私立中高進学通信
2020年12月号
実践報告 私学の授業
昌平中学校
IB教育に基づく教育を実践
“伸びしろ”を最大限に広げる
大学入試改革・グローバル社会に対応し、自己実現につながる学び

中2の理科・生物の授業風景。
IBの教育手法を取り入れ、ディスカッションや意見交換することを中心にした授業です。
世界水準の教育態勢で
主体的に学ぶ授業を展開
教育の世界標準プログラムである『IB(国際バカロレア)教育』(※1)の導入で知られる同校。2015年には中学校、2019年には高校がIBの認定校となり、生徒主体のコミュ二ケーション活動を柱とする授業スタイルが根付き、生徒の成長にもその成果が表れてきています。
「ディスカッションやディベートなどを行う機会をたくさん設け、生徒が主体となって取り組む授業を多く行っているため、生徒には勉強させられている感覚がありません。そうした授業を通して、学びを通して自らの成長を実感したり、学びを楽しいと感じたりすることで、自ずと知識を吸収し、考える力を伸ばしていきます。
IBでは学問の“知識”だけではなく、それぞれの教科ごとに、その特有の考え方や物事の見方・捉え方といった “概念”を学んでいくところが特徴です。どの授業でも常に何のために学ぶのかを意識させながら、物事の本質を複数の視点から考えることを重視して指導しているので、生徒たちに自分の考えを説明する力が身についていきます。これは、大学入試改革やグローバル社会に対応できる、思考力や判断力を伸ばすことにもつながります。
また、IBは『生涯学び続ける姿勢』を育むプログラムであることも大きなポイントです。中学生には、“伸びしろ”が大きくあります。本校の中学教育で実施しているIB教育のMYP(※2)は、その伸びしろを最大限に広げることができるのです」(教頭・国際教育部部長/前田紘平先生)
※1 IB(国際バカロレア)教育…世界基準で活躍できる人材育成を目標に、国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)が提供する教育プログラム。IBは「International Baccalaureate」の略。
※2 MYP…Middle Years Programme(ミドル・イヤーズ・プログラム)の略。11~16歳を対象に、生徒の知的・社会的な発達を促し、創造的な学びを行えるようにIB機構が練り上げた、IBの中等教育プログラム。
社会に貢献する
意欲と力を育てる
IBは海外大学への入学資格を得ることを目的とするものではなく、本来はグローバル社会で求められる思考力や表現力、知識の活用力などを養うためのものだと前田先生は話します。
「IBの目的の一つに『社会貢献への精神』があり、本校でも中3生が自分の興味・関心に合わせて奉仕活動を考え、実行する『コミュニティプロジェクト』を実施しています。環境問題に関心のある生徒が、フリーマーケットで物を売って環境団体に寄付したり、古本を集めて癌の研究に寄付をする『古本募金』を行ったりなど、自分たちでもできる活動を始めています。
こうした活動には失敗がつきものですが、中学生のうちから失敗を克服する機会をたくさん作りたいと思っています。
今後は、企業でのインターンシップなど、ハードルの高い取り組みも実施したいと考えています。そうした実社会と関わるさまざまな体験から、自分が世の中にどのように貢献できるのかを模索してほしいのです。将来は社会貢献を通して自己実現をし、イキイキと輝く人として世界で活躍することを願っています」
授業レポート中2の生物・英語の授業
中学校ではIBのプログラムに基づく教育を、各教科の教員が日々の授業で実践しています。中2の生物と英語(グラマー)の授業を取材しました。
Interview 1
理科の授業で知識を活用する力や
探究力、コミュニケーション力を養う
中2『生物』髙橋 和希先生

「本校の理科の授業では、中学から教科を生物・地学・物理・化学の分野別に学習を進めています。高校の内容も含めて系統的に学んでいき、早くから各分野の専門的な内容まで踏み込んで学ぶことが特徴です。
探究型の授業を実践しており、授業で考えたことを文章にまとめたり、グループで意見交換したり、話し合ったりする機会を多く持つようにしています。例えば、今日の授業では、遺伝について学んだうえで『有性生殖と無性生殖どちらが環境に適しているか?』というテーマについてディスカッションを行いました。こうした授業の進め方によって、知識を得るだけでなく、知識を活用する力や、探究力、コミュニケーション力なども養っています」





Interview 2
自分の考えをしっかりと正確に
伝えられる英語力を身につける
中2『英語(グラマー)』戸恒 和香子先生

「中2の英語の授業は、グラマーとリーディングの2つに分けて実施していますが、グラマーの授業では、学んだ知識を使って考える時間を多く設けることで、常に英語を『使う』ことを意識して学べるように授業を組み立てています。
文法や単語を身につける方法も、ただ暗記するなど無理に知識を詰め込むのではなく、グループで英語の文章を考えたり、自宅学習で取り組んできた互いの解答を生徒同士で確認し合ったりと、クラスみんなで一緒に楽しく学びながら、自ずと知識が身についていくように工夫を凝らしています。
将来どのような場面で使うかは各自によってさまざまですが、英語はどの生徒にとっても必須となるでしょう。英語であれ日本語であれ、正しく正確に言語を用いられるということは、人としての信頼感にもつながります。だからこそ、“その場のノリや雰囲気で、なんとなく英語でコミュニケーションができる”という英語力ではなく、細かなニュアンスも含め、自分の考えをしっかりと正確に伝えられる英語を身につけてほしいと考えています」


(この記事は『私立中高進学通信2020年12月号』に掲載しました。)
昌平中学校
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851
TEL:0480-34-3381
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 『究理探新』の心を育てる実学教育を休校期間中も実践東京農業大学第三高等学校附属中学校
- デジタルツールを駆使対面の温度感も大切にした充実のオンライン学習目黒学院中学校
- オンラインを駆使して通常の時間割を実施1,700名全員をサポート安田学園中学校
- 先の見通せない時代に『Think & Challenge!』精神で立ち向かう横浜翠陵中学校
- ダンスを通して身につくコミュニケーション能力と協調性品川女子学院中等部
- 「自立した女性」の育成を部活動も主体性を重視東京家政学院中学校
- 国際大会の基準をクリアした柔道場淑徳中学校
- 学び、成長できる“場”を提供幅広い道から「自分で選ぶ」力の育成を日本大学第二中学校
- SDGsの学びからプロジェクトが誕生生徒主体で生まれた女子用スラックス開智日本橋学園中学校
- 共学校として、新たな伝統のスタートを知性と品格が感じられる新制服芝浦工業大学附属中学校
- 「みんなが考える昭和学院」を具現化選べる制服で多様性と自立心を養う昭和学院中学校
- 生徒自らがコーディネート選べる制服が自主性を伸ばす三輪田学園中学校
- 生徒それぞれの個性を大切にする校風関東学院中学校
- 生徒会のやりがいに魅了経験者も多い中高16名で運営狭山ヶ丘高等学校付属中学校
- 生徒会主体の学園祭オンライン開催に初挑戦!実践学園中学校
- ICTを活用した、新しいイベント運営に取り組む東京成徳大学中学校
- 生徒会活動が自主性を育む中高生徒会の連携も持ち味本郷中学校
- 「自分の考えと意志で行動するこの自由が、完全な自立となる」浦和明の星女子中学校
- 「知識を活用できる知恵を育み自分や世界を変える力を養う」秀明大学学校教師学部附属秀明八千代中学校
- 独自の『EHDプログラム』で中3生の卒業論文がスタート京華女子中学校
- IB教育に基づく教育を実践“伸びしろ”を最大限に広げる昌平中学校
- 中学から高度な学びに挑戦多彩な『ゼミナール授業』青稜中学校
- 世界の諸問題を理解しその解決策を探るESDの授業横浜女学院中学校
- 早い機会に異文化に触れる『バンクーバー語学研修』春日部共栄中学校
- 世界での社会貢献を実践する「MoG in Cambodia」工学院大学附属中学校
- 進路 卒業生たちが後輩に語る進路経験談が中3生の刺激に専修大学松戸中学校
- 部活動も学業も!充実した学校生活共栄学園中学校
- 一人ひとりの力を伸ばしてくれる学校目白研心中学校
- 体系的なキャリア教育と生徒に寄り添う教育活動文教大学付属中学校
- 全校生徒を巻き込んだマスク寄付プロジェクトサレジアン国際学園世田谷中学校
- 全学年の『書く力』を高める『論文指導』がスタート麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 『本物に触れる教育』を多角的に実践桐朋女子中学校
- 伝統と創生のハイブリッドで不確かな時代を生きていく光塩女子学院中等科
- 生徒と向き合い、共に歩みながらその力を最大限に活かしていきたい佐野日本大学中等教育学校
- 自分の目標に一生懸命になれる子を育てるため本当の“厳しさ”で熱血指導日本大学第一中学校
- 思考・学びが楽しくなるスマホ持ち込みOK入試芝国際中学校
- 「生きる力」を測る「ナゾ解き入試」を実施藤村女子中学校
- 難関大学をめざす生徒のためのプログラムを実践する学習施設「光風塾」日本工業大学駒場中学校
- 「授業の学び」と「部活動のクイズ研究」が渾然一体“知を愛する”楽しさを身につけた中高時代大宮開成中学校
- 海外交流を経て大きく成長!難関大学進学の道を切り拓くきっかけに桜丘中学校
- 中高6年間の男子校生活を謳歌し「物理の教員になる」夢に向かって邁進中日本大学豊山中学校
- 良き仲間と充実した中高6年間を送り“周りの人のことを考えられる”人間に麗澤中学校


