私立中高進学通信
2020年11月号
実践!未来の学び「AI×PBL」
武蔵野大学中学校
AI教材を導入した数学
PBLを展開する「未来の教室」
教員は自分のタブレット端末で生徒一人ひとりの学習の進捗状況を把握できるので、
必要に応じて生徒に声かけをします。
経産省の「未来の教室」
モデル校に選定される
2019年に校名を変更し、共学校となった同校。中1の数学の授業では、タブレット端末を使って生徒たちが問題を解いています。計算式は紙のノートに手書きします。問題を出しているのは、先生ではなくAIです。生徒の解答からAIが個々のわからない箇所を分析し、一人ひとりにあった講義動画や問題を出題しているのです。
同校では「グローバル&サイエンス」をテーマにした教育を実践。2019年の秋には経済産業省が推進する「未来の教室」の実証事業モデル校に選定されました。
「未来の教室」とは、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた「EdTech」という新しい教育を可能にする技術を使って、「知る」と「創る」が循環する新たな学びを生み出すプロジェクトです。同校では「知る」の部分に株式会社Z会のサポートのもとでAI教材「atama+(アタマプラス)」を導入し、「創る」の部分では「PBL(問題解決型)学習」を展開しています。
「生徒によって得意なところや間違えやすいところは違います。『atama+』は、こうしたデータをAIがすくい上げて、生徒の学習を最適化します。例えば、方程式を理解するには、小学校で習った小数や分数の知識が必要です。そこで、生徒の理解のどこに抜けているところがあるのかをAIが分析して、その箇所まで戻って学習するようにするのです」(数学科/関根先生)
先生からの一言
AIがきめ細かな個別指導を可能に
数学が得意な生徒は先に進み、遅れがちな生徒は苦手な箇所を理解できるまで復習できることが『atama+』のメリットです。AIの導入によって、対面式の集団授業では難しかったきめ細かな個別指導ができます。しかも、このAI教材には講義動画も入っているため、わからない箇所があれば、この動画で確認できるのです。一方、通常の数学の授業では、グループで問題を解いたり、正解した生徒にその解き方をみんなの前で発表してもらったりするなど、集団だからこそできる双方向の学びを心がけています。
まず、自分を理解し
次に社会に目を向ける
2019年度の「未来の教室」の成果を受け、2020年度から「atama+」を中1から高3まで導入しました。なお、中1の数学の授業は4時間あり、2時間を通常の授業に、残り2時間をこのAIを使った授業に充てているそうです。
一方、「PBL」とは「Project Based Learning」の略で、6年間をかけて、目の前にある社会問題を解決する経験を通し、自ら考える力を養います。
「中1ではこの『PBL』の授業を週2時間行っています。中世の人たちは航海をする時、北極星を見て自分の位置を知りました。自分の位置がわかることで、初めて自分の進むべき方向もわかるのです。そこで中1では、『まず自分を知る』ところから始めていきます。自分の特徴や、好きなもの・嫌いなもの、自分の過去やこれからのことなど、すべてを書き出しながら自分について深堀りしていきます。
こうして自分を客観視できるようにしたうえで、中2では自分と社会とのつながりを見つめ、中3では自分が社会にどのように貢献できるのかを考えていきます」(国際教育部部長/渡邉先生)
課題解決力と論理的思考力を育む
「PBL&言語活動」
世界中の人々と協働して
新しい何かを創り上げる力を
(国際教育部部長/渡邉多美恵先生)
「PBLでは、社会の問題に対して、自分はどう捉え、どう解決していくべきかのプロセスを学んでいきます。グローバル社会に貢献するには、自分の意見を持ち、それを相手に明確に伝わるように表現する力が求められるからです。今後、本校は海外大学への進学をサポートしていきます。昨年はオーストラリアの大学の進学説明会を開催しました。生徒たちに表現力をはじめとするアカデミックスキルをしっかりと身につけてもらった上で、世界中に送り出したいと考えています。そこで、中学の英語の授業8時間のうち1時間を『言語活動』という授業に充てています。自分の考えを瞬時にまとめて英語で表現するには、国語の力である言語の力が必要だからです」(国際教育部部長/渡邉多美恵先生)
「言語活動」の授業では、英語や国語といった教科の枠を取り払って、言語の4技能である『読む・聞く・書く・話す』を伸ばし、論理的思考力を養っていきます。インターネットで情報を収集したり、アイデアを出したり、レポートや論文の書き方を学んだり、プレゼンテーションしたり…。グループワークを楽しみながら、将来、世界中の人々と心を一つにして新しい何かを創り上げるための力を育てていきます。
思考の表現方法である「マインドマップ」を使って自分のアイデアを整理し、みんなの前で発表します。
高校ではさらに発展的な学びへ
PBLインターナショナルコース
高校からは希望により「ハイグレード」「PBLインターナショナル」「本科」の3つのコースに分かれて学びます。「PBLインターナショナル」では、正解が一つではない問いに対して、他の生徒たちと共にさまざまな角度からアプローチし、協働力や問題解決力を養います。なお、目標とする進学先は、海外大学や国内難関大学の国際系学部などです。
長年の実績によって「PBLインターナショナルコース」では、1年間の長期留学をサポートします。
高校ではさらに発展的な学びへ
アントレプレナーシッププログラム
アントレプレナーシップは、『起業家精神』と訳されます。当事者意識を持ち、社会が抱える課題の解決に向けて力を尽くしていける精神です。3コースの生徒全員が、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメソッドをとり入れたこの研修に参加できます。グループでワークショップを行いながら、最終的には起業家の前で自分たちの創りあげたアイデアを英語で発表します。
世界トップレベルの大学であるMIT。そのキャンパスで起業家や学生を前に、学んだ成果を英語で発表します。
(この記事は『私立中高進学通信2020年11月号』に掲載しました。)
武蔵野大学中学校
〒202-8585 東京都西東京市新町1-1-20
TEL:042-468-3256
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