私立中高進学通信
2020年11月号
実践!未来の学び「IB×SDGs」
昌平中学校
IB×SDGsで培われる
生涯にわたり学び続ける力

「SDGs」の17の大きな目標について学ぶ生徒たち。
日々の学びを通して世界とつながっていることを実感しています。
SDGsで日々の学びと
世界とのつながりを実感
コロナ禍で「予測困難な社会を生き抜く力」の重要性が高まる中、同校では以前から、こうした力を育むための教育を行ってきました。2017年には中学校、2019年には高校が、グローバル人材育成の世界標準プログラム『IB(国際バカロレア)教育』(※)の認定校となり、既存の枠組みにとらわれない学習活動を展開しています。
同校が、2020年度からこれまでの取り組みを再編し新たに教育の柱に据えたのが、SDGs(持続可能な開発目標)です。
「SDGsがめざすものは、IBと同じく世界的な諸問題の解決です。本校がこれまでに取り組んできたことと、方向性に変わりはありません」
と、教頭で国際教育部部長の前田紘平先生は話します。
確かに、同校の生徒たちはこれまでもプロジェクト型学習などを通して、SDGsの「17のゴール」の中で、「貧困の解消」「地球環境保護」のテーマについて取り組んできました。そうした中、今回「SDGs」という世界共通の目標を掲げたことで、「問題を考えるきっかけが提供され、生徒たちは自分たちの学びが世界とつながっていることを実感できます」と前田先生は言います。
※IB(国際バカロレア)教育…世界基準で活躍できる人材育成を目標に、国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)が提供する教育プログラム。 IBは「International Baccalaureate」の略。同校は2017年3月に中等教育プログラム(MYP)の認定校、2019年11月には高校がディプロマプログラム(DP)の認定校となった。
修学旅行をSDGsの視点から
バージョンアップ
SDGsの導入に伴い、修学旅行(高2)の内容を見直しました。
「自然豊かなカナダ、世界の政治・経済・文化をリードする米国・ニューヨーク、発展途上の現場カンボジア、そして米軍基地問題を抱える国内の沖縄の4つから、生徒たちが行き先を選んで参加する形にしました。生徒たちにはSDGsの視点から、問題意識を持って参加してもらいます」(前田先生)
こうしたプロジェクト型の修学旅行を成功させる上で欠かせないのが、生徒たちの「主体性」や「行動力」ですが、同校の生徒はIBでの実践などを通じてすでに学んでいます。ご自身が文部科学省の「IB教育導入サポーター」や「IB公認ワークショップリーダー」として、IB教育の普及にも携わっている前田先生は、「IBでの実践を通じ、本校の生徒たちには自分で考え、行動を選択できる力が身についています」と、その成果を強調します。
同校ではそのほかに、「全生徒が英語を得意に」を合言葉とする「パワー・イングリッシュ・プロジェクト(PEP)」を行い、学校をあげて英語教育を推進しています。IBとPEPにSDGsが加わり、今後は3本柱でグローバル人材の育成を行う予定です。
これが授業だ!
教育のグローバルスタンダード
「IB(国際バカロレア)」

IBは、世界標準で活躍できる人材育成を目標に、スイスの国際バカロレア機構が提供する教育プログラムです。認定校は日本国内に83校ありますが、中学・高校ともに認定校となっている学校は少なく、埼玉県内では同校だけです。
中学校の授業の約6割がIB教育のプログラムに基づいて行われ、生徒たちはコミュニケーション活動を軸にしながら、知識・技能や思考力を高めています。高校では2019年度から「IBコース」が設置されており、このコースの生徒は高3の11月に行われる試験で修了資格を取得すれば、世界共通の大学入学資格を得ることができます。
これが授業だ!
社会とのつながりを意識した学び
「SDGs(持続可能な開発目標)」

SDGsとは、2015年の国連サミットで採択された国際目標(Sustainable Develop-ment Goals)の略称で、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など、17の大きな目標が掲げられています。今年度、同校ではSDGsの視点を取り入れた活動として、「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」を実施。生徒たちが小学校や幼稚園に呼びかけ、難民キャンプに届ける服を集めました。参加した生徒からは、「人のために全力で取り組んだ初めての経験だった。思いやりや周囲の人への感謝、家族の大切さも共に学べた」「仕事をしている親がいつも大変であることがわかった」などの感想が寄せられました。
IB×SDGsを融合させた取り組み
地球サミット in 昌平

生徒たちが各国の代表として、エネルギー問題の条約締結に向けてディスカッションを行います。物理と公民の事前学習で得た知識も活用する教科横断的な取り組みです。
IB×SDGsを融合させた取り組み
コミュニティ・プロジェクト

中3生は自分の興味・関心に基づき課題を見つけ、1年間を通してその課題に取り組みます。自分で企業などに連絡を取り、訪問や奉仕活動を通じて実社会と関わり、その成果を卒業論文にまとめます。
IB×SDGsを融合させた取り組み
JICA地球ひろば訪問

JICA地球ひろばを訪問し、開発途上国のことや世界の現状、課題解決への工夫を学びます。事前学習として、SDGsについて調べ、「自分たちにできること」をレポートにまとめます。青年海外協力隊の方々にも取材しました。
先生からの一言
生涯学び続ける力を育てたい

前田 紘平 先生
変化する社会においては、今学んでいることが20年後に通用するかさえわかりません。そのような社会を生きていくには、知識を習得すること以上に、「概念」や「学習手法」を学び、「生涯にわたり学び続ける力」を高めていくことが大切です。先日、本校の高校生の1人が、「中学時代のIBのおかげで、勉強するための下地ができた」と話していました。生徒たちは、学び方や学ぶことの意味をしっかりと見出しているようです。将来は、自分のやりたいことを通して社会に貢献できる人になってほしいと思います。
(この記事は『私立中高進学通信2020年11月号』に掲載しました。)
昌平中学校
〒345-0044 埼玉県北葛飾郡杉戸町下野851
TEL:0480-34-3381
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