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私立中高進学通信

2020年11月号

実践!未来の学び「関数グラフアート」

田園調布学園中等部

感性を刺激する授業で培われる
主体性と数学的思考力

第14回関数グラフアート全国コンテストでのカンファレンスの様子。

数式で絵を描く
関数グラフアートの実践
最優秀賞を受賞した『にじいろギター』(上写真のポスター内の図を拡大)。最優秀賞を受賞した『にじいろギター』(上写真のポスター内の図を拡大)。

 情報が氾濫する現代社会において、世の中で起こる事象を論理的に整理し、分析する思考力はますます欠かせない素養となっています。

 女子の中高一貫教育を行う同校は、約45%の生徒が理数系の進路を志望します。そこには、「体験」を重視する同校の学びがあるのです。

 例えば、数学科では2013年より、中2・中3の課題として関数を用いて絵を描く「関数グラフアート」に取り組んでいます。生徒が1人1台所持するChromebookを使い、グラフ描写アプリに関数の式を入力すると、画面上のグラフに曲線や直線が描かれ、それらを組み合わせることで1枚の絵を完成させます。数学に苦手意識のある生徒も、夢中になって取り組んでいます。

「生徒の自主性はどんどん高まり、近年では、より緻密な絵を描くために、まだ習っていない大学レベルの高度な関数を自分で調べる生徒も増えています。複雑な絵の場合、300以上の式を使っています」

 と、数学科主任の長岡敬佑先生は話します。

「スマホやパソコンが普及した現代、与えられた問題を解くだけが数学の力ではありません。関数グラフアートを通じて、表現力や発信力はもちろん、自ら課題を設定し、主体的に解決する力、プロセスを模索・思考する力を養ってもらいたいと考えています」

抽象的だった数式が
具体的になる瞬間を体感

 物事を多角的・多面的に捉える力を育むことを目的とした「教科横断型授業」も、同校が力を入れている取り組みの一つ。ここにもまた、理数科目への興味をかきたてるアイデアが盛り込まれています。

 高2の「数学×物理」の授業では、KAPLAブロックという長方形の積み木を用いて、物理の「重心の原理」と数学の「積分」を学びます。積み木を崩さないように工夫しながら積み上げていく生徒たちの表情は真剣そのもの。

「抽象的に捉えていた数式や理論が目の前で具体的なものに変わった瞬間、理解度はぐんと深まります」

 と細野先生は説明します。

 体験を通して得た実感こそが、生徒の能力を伸ばすという考えのもとに行われる数学科の多彩な体験型授業は、生徒たちが自らの未来を切り拓く力にもつながっています。

これが授業だ!
関数グラフアートで、数学に親しむ

 関数の式から導き出されたグラフによって、1本1本の線を描く関数グラフアート。数値や式を工夫しながら自分のイメージした絵の完成に近づけていく中で、数学の理解が深まり、学びの意欲が湧いてきます。時間をかけて物事に取り組むタイプの生徒の成長を促す取り組みにもなっています。

 主に理系の大学生や高専生が参加する関数グラフアート全国コンテストでは、毎年受賞者を輩出。2020年度には国際コンテストで2名がファイナリストに選出されました。

Desmos国際数学アートコンテスト入賞作品。

Desmos国際数学アートコンテスト入賞作品。

これが授業だ!
分析力と伝える力を育む 「コアプログラム」
思考を深めるワークショップやディスカッションを経て、集大成の研究発表では表現力を養います。思考を深めるワークショップやディスカッションを経て、集大成の研究発表では表現力を養います。

 知的好奇心を刺激する多彩な土曜プログラムの中でも、問題解決力を培う「コアプログラム」。統計教育に力を入れる数学科では、「身近なデータからわかることを統計学で分析しよう」という講座を実施しました。

 テーマは「1日のスマホ使用時間」「人気ドラマの高校生視聴率」など、生徒たちが主体的に設定します。Chromebookを活用し高1生を対象にアンケート調査を行ってデータ収集をし、分析します。

 これらの検証結果は、理系大学に倣いポスター形式で発表することもこだわりの一つです。1枚のポスターに情報をまとめ、伝える力をきたえます。

これが授業だ!
教科横断型授業「数学×物理」
教科横断型授業を通して、自分にはない発想に触れながら主体性も育まれます。教科横断型授業を通して、自分にはない発想に触れながら主体性も育まれます。

 物事を多面的に捉える力や、知識を融合した問題解決力を養う「教科横断型授業」。「数学×物理」の授業では、長方形の積み木(KAPLAブロック)を使って、数式や理論などの抽象的な概念を、具体的な事象として捉える体験をします。

 生徒たちは20個のブロックを少しずつ横にずらしながら、どこまで崩れずに積むことができるか、挑戦します。「物体の重心」を考え計算しながら積んでいくと、崩れずに積めることを体感。これを「積分の不等式」で求めると、ブロックは無限に積めることがわかります。こうして生徒たちは、その原理を体感的に理解するのです。

先生からの一言
数学で情報を正しく読み取る力をつけ、主体的な人間に
数学科・入試広報室長 細野 智之 先生(左)数学科主任 長岡 敬佑 先生(右)数学科・入試広報室長
細野 智之 先生(左)
数学科主任
長岡 敬佑 先生(右)

 「社会のあらゆる事象は、さまざまな事柄が複雑に関連して構成されています。そうした現代社会に対応するために、本校の生徒には数学の面白さを体感してもらいたい。また、ほかの生徒と協同する授業では、自分の長所や役割も発見できます。そこで育まれる自己肯定感は、社会と積極的に関わっていく力にもつながります」(細野先生)

 「与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、多角的な視点で情報を正しく読み取る力は、未来の社会を生き抜く上で欠かせません。生徒たちには、物事を論理的に考える数学的思考力と、統計リテラシーを身につけた、主体的な生き方ができる人間に育ってもらいたいと願っています」(長岡先生)

進学通信 2020年11月号
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