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私立中高進学通信

2020年12月号

実践報告 私学の授業

京華女子中学校

独自の『EHDプログラム』
中3生の卒業論文がスタート

大学入試や社会人になってからも求められる力を育成
卒業論文は生徒一人ひとりが自由にテーマを決めて執筆しますが、内容を練り上げる段階で、グループで意見交換する機会も取り入れられています。

卒業論文は生徒一人ひとりが自由にテーマを決めて執筆しますが、
内容を練り上げる段階で、グループで意見交換する機会も取り入れられています。

『共感力』を培う
EHDプログラム

 21世紀に活躍できる女性の育成をめざし、「共感力を育てる」「グローバル力をみがく」「学力を高める」の3つを柱に、真の学力と人間力を伸ばすことに力を入れている同校。中学では、学力と共にさまざまな資質や能力を、体験を通して総合的に伸ばしていこうと、総合的な学習の時間の中で『EHDプログラム(Education for Human Development:全人教育)』を実践しています。

 EHDプログラムは、今から約20年前、学習指導要領で総合的な学習の時間が導入された当時から、実施されてきました。ボランティアや伝統文化に触れるさま ざまな体験学習やICT教育、探究学習やプレゼンテーション発表など、その内容は多岐にわたります。

「EHDプログラムの目標は『共感力』を高めることです。さまざまな社会課題に向き合う時、問題を認識し、 “他人事”ではなく “自分事”として考え、感じる力が共感力です。
 伝統文化やボランティアなど、自分の生活とはかけ離れた分野での体験学習では、その分野で活躍する人から話を聴くことが不可欠です。まずは『聴く姿勢』を養い、そこから『共感力』を培い、そのうえでプレゼンテーションなどの発信力を育てなければならないと実感しています」と、EHD担当の山岡大祐先生は話します。

培った力を発揮し
中3の卒業論文がスタート

 大学入試はもちろん、社会に出てからも、これまで以上に思考力や文章の記述力が求められる今、同校ではEHDプログラムの意義を再確認し、新しい試みも始めています。そうした中で今年度、スタートしたのが、中3の「卒業論文」です。EHDプログラムの集大成として、そして、高校で始まる探究型の学習に備えて生徒一人ひとりが課題となるテーマを見つけ、解決に向けた方法を模索し、論文にまとめていきます。

 論文のテーマは、生徒が自由に設定します。まず、「ウィキペディア」のWebサイトを興味のおもむくままに閲覧して自分の検索を振り返り、興味・関心の方向性を明らかにします。その後、関連資料や文献収集を通して興味の対象への理解を深め、1月には6000字以上の論文を仕上げる見通しで進めています。優秀作は、2月に中学で開催するEHD発表会で発表する予定です。

「生徒たちは、『沖縄に住む野鳥の保全』『日米の教育制度の違い』など、多彩なテーマに取り組んでいます。卒業論文の作成を通して自分の興味の方向性を知り、高校での探究学習やその後の進路決定に活かすことができればと考えています」

『共感力』を育てるEHD教育
EHD・総合学習 年間プログラム

思考力を高める中2の『偉人新聞』作り
EHD担当/山岡大祐先生EHD担当/山岡大祐先生

 EHD教育の授業では、以前より、プレゼンテーションのスライド作成や考えを論理立てて述べる弁論などを、中1から行っています。これらの取り組みは、卒業論文の準備として、大いに役立っていると山岡先生は言います。

「中1では『自分史』と『自分の夢』をテーマに、スライドを作成して発表し、中2では自分が興味を持った偉人について調べ、新聞形式で発表する『偉人新聞』を作成しています。
 現代のようなインターネット時代に新聞?と、思うかもしれませんが、新聞は、紙面をパッと見ただけで大事な情報がわかる特性があります。見出しで要約力が、本文では表現力が試されるため、プレゼンテーションのスライドを作る以上に構成力が問われ、文章の的確な推敲も必要になります。
 また、偉人を知ることは、社会への関心を喚起する第一歩になります。この新聞作りの体験が、中3の卒業論文への橋渡しになればと考えています」

中3生の卒業論文作成の様子。テーマ選びで迷っている生徒には、担任の教員をはじめ、学年すべての教員が関わってサポートをしています。

中3生の卒業論文作成の様子。
テーマ選びで迷っている生徒には、担任の教員をはじめ、
学年すべての教員が関わってサポートをしています。

さらに高度な学びに挑戦
高校での探究学習

 2022年度から年次進行で実施となる高校の学習指導要領では、探究学習がより重視されますが、同校でも高1では思考力を伸ばすために「シンキングツール」(※1)を学ぶ時間を設け、高2では企業とのコラボレーションで課題解決力を育む『クエストエデュケーション』(※2)など、より主体性が求められる取り組みを用意しています。

「高校での探究が深まるかどうかは、クラスメートの意見をよく聴き、尊重できるかにかかっています。その原点は中学時代にあるので、中学でのEHD教育をより充実させていきたいと思っています」(山岡先生)

※1 シンキングツール…ブレーンストーミング・ベン図・チャート・マトリックスなど、思考を活性化し、高めるための方法。

※2 クエストエデュケーション…現実社会を題材に「生きる力」を育む探究学習プログラム。実在の企業や先人を題材に、リアルな学習テーマについて授業の中で取り組みます。

(この記事は『私立中高進学通信2020年12月号』に掲載しました。)

進学通信 2020年12月号
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