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私立中高進学通信

進学通信特集号WEB版『Hello! School』

芝浦工業大学附属中学校

STEAM教育を基礎として
ゼロからものづくりをする生徒たち

松本 圭矢先生

松本 圭矢先生

 豊洲駅から徒歩7分。近代的な校舎に一歩入ると、すぐに目を引くのが「しばうら鉄道工学ギャラリー」です。大正11年に「東京鐵道中学」として開校した芝浦工業大学附属中学には、日本各地の鉄道コレクターが希少なコレクションや資料を寄贈してくれるそうです。

 1階フロアのあちこちに、何かを「創る」生徒たちがいます。大正時代に「鐵中」としてスタートした学校ですが、令和の今は科学、技術、工学、芸術、数学を総合的に学ぶSTEAM教育にバージョンアップして、生徒たちが「創る」モノも多彩です。

 2017年に高校が共学となり、2021年度には中学も共学になります。今は女子の姿は少ないけれど、これからは理工学系女子の姿も増えそうです。

記者プロフィール

東京都在住。小学校4年生の男の子のママ。自粛期間中、家にいてゲームばかりやっていた息子の行く末が不安になって、本格的に進路を検討しはじめたところ。

松本圭矢先生

ようこそいらっしゃいました。

記者

入ってすぐ、「しばうら鉄道工学ギャラリー」に目を奪われていました。新幹線のシートやつり革まであるんですね。

松本先生

理系志望のお子さんにとって、1階は魅力的なフロアだと思います。部活動があちらこちらでものづくりをしています。ちょうど今、「工作技術研究部」がガレージで活動しているので、まずはこちらへどうぞ。

工作技術研究部
工作技術研究部

記者

ガレージは校庭にすぐに出られるようになっていて、自動車部品や木材が置いてあって本当に家のガレージのようですね。いたるところで何かを作っています。

石井くん

工作技術研究部、部長の石井駿です。
この部活は木工加工やラジコンカー、ガソリン車などを作っています。
今年は文化祭がオンラインになったり、エコランカーの大会も含めて、いろいろな大会が中止になってしまいました。エコランカーは主に中学生が作っています。

記者

文化祭では何をしたの?

石井くん

各自が作った模型やラジコンの展示をしました。他にも文化祭の看板を作ったり、他の団体の手伝いもします。たとえば迷路を作っている団体から、大道具の木を切ってくれと頼まれたら切ります。
体育祭のスコアボードをアルミなどを使って作り、グラウンドに設置したこともあります。
工作技術研究部のポリシーは、自由に、本気でものづくりをすることです。

記者

石井くんは将来、何をする予定?

石井くん

僕は自動車が好きなので、キャンピングカーを作ったり、小屋を建てたりしたいです。

奥先生

工作技術研究部顧問の奥です。
ウチの学校はものづくりをやりたくて入ってきた子が多いんです。もともと工作技術研究部は、プラモデルを創る模型同好会だったのですが、プラモデルだけではなくて、芝浦工業大学でもものづくりができるような部活を作ろうと、豊洲にキャンパスが移転したのと同時に、工作全般ができる部活動に昇格させました。

記者

加工技術室には糸ノコや穴あけドリルもありますね。これは部活動で使っているのですか?

奥先生

技術の授業で使っているものを部活でもお借りしています。
工技研では木材でギターを作る部員もいます。

記者

ものづくりの素材はどうしているんですか?
エコランカーのエンジンとか……。

石井くん

それは僕がヤフオクで落札しました。

奥先生

他にも保護者の方から、いらなくなった部品を提供していただくこともあります。

奥先生

木材のほとんどは廃材です。文化祭で使った木材も、捨てるのではなくて再利用して新しいものを作ります。
部のポリシーの一つに社会貢献があるので、教室の本棚はすべてウチの部で作りました。
教室の可動式の教卓はすぐに壊れるので、ウチの部員が修理しています。

記者

学校の大工さんみたいですね。

奥先生

教卓のパーツは3Dプリンターで作って、壊れた教卓を解体して直して教室に戻しています。ウチの部には職人がたくさんいるので、人件費はタダです(笑)。皆に感謝されると嬉しくなりますよね。ものづくりって、人のためになることを考えるのが楽しいんです。
工技研の部員たちは、設計図があるものを創るのではなく、自ら設計図を引いてゼロからものづくりをしています。

石井くん

仕事がないときに、皆それぞれ自分の好きなモノを作っています。

記者

仕事……教卓の修理のことですね(笑)。

電子技術研究部
記者

学校の至るところで作業をしているのは、工作技術研究部だけではないようです。
屋台のようなものを作っているのは何部ですか?

生徒

電子技術研究部です。
レゴマインドストームEV3でUFOキャッチャーを作っています。
本当は文化祭に来た人に遊んでもらうために作ったのですが、今年はオンラインになってしまったので。でも芝浦デー(学校説明会)に来た受験生に楽しんでもらいました。

記者

電子技術研究部の本当の活動場所はどこですか?

生徒

1階のロボット技術室です。顧問は岩田亮先生です。

岩田先生

電子技術研究部顧問の岩田です。
技術の教員です。

記者

電子技術研究部と工作技術研究部の違いは何ですか?

岩田先生

プログラミングやロボット制御、電子技術に関することをやっています。
入部資格は、「作りたいものがあること」です。

記者

いろいろなロボットがありますね。

岩田先生

こちらは「ロボカップのレスキュー部門」という競技会に出る部員たちです。
ロボカップは自分で考えて動く、自律移動型ロボットの競技会で、「レスキュー」は火災現場をテーマにしたフィールドで人命救助を行う競技会です。
昨年は全国大会に出場していて、今年は初めて挑戦するチームが地区予選を勝ち抜きました。

記者

将来的には日常生活にも活用できる技術ですね。

岩田先生

ロボカップのサッカー部門というのもあって、こちらはセンサーがついたロボットを使って、2対2でサッカーをする競技会です。

記者

グループの人数がいろいろですね。それぞれどうやって研究テーマを決めているのですか?

岩田先生

ミーティングのときに、自分のやりたいことをプレゼンテーションして、そこに加わりたいと手をあげる部員もいます。
高2と中3が一緒に活動するチームもあります。

記者

かなり高度なことをしているように見えるのですが……。

岩田先生

ドローンの会社と僕が共同研究をしている教材作りのプロジェクトもあって、そこにも部員は参加しています。彼らは楽しく学べるプログラミング教材を、僕の監修のもとに作っています。

記者

教材ですか?
完成したら、学校の授業でも使えるような?

岩田先生

そうです。プログラミングを知らない子でも、iPadとこのテキストがあればプログラミングを学べる学習教材です。完成したら、彼らは教材の著者になります。

記者

二足歩行のロボットを作っているのは高校生ですか?

岩田先生

中学3年生です。ゼロから二足歩行のロボットを作って、私が小学生向けに行うワークショップ用のキットとして、販売しようと考えています。

中学生

僕はもともと、3Dプリンターを使ってロボットを作りたいと思っていたんです。部活動に貢献することも考えたら、ワークショップにしようと思って、チームで二足歩行ロボットを開発しています。

記者

このロボットができたら、将来はどんなことができるの?

中学生

もっと発展させて、AIを搭載して、介護ロボットとして活躍できたらいいなと思います。将来は制御系のエンジニアになりたいんです。

記者

女子部員はいますか?

岩田先生

1人だけいて、ホワイトハッカーになりたいと言っています。

記者

サイバー攻撃から企業を守ったり、サイバー犯罪の捜査に関わったりするハッカーですね。映画で見たことがあります。なぜ彼女はホワイトハッカーという仕事を知ったのでしょう?

岩田先生

中学生のとき、テレビ番組で紹介しているのを見て、そういう社会貢献がしたいと思ったそうです。

記者

部員たちは「貢献」という言葉をよく使いますね。

岩田先生

電技研のポリシーは、「研究と貢献」です。
ものづくりは、ひとつのことを「研究」する気持ちと、それを誰かのために役立てる「貢献」が大事です。
部員たちは、何かを作り出したらワークショップをして小学生に教えます。電技研の活動の中には、そのように研究して貢献するサイクルがあります。

記者

技術の授業ではパソコンの使い方を教えるだけではないんですね。

岩田先生

技術の授業では、木工加工もやりますし、基本的な技術は教えています。
パソコン関連は、モラルから入り、Office系のソフトを取り組み、ビデオエディターやプログラミング、アプリの開発もします。本校には制御系のノウハウを持った教員が揃っているんです。
電技研は3DCADにも取り組んで、3Dプリンタの出力もやりたいのですが、150人も部員がいると大変で(笑)。

記者

150人! 学校で一番人数の多い部活動ですね。

岩田先生

みんな「こういうものを作りたい」という想いのある生徒たちです。
自由に作って自由に失敗できる部活動ですが、僕は結構最初にダメ出しをするんです。何かを作るとき、「なぜそれを作るのか?」「なぜその選択をするのか?」と問いかけます。機材が必要なときも、教員に対し「なぜそれが必要なのか」をプレゼンさせます。
仮説の段階を何度も確認することによって、さらに奮起して挑戦しようとする気持ちが、ものづくりに大切なことではないでしょうか。

記者

今日は生徒たちの、「創りたい」気持ちに圧倒されました。ものづくりに熱中するのは鉄道研究部だけではないんですね。

松本先生

そうなんです。
ちなみに今の鉄道研究部の中学生部員は24人、工作技術研究部も24人ですが、電子技術研究部の中学生は129人と、圧倒的に多いんです。
途中で作りたいものが変わると工技研から電技研へ、あるいは逆の方向へと変わる生徒もいます。

記者

彼らの熱意と探究心が、暮らしやすい社会を創ってくれる気がします。
今日はどうもありがとうございました。

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