえておくべき作法や、人をもてなす心の大切さを学びます。教えてくださるのは、大日本茶道学会の先生方です。中学生は7人から8人の少人数で学びます。そのグループにそれぞれ先生がついて指導してくださいます。
その集大成として中3では『卒業茶会』を、高2では『修了茶会』を、それぞれ保護者を招いて行います。『卒業茶会』ではグループで役割を決め大勢にお茶を振る舞いますが、『修了茶会』では高校生は各人の保護者を相手にして振る舞います。つまり高校生全員がお茶を点てるのです。5年間も茶道を学んだだけあり、その所作は立派で、保護者の方々は感動します」
「修了茶会」では高2の陶芸の授業でつくった茶器で保護者にお茶を出します。その茶器は記念に持ち帰ってもらうそうです。こうして学んだことを糧に生徒は健やかに成長していきます。




「T.A.S.L」1期生は今、高校3年生
大学受験に向けて意欲的に学んでいます

5年前に「T.A.S.L」を開始した当初は、中1も希望制にしていました。しかし、英単語のテストなどの結果を見ると、参加している生徒の点数が平均点よりも15点ほど上回ることがわかったのです。そこで、全員を対象にしました。「T.A.S.L」の一期生である当時の中1は今、高3です。この取り組みの成果であると断言するには分析が難しいのですが、彼らが意欲的に勉強に取り組んでいることは確かです。
(この記事は『私立中高進学通信2020年神奈川版』に掲載しました。)
藤嶺学園藤沢中学校
〒251-0001 神奈川県藤沢市西富1-7-1
TEL:0466-23-3150
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