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私立中高進学通信

2020年神奈川版

The Voice 新校長インタビュー

横浜創英中学校

教育を「与える」ではなく
子どもの成長を「支援する」プロの教員集団へ

工藤 勇一校長先生

工藤 勇一校長先生

工藤 勇一 (くどう・ゆういち)校長先生
東京理科大学理学部応用数学科卒業。東京都教育委員会、千代田区立麹町中学校校長を経て2020年4月から現職。麹町中学在職中には宿題や定期考査の全廃など、形骸化した教育活動をスクラップして再構築した。内閣官房 教育再生実行会議委員も務める。著書の『学校の「当たり前」をやめた』(時事通信社)は10万部超のベストセラー。

新型コロナ禍の中でも
自分に今、何ができるかを考えられる生徒たち
工藤校長の目指す学校改革
  1. 与えられることに慣れない人間を育てる。
  2. 多様性を受け入れ、
    育てることのできる教員集団を形成する。
  3. 企業連携して、社会を体感し
    世の中を想起できるような学校を目指す。

 今年の4月、私が横浜創英にやってきてすぐに学校が休校となり、始業式も入学式もオンラインで生徒とつながるスタートを切りました。新型コロナ禍によって生活が一変する状況はネガティブにとらえられがちですが、私は生徒たちの前向きな行動をたくさん見ることができました。

 5月からスタートしたオンライン授業は学校にとっても新しい試みでしたが、生徒たちはただ与えられる授業を待っているのではなく、積極的に学ぼうとする姿勢を見せてくれました。オンラインによる新入生のための部活動紹介も、生徒主導で実現しました。放送部はZoomでお昼の放送を始め、バトン部は生徒や教員を励ます動画を作って発信してくれました。

 春はさまざまな行事がある季節です。そのほとんどが中止せざるを得ない状況でも、生徒たちは落ち込むことなく、「代わりに何かできることはないか」と考えて行動していました。新型コロナ禍に関わらず、人生にはいろいろなことが起きます。トラブルやハプニングが起きたときにこそ、「もう駄目だ」と思うのではなく「今できることは何だろう」と前向きな姿勢になれるのは素晴らしいことです。

生徒が自律して主体的に
学校経営に関わる環境を作る

 私が横浜創英で大事にしたいのは、本校の建学の精神である「考えて行動のできる人」の育成です。

 従来日本の学校には、「先生の言うことを聞く生徒がよい子」という認識がありました。しかし常に受け身の姿勢では、うまくいかないことがあるとつい人のせいにしたくなるものです。「あの先生が言った通りやったのに、成績が伸びない」「先生の教え方が悪い」と。人のせいにし続けていると、問題解決ができない人間になってしまいます。

 そのためにはまず、教員自身が人のせいにしない集団になる必要があります。教師は命令をするのが仕事ではありません。「何をしているんだ、駄目じゃないか」と言われ続けていると、子どもは自己否定ばかりするようになります。自己決定をする経験をしなければ、自分の頭で考えない人間になります。そもそも教師は生徒の支援をするのが仕事ですから、「今、何に困っている? 君はどうしたい? 僕にできることは何だろう?」という声掛けをすべきです。その上で、生徒たちが自律して学校経営に関わることのできる学校を目指したいと思っています。

 生徒を管理して教育というサービスを子どもに与え続けるのではなく、支援できるプロの教師集団を作るためには時間をかけて、一人ひとりの意識を変える必要もあるでしょう。

多様性を受け入れて
一人ひとりの特性を伸ばす

 日本人は子どもの頃から、「みんなと仲良くしなさい」と言われ続けて育ちます。すると人とぶつかり合うことは「仲が悪い、いけないこと」と勘違いする傾向があります。意見の対立と感情のぶつけ合いを同じだと思ってしまうのですね。

 学校は同世代の子どもたちの集団なので、同一に扱うものと考えられていますが、実際は実に多様な子どもたちが生活する多様性のある社会です。

 たとえば学校には国語の成績は良くないけれど、生物の知識は大学レベルという生徒もいますし、数学だけはべらぼうにできるという子もいます。全教科で万遍なくいい成績を取れない彼らは否定されるべきでしょうか。好きな本を読み、専門家の話を聞いて、自分が得た知識を人に伝えることで国語力は伸びるのではないでしょうか。中高生は自分の好きなことを追究しはじめると、本気で学びたいと思うものです。教員はどんな子どもも排除せず受け入れて、その子の特性を伸ばすことが求められています。

 今、私が考えているのは、文系と理系が融合する教育です。特にサイエンス教育には力を入れます。そのために多様な社会とのつながりを深めて、企業との連携も進める予定です。

 社会では多様性の時代と言われますが、中高時代こそ多様性を受け入れて、社会に出ていく準備をする期間です。教員も含めて、一人ひとりが変われば必ず学校は変わります。これからの横浜創英が目指すのは、伝統を活かしながら進化する学校です。

[沿革]
1940年、財団法人堀井学園を創設し、5年制の京浜高等女学校として開校。1989年に横浜創英短期大学が開学し、翌年には「横浜創英短期大学女子高等学校」と校名を変更。2002年には男女共学の「横浜創英中学・高等学校」となる。サッカー部は全国高校総体に2回出場、吹奏楽部は全国コンクールに8回出場を果たすなど体育部・文化部ともに部活動も盛ん。

(この記事は『私立中高進学通信2020年神奈川版』に掲載しました。)

横浜創英中学校  

〒221-0004 神奈川県横浜市神奈川区西大口28
TEL:045-421-3121

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進学通信 2020年10月号
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