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私立中高進学通信

2020年11月号

実践!未来の学び「STEAM教育」

玉川学園中学部

Artを重視したSTEAM教育
課題解決力を伸ばす

Art LabのCNCルータを使って木材コンパネを切り抜きます。

美術教育を通して
臆せずに発信する力を

 国際バカロレア(IB)など世界標準の教育を実践する玉川学園は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)にも指定されており、科学・技術・工学・美術・数学を横断的に学ぶ「STEAM教育」に力を入れています。同学園では、STEAMの5つの領域の中でも「A=美術」が、重要な役割を担っていることが特色です。

「生徒たちが社会に羽ばたく頃には、現代では想像もつかない技術革新が進んでいるでしょう。これまでの知識だけでは、未来を生き抜くことはできません。新たな発想を生み出す創造性や、新しいモノ・コトに臆せず飛び込む勇気と柔軟性を養うのが美術教育の役割です」(美術科・瀬底正宣先生)

 昨年4月には木工・金工・染織・陶芸などの高度な専門設備を有した美術校舎・アートセンター内に、ものづくりの拠点となる「Art Lab」を開設しました。3DプリンターやCNCルータ、レーザー加工機などの最先端機器から、木工用具までそろえ、生徒たちの創作意欲を刺激しています。

「Art Labはモノづくりをしたい生徒や教員たちが気軽に集える場所です。自由な発想や興味が形になる達成感を味わってほしいと考えています」(瀬底先生)

課題を発見して解決する
力を育むモノづくり教育

 新型コロナウイルスの影響でオンライン授業が行われた期間にも、Art Labの最新機材が活躍しました。生徒たちが自宅のパソコンでCADデータを作成して学校に送信すると、先生が3Dプリンターで出力します。生徒たちは、登校して初めて自分の作品を手にして目を輝かせます。デジタル機材を活用することで手作業では難しい作品を簡単に作れるため、創作へのモチベーションも高まります。

「自分の想像とは違う仕上がりになっても、データを調整すればすぐに修正できます。失敗を怖れることなく試行錯誤できるのも、デジタルによるモノづくりの良さです」(瀬底先生)

 一方で瀬底先生はアナログな創作活動も大切にしています。2年前からは、広大な学園敷地の林から出た間伐材を再利用する「TAMA TREE プロジェクト」を展開。のこぎりやかんななどの木工用工具を使って、さまざまなモノを制作しています。この活動で制作した椅子は併設の幼稚園に贈り、活用されています。社会を見つめ、必要な「物」に気付き、自らの手で創り出す。同学園の美術教育は自己表現にとどまらず、課題解決のプロセスや思考力を育むことを大切にしています。

これが授業だ!
モノづくりマインドを飛躍させる
「Art Lab」
大型の木材を加工できるCNCルータなど、最新の機材がそろいます。大型の木材を加工できるCNCルータなど、最新の機材がそろいます。

 瀬底先生は、Art Labが開設される前から、生徒とともにさまざまなモノづくりプロジェクトに取り組んできました。

「天文学をテーマに自由研究をしていた生徒が、NASAが設計した火星の住居『アイスハウス』の3Dモデルを作り、内部の温度変化の実験をしたいと相談してきました。3Dプリンターを使うとたちまちできあがる様子に感動した生徒は、今ではすっかりデジタルのモノづくりにのめり込んでいます」(瀬底先生)

 こうした活動が学校でも認められ、最先端の機材も充実させ、倉庫だった場所を生徒たちと一緒にペンキを塗るなど整備して、Art Labを開設しました。

 Art Labの運営には美術科の瀬底先生のほかにも、技術科や理科など複数の教員が参加しています。物理の研究に使用する構造模型や、演劇の舞台装置を作成するなど、今後は教科や活動の枠を超えたモノづくりへの展開が期待されます。

 同じ敷地内にある玉川大学との連携も計画されており、「大学生との交流を通じて、中高生にはさらに社会に目を向けたモノづくりマインドを養ってほしい」とArt Labの展望を語ります。

「実験用アイスドーム」。手作業で削り出すのは困難な二層式ドームも、3Dプリンターを使えば精密に仕上げることができます。

「実験用アイスドーム」。
手作業で削り出すのは困難な二層式ドームも、
3Dプリンターを使えば精密に仕上げることができます。

これが授業だ!
労作教育の精神を受け継ぐ
「玉川学園の美術教育」
ゴッホの名画をモチーフに、間伐材を利用して手作業で製作された椅子。ゴッホの名画をモチーフに、間伐材を利用して手作業で製作された椅子。

 昨年90周年を迎えた同学園ですが、創立当初は、広大な敷地を教員と生徒が協力して開拓するところから始まりました。その当時から重視してきたのが、「労作教育」です。「労作教育」とは、与えられた知識を詰め込むのではなく、自分で考え、発想を広げ、体を動かして物を作り、よりよい環境を実現する、同学園の大切にする教育方針です。

 モノづくりのルーツは伝統的な工具から、デジタル機器へと進化し、同学園でも積極的に取り入れています。

 瀬底先生は「重要なのは道具ではなく、社会的な視点に立ち、誰のために役立つのかを考えることです」と話します。同学園の美術教育は「労作教育」の精神を受け継ぎ、課題解決の力を育てています。

デジタル木工加工機・CNCルータを使って製作しました。デジタル木工加工機・CNCルータを使って製作しました。
美術部が学園祭で製作したペガサスのインスタレーション。3Dプリンターで出力した縮小版モデルを参考に、骨組みはCNCルータで切り出した木材パネルで作り、新聞紙と和紙を貼っていきます。美術部が学園祭で製作したペガサスのインスタレーション。3Dプリンターで出力した縮小版モデルを参考に、骨組みはCNCルータで切り出した木材パネルで作り、新聞紙と和紙を貼っていきます。
先生からの一言
美術を通して新たな価値を創造
美術科教員 瀬底 正宣 先生美術科教員 瀬底 正宣 先生

 国際社会で活躍できる人材の育成をめざす本学園では、語学教育も充実しています。しかし語学はあくまで道具にすぎません。大切なのは正しく話す力より、自分の考えを臆さずに伝える発信力です。美術も同様に、失敗はより良い成果に近づくための重要なプロセスです。なかには「自分には美術のセンスがない」と言う生徒もいますが、美しい絵を描くことが美術ではありません。社会に目を向けて多くの物事を吸収し、自分の中で消化して新たな価値をアウトプットする。そんな力を美術を通して育みたいと考えています。

(この記事は『私立中高進学通信2020年11月号』に掲載しました。)

玉川学園中学部  

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931

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