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私立中高進学通信

2020年12月号

校長が語る 自立へのプロセス

浦和明の星女子中学校

「自分の考えと意志で行動する
この自由が、完全な自立となる」

校長の島村新先生は、生徒との対話を通して「ほんとうの自由には大きな価値があること、しかし、その自由には責任が伴うこと」を伝えたいと語ります。

校長の島村新先生は、生徒との対話を通して「ほんとうの自由には大きな価値があること、
しかし、その自由には責任が伴うこと」を伝えたいと語ります。

明の星は自由な学校
好きなことができる
島村 新(しまむら・しん)校長先生島村 新(しまむら・しん)校長先生
浦和明の星女子高等学校に社会科教員として着任。以来「明の星教育」に魅せられ、現在に至る。2003年の中学校開校以降、2008年に副校長に、2012年に浦和明の星女子中学・高等学校の7代目校長に就任し、2019年より学校法人明の星学園の理事長を兼任。

「哲学の歴史を見ていくと、古代ギリシャでは、人間を知的なものだとして捉えていることがわかります。やがて人間は情的なもの、つまり優しさを持ったものだと考えられるようになりました。そして現代の哲学では、人間を意志あるものだと特徴づけています。私もこの明の星を生徒の意志を尊重する学校にしたいと思ってきました」

 そう語るのは、校長の島村新先生です。卒業生に中高6年間の感想を聞くと「明の星はとても自由な学校で、自分たちで好きなことができました」という答えが返ってきます。これは「自分で考え、自分の意志で好きなことができた」という意味です。多くの保護者の方々も同校が自由な学校だという印象を抱いているといいます。

「時には、生徒たちにとっては自由がない、いわば、すべてを大人たちが決めてしまうように感じられる時があります。しかし、この状態は思春期の成長において必要であるといえます。なぜなら、この段階を経て『こんなのはいやだ。私はやりたいようにやる』という意志の初期的段階が芽生えてくるからです」

これは自分がやるべきことだ
という確信を得る
自立に至るまでの3つのプロセス
  1. やらされている状態=自由も自立もない
  2. 束縛から逃れるために自由を得ようとする
  3. 主体的に行動する自由を得る=ほんとうの自由、完全な自立

 以前、島村先生が高1の担任を務めている時に、生徒によくこんな問いかけをしたそうです。「自由を求めて、意志ある行動をすることに人間的な価値があります。では、みなさんは学校に毎日通っていますが、自分の意志で来ているのですか? それとも両親に『行きなさい』といわれて来ているのですか?」

 そんなある日のこと。一人の生徒が同校の最寄りの駅で降りず、そのまま電車に乗って、沿線の大きな川を眺めに行ってしまうという出来事が起きました。し かも、その生徒は学校に「体の具合が悪いので、今日は休みます」とうその電話をかけていたそうです。島村先生はその生徒を叱りました。うそをついたことを叱ったのです。そして「自分の意志で学校に来なかったのですか?」と聞くと「はい」と答えました。

「彼女の行動は身勝手ですが、黙って人からやらされている状態よりは、自由意志という観点からは、良いといえるでしょう。
 ほんとうの自由意志に至るまでのプロセスを考えると、誰でも最初は人からやらされている状態があるのですが、その段階を0番目とすれば、その束縛から逃れようとする自由に気付くことになり、そのことが1番目の自由となるのです。
 しかし、人はこの1番目の自由を体験するうちに『これは自分の意志で行動しているのかな? もしかしたら、やらされていることへの反発かもしれない』と気付いて成長するのです」

 この段階を経て、次の段階といえる「2番目」の主体的に行動する自由を得るといいます。

『これは誰かにやらされているわけでも、何かから逃れようとしてやっているのではない。自分がやるべきことなんだ。だから、最後まで責任を持ってやろう』と思えるようになるのです。これがほんとうの自由です。こうして生徒は自立していきます。しかし、前述の生徒がしたように束縛から逃避する時期も大切なのです。いきなりほんとうの自由にたどり着かず、中学生から高校生になるにつれて螺旋状に成長していき、自立する状態を迎えるからです」

 そのような素晴らしい日々が来るのを待ち望みながら、生徒と語り合うのは、島村先生にとって心満たされるひと時だと語ります。

迷うことで自分の
限界を知ってほしい
クリスマスチャリティー活動で幼稚園を訪問。生徒たちが園児に絵本の読み聞かせをします。こうした活動に多くの生徒たちが自分の意志で積極的に参加しています。クリスマスチャリティー活動で幼稚園を訪問。生徒たちが園児に絵本の読み聞かせをします。こうした活動に多くの生徒たちが自分の意志で積極的に参加しています。

「しかし、2番目を迎えると、必ず生徒は『これで本当に良いのだろうか?』と思うようになります。進路の選択が良い例です。中学生の時に生徒が両親から『こういう大学のこういう学部へ進んで、こういう職業に就きなさい』といわれたとします。
 最初は両親のいうことに従って黙って勉強します。ここには自由も意志もありません。次第にこれに反発しようとして親を困らせるようなことをします。これが1番目です」

 この状態を経て、自分の自由意志で進路を選び取ろうとするようになります。これが2番目です。

「しかし、受験勉強に打ち込んでいるうちに『この進路を選択したことは正しいことだったのだろうか?』『将来、自分が就こうと思っている職業は、果たして自分に合っているのだろうか?』と考え出すのです。
 本校の生徒には、この迷ったり悩んだりする経験をたくさんしてもらい、自分の限界を知ってほしいと思います。
 こんな時は、自分が尊敬する人や、自分をよく知っている人、自分を心から愛してくれる人に『これで良いのですか?』と聞いてみたくなります。
 本校は聖書の教えに基づくカトリックミッションスクールです。生徒には、その答えを神様に求めてほしいと願っています」

自立のための取り組み
主体性を発揮する場面が
数多く用意されています
高齢者施設を訪ねて、歌を聞いてもらう生徒たち。ここには、ほんとうの自由があります。高齢者施設を訪ねて、歌を聞いてもらう生徒たち。ここには、ほんとうの自由があります。

 本校には、たくさんの行事があります。今年の文化祭は、新型コロナウイルスの影響を受けて中止になりました。すると実行委員が提案書を持ってきたのです。文化祭の規模を縮小して一般公開せずに開催できないかという内容でした。このように本校には、生徒たちが主体性を発揮する場面が数多く用意されているのです。

(この記事は『私立中高進学通信2020年12月号』に掲載しました。)

浦和明の星女子中学校  

〒336-0926 埼玉県さいたま市緑区東浦和6-4-19
TEL:048-873-1160

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