私立中高進学通信
2020年神奈川版
未来を切り拓くグローバル教育
橘学苑中学校
教科や学年を超えた
未来型の「特別授業」
ネイティブスピーカーと英語で学ぶ

クリスティン・マカリー先生は自身が身につけた日本とアメリカとニュージーランドの手話を教える講座を開きました。
今後は手話の「特別授業」を行う予定です。
3学年がチームを組み
様々な学びにチャレンジ
これまで同校では「世界との出会い」という体験学習を実施。ハワイやベナンやインドやイタリアなどの海外の人たちを招き、いっしょにその国の料理をしたり、楽器を演奏したりして楽しみました。
また、外国人留学生とともに中学生全員が農業体験をする「イングリッシュキャンプ」を行うなど、英語を使いながら学ぶ「CLIL※(内容言語統合型学習)」に力を注いでいます。こうした取り組みを深めたのが教科横断型の「特別授業」。中学全学年を対象にネイティブの教員を交えて様々な学びにチャレンジします。年に5回ほど行い、昨年12月には「楽しい力学」を実施しました。ビー玉や輪ゴムや風船など身近なものを使い、慣性や作用反作用など物理の法則を学年の壁を取り払って学びます。この授業について英語科の上之原真一先生に話を聞きました。
「実験で使用するビー玉などの道具はネイティブの教員2名が教室内に開いたショップで買わなければなりません。お金は玩具のコインを代用します。このコインはネイティブの教員の質問に答えればもらえます。もちろん、やりとりは英語です。
予算内で道具を揃えなければならないため、生徒は安くしてもらえるように交渉するなど英語によるコミュニケーションを楽しめます」
※Content and Language Integrated Learningの略
中学3年生の半数近くが
英検準2級に合格
同校の建学の精神のひとつは「生命の貴さを自覚し、明日の社会を築くよろこびを人々とともにしよう」。そこで目に見えない微生物について英語を交えて学ぶ「MicroBiology with English」や、煮干しを解剖し、内臓などの器官を英語で学び、その成果を英語でプレゼンテーションする「Science with English」も実施しました。
こうした「特別授業」は中1の「ネイチャーイン合宿」「田植え合宿」「稲刈り合宿」、また、冒頭で紹介した「イングリッシュキャンプ」にも紐付けられています。これらの合宿では長野県飯島町にある校外施設「アグリネーチャーいいじま」を訪問。農業を学んだり生物を観察したりして、環境について考えます。この取り組みから生まれた「特別授業」が「Geography with English」です。水の濾過を通して、地層などが水をきれいにするフィルターの役割を果たすことを英語を交えて学びます。
さらに同校は異文化理解教育も積極的に展開。その一環として「Irish dance With English」を実施しました。アイルランドのダンスを踊りながら、民族音楽、アイルランド語を英語で学んだのです。
「これらの『特別授業』を体験した中3生のうち半数近くが英検準2級に合格しました。現在、その生徒のほとんどが高校では特別進学クラスに進学し、どの教科も意欲的に学んでいます」
Action Report File001
身近にあるモノを使って
英語と物理の楽しさを知る
英語の力が向上して自分に自信も
「楽しい力学」の様子。中学生がチームに分かれて、まずは自己紹介。続いてルールの説明を聞いた後、ネイティブの先生が開いたショップへと急ぎます。ショップは2つ。アメリカ出身のクリスティン・マカリー先生とウェールズ出身のスティーブン・ターナー先生が別々にショップを開いているのです。生徒は習った英語を駆使して、どちらかの先生から実験道具を手に入れます。風船では慣性の法則を、輪ゴムでは運動の法則を、ビー玉では作用反作用の実験をします。

先生から実験道具を入手

慣性の法則を学ぶ
Action Report File002
新しい発見と出会える
濾過 の実験と異文化体験
知的好奇心も刺激する
「Geography with English」では、田の水が自然界のフィルターを通ってきれいになるしくみを探りました。この実験道具もネイティブの先生から買わなければなりません。クリスティン・マカリー先生のショップには、コーヒーフィルターやヤシの実の皮、活性炭などが並んでいます。生徒はチームを組み、これらの中から素材を選んで購入。ガラスの容器に詰め、絵の具で染めた水を流します。どのチームが水をきれいに濾過できたか。最後に生徒の投票によって優秀賞を決めます。
「Irish dance with English」では、アイルランド出身の先生がその文化を紹介。たとえば、アイルランドのダンスは下半身のみ激しくリズムを刻みます。これはイギリスに対して表面上は紳士を装い、見えないところでは服従せずに抵抗したという歴史から生まれたそうです。


その国の文化や歴史にふれる
先生から一言❶
文化を知ると
自国の文化にも興味がわくはず

私は今、手話に大きな関心を寄せています。言語として耳で聞くことはできませんが、目では見ることのできる素晴らしい文化だからです。ジェスチャーが発展したものが手話であり、英語の手話はフランスに由来します。手話は文化や歴史から生まれるので、国によって異なります。手話の「特別授業」を通して、日本の文化にもさらに興味を持ってほしいですね。(クリスティン・マカリー先生)
先生から一言❷
知られてない
ウェールズの文化を伝えたい

次回の「特別授業」は、ウェールズと日本の文化の比較を行う予定です。ウェールズはイギリスのグレートブリテン島の南西にある地域で、英語ではなくウェールズ語を話します。かつては男性が女性にプロポーズする時、指輪ではなく「ラブスプーン」と呼ばれるスプーンを贈る習慣がありました。また、料理では羊の肉を使ったスープがあります。こうした日本には知られていないウェールズの文化について伝えていきたいと思っています。(スティーブン・ターナー先生)
(この記事は『私立中高進学通信2020年神奈川版』に掲載しました。)
橘学苑中学校
〒230-0073 神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷1-10-35
TEL:045-581-0063
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