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私立中高進学通信

2020年12月号

目標にLock On!! 私の成長Story

大宮開成中学校

「授業の学び」「部活動のクイズ研究」が渾然一体
“知を愛する”楽しさを身につけた中高時代

OB 戸頃響吾さん

東京大学 理科一類 1年
OB 戸頃響吾さん

プレゼンテーションで得た
初めの一歩を定める力
高1時のオーストラリア海外研修は、異なる文化に生で触れられて貴重な体験でした。高1時のオーストラリア海外研修は、異なる文化に生で触れられて貴重な体験でした。

「愛・知・和」を校訓に掲げ、プレゼンテーション教育やフィールドワーク、実践的な英語教育など、生徒が豊かな教養と確かな発信力を育むことを重視している同校。この春、同校を卒業して東京大学理科一類へ進学した戸頃響吾さんは、在学中に学ぶことへの向き合い方が、大きく変わったといいます。そのきっかけは中3の時。

「担任の越阪部晋先生からiPS細胞について調べるテーマをいただいたんです。どこが画期的で何が問題点なのか――調べ進めるうちに視野が広がる思いがしました。その経験から一つの物事に対してさまざまな側面を見つめ、考えることの楽しさを段階的に身につけることができるようになりました」

 もともと教科書どおりの学習には熱心とはいえなかったという戸頃さん。先生方の示唆もあり、学びによって多種多様な視点を獲得することで広がる “知の風景の美しさ”に喜びを感じるようになりました。それは大学進学への受験準備にも活かされたといいます。

「入試問題にも広がりがあることに気付きました。そこに学びの楽しさを見つけることが、受験勉強に臨むモチベーションにつながったと思います」

 高校での部活動は、クイズ研究同好会。情報処理室を「学年で一番といっても過言ではないくらい」フル活用し、気になる事象を調べ尽くしました。

「授業で学ぶ知識を、クイズ研究同好会で先に知ることも多く、授業と部活動の相乗効果があったと思います」

 越阪部先生は、まさに楽しみながら学ぶことが徹底されていた当時の戸頃さんの姿を、学習と部活動が “渾然一体”だったと楽しそうに振り返ります。

 そんな戸頃さんにとって、在学中の最も印象に残るイベントが、「開成文化週間」でのプレゼンテーション。

「自分たちが設定したテーマに基づき調査を行い、導かれた結論を発表するのですが、プレゼンテーションの過程でいろいろな考え方を展開でき、それを一つの筋道としてまとめていくのは本当に得難い体験でした。白紙から絵を描き始め完成させていくような作業で、何より楽しいんです。プレゼンテーション力を養う良い訓練になりました」

 優勝をめざして仲間と突き進むところに「青春」を感じる部分もあって、忘れられない思い出なのだそうです。

「論理的思考力が培われました。最初に数多くの選択肢の中から一つのテーマを決めます。その初めの一歩を定める力というのは、自分の中で今でも、そしておそらくこれからも役に立つだろうと感じています」

互いを尊重して教え、学ぶ
先生や同級生との“仲間感”
受験勉強のベースは先生方の授業。自習より「授業を聞いたほうが何倍も頭に入ります」受験勉強のベースは先生方の授業。自習より「授業を聞いたほうが何倍も頭に入ります」

 高1の時のプレゼンテーションのテーマは「哲学」。「若干、恥ずかしいです」と苦笑い気味に語りますが……。

「哲学を英語ではフィロソフィーといいますが、フィロスは “愛”でソフィーが “知”です。だから哲学とは知を愛すること、勉強を楽しむこと。自分は学校で勉強を楽しんでいたけれど、周りには入試のためのものとして受け入れる人もいました。そこで哲学(=勉強)はこんなにも面白いものなんだということを発信しました」

 勉強がなぜ楽しいのか根源までさかのぼって考えるようなテーマ設定をすることには、授業の影響も少なからずあったといいます。

「こういうことを学ぶと後でこんな面白いことがわかるよとか、こんなことにつながってくるよと言ってくださる先生方が多いんです。生徒に時間を割くことを厭わない姿勢を常に感じていました。それでいて精神的に負担になるようなことは求められず、ていねいにフォローしていただきました」

 その関係性を、戸頃さん、越阪部先生ともに、なれ合いではなく、いい意味での “仲間感”と表現します。

「僕らが若く人生経験が少ないことを踏まえつつも、きちんと意思を持った主体として接してくださっていると、ひしひしと感じました」

 仲間といえば、高2の時に同級生4人でチームを結成し、学外の「日経STOCKリーグ」(※)に参加したことも、戸頃さんの印象に残る思い出の一つです。

「もともと自然科学が最も好きなのですが、金融は社会科学で、授業では扱わない分野。級友に誘われた時はためらいもありましたが、思い切って挑戦しました。大学の教授にご指導いただき、企業を取材するなど社会勉強にもなりました。時折意見が食い違うこともありましたが、目標に対して団結でき、卒業した今でも心の許せる仲間となりました」

 未知の分野でも楽しみながら学ぶことを実践してきた戸頃さん。積み重ねられていく知識を活かす未来への道はどこへ向かっているのでしょう。

「食品関係などの生物学、あるいは工学など選択の幅はあると思うのですが、学問から直接的に人の生命を助けられる知識を身につけたいと思っています。たった一人でもいいので、一つ大きなものを与えられる人間になりたいです。これまで自分を育ててくれた社会に恩返しをする意味でも」

 将来を見据え、利他の精神を重んじる戸頃さんが大切にしてきた “知を愛する”は、はからずも校訓と同じ言葉。卒業した今だから、その言葉の意味を深く感じ取れると話します。

「確かに “愛・知・和”というのは、すべてがつながっていると今だから感じます。愛があって和が成り、和によって知が成ると思います」

 最後に未来の大宮開成生に贈るメッセージをうかがいました。

「自分のやりたいことをやらせてもらえる、入学して後悔しない学校です。自分は在学中に先生方から最大限のサポートをいただきました。みなさんもぜひ同じ経験をしてください」

※日経STOCKリーグ…中・高・大学生のためのコンテスト形式の金融・経済教育プログラム。

恩師からの応援メッセージ
謙虚でおごり高ぶらない
仲間として信頼を寄せています
中3時の担任の越阪部晋先生と。取材中も語り合う姿が印象的でした。中3時の担任の越阪部晋先生と。取材中も語り合う姿が印象的でした。

 直接担任したのは、中3の時だけですが、戸頃君をはじめ、この学年でよく覚えているのは掃除の時間。掃除をしながら医療系雑誌に掲載されていた切開術の話をしたり、給食を食べながら夢野久作の小説について語り合ったりしていました。学問の入り口としてヒントを渡すと、生徒たちは知らないことを自ら知ろうとします。そんな彼らと対話を重ねるのは楽しいひと時でした。対等な人間として“仲間感”を持っていましたし、戸頃君のことを信頼しています。彼の強みは、学びと遊びが渾然一体としているところ。在学中は天然ぶりも発揮しましたが、彼のような謙虚な人間が結果を出すと感じています。おごり高ぶることなく、人間は小さな存在にすぎないことをよくわかっている“仲間”です。(越阪部晋先生)

進学通信 2020年12月号
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