私立中高進学通信
2020年10月号
コロナに負けない!私学のアクション
横浜富士見丘学園中学校
緊急時だからこそ
生徒一人ひとりに心から
語りかける教育を
休校期間中は、オンラインホームルームを行いました。画面越しではありますが、
互いの顔を見ながらのやり取りによる、心の交流を大切にしています。
生徒の安全と
健康を第一に優先
2019年から男女共学校となり、新たな歴史を刻み始めている同校。『100年後の未来を支える教育』を掲げ、AI時代の到来、グローバル化やダイバーシティ化が急速に進むこれからの社会に対応する新しい教育の構築を推進しています。その一つとして、オンライン英会話を中3と高1の全員に必修とし、ICTを駆使した教育も充実させています。
このような先進的な教育に取り組んできていた中で起きた、新型コロナウイルス感染症による休校。休校期間中の対応と、この時期に大切にしてきたことについて、駒嵜健校長先生は次のように話します。
「本校では紙ベースの課題と合わせて、『スタディサプリ』(※1)などのICT教材を使った教科学習や、双方向のオンライン英会話、YouTubeでの授業動画配信など、デジタルツールを駆使したオンライン学習を進めてきました。
休校中、私が常に念頭に置いていたのは、教育は血の通った温かみのあるものでなければならないということです。もちろん教科学習を進めることも大切ですが、それにもまして生徒の顔を見て話す、声を聞いて様子を知るといったような、直接の交流を欠かさないことが重要だと考えます。そのため、『Google Meet』(※2)を利用したオンラインのホームルームを行い、とくに新入生のご家庭には電話で生徒をフォローするなど、生徒との交流が途切れないようにしていました。
4月7日の入学式は延期せざるを得ませんでしたが、4月13日に別途、新入生のみの登校日を設けて、対面でオンライン授業についてのガイダンスを行いました。
5月7日には簡易的ではありますが、午前に中学生、午後に高校生の入学式を敢行しました。密を避けるため、1000名を収容できる本校の大講堂で、新入生と保護者のみの参加で式を執り行いました。
教員たちは感染症対策などの準備で大変な思いもしたかもしれませんが、生徒一人ひとりにしっかりと時間をかけ、手間をかけることを惜しまない教育がそこによく表われていたと感じています」
※1 スタディサプリ…中学生・高校生・大学受験生を対象とするオンライン学習サービス。
※2 Google Meet…Googleアカウントを利用して使えるWeb会議サービス。Googleの授業支援ツール「Google Classroom」と連携して使用できます。
生徒との意思疎通を
絶やさない
「新入学の中1生に関しては、休校期間中は無理に学習を進める必要はないという方針をとりました。きちんと対面の授業を受けていないのに、〝生徒が学んだ〟と見なして学校の都合で進めることはできません。オンライン授業を予定通りに進めるだけで、学校が満足をしてはいけないと思います。とくに新入学の中1生は、中学での勉強方法や学習習慣などを長い目で見て育てていくことも、学校の重要な役割だからです。
自学自習の姿勢が身についている中2以降の生徒、とくに大学受験に向けた演習が学習の中心となる高3生に対しては、好きな時間に視聴して学習ができるよう、補助ツールとして授業動画の配信を行いました。授業の内容によっては双方向のオンライン授業も取り入れています。再び休校となる状況になっても実施できるよう、今後に備えてオンライン学習の態勢を整える一方で、紙ベースの課題の配信と指導も続けていきます。
昨今のICT化による無駄を省いた効率的な授業とは逆行するようですが、本校では普段の授業からしっかりと時間をかけ、生徒が自分の考えを書く取り組みを大切にしてきました。書くことは自ら考えることにつながるからです。
これは『真の教育は魂の教育と信ずるが故に、どこまでも修養本位・人物本位で教育せねばならぬ』という本校の建学の精神につながるものです。今後もその方針が変わることはありません」
コロナ対策事例1
独自の教育理念や学習環境に合わせ
生徒のために最善の決断をする
密を避けることができるゆとりのある環境と、徹底した感染症対策によって、同校では5月7日に入学式を執り行いました。さまざまな学校行事についても中止とはせず、秋以降に実施する方向で、検討を続けています。
「本校では緊急事態宣言が出る前から、保護者に向けて休校の延期を発表するなど、いち早く学校の方針を示してきました。県に先駆けて7月18日付けで、学校で新型コロナウイルスの感染者が出た際のガイドラインも明確にしています。いざという時の対応を決めずに、生徒を登校させるわけにはいかないからです。
誰もが不安を感じる中で、学校の方向性などをきちんと示し、生徒たちの不安を和らげる受け皿になることも学校の大切な役割です。
体育祭や文化祭は、規模を縮小して実施する予定です。例年と同じ方法で実施しようとすると難しいかもしれません。しかし制約があるからこそ、どうしたら実施できるのかを教職員と生徒が一緒に考えることが大切だと思います」(駒嵜校長先生)
コロナ対策事例2
オンライン英会話を自校で実施
休校中も活きた英語に触れる
中1・中2のクラスには、ネイティブ教員が必ず副担任につき、ホームルームやランチタイム、学校行事など、学校生活の多くの時間を生徒たちと一緒に過ごすようにしています。英語教育に定評のある同校ならではの特色です。
このほか、中1の家庭科では、ネイティブ教員が英語で指導する「イマージョン授業」を一部で実施。また英語教室で行われる『グローバルセンター』を週2回、放課後に開くなど、学校生活の中で日常的に英語を「話す」「聞く」環境があります。
こうした、活きた英語に触れる機会を絶やさないために、休校期間中には中学生を対象にネイティブ教員によるオンライン英会話の授業が実施されました。
コロナ対策事例3
大学受験を学校全体で応援!
高3の学習スペース確保を優先
本来であれば7月20日から始まる夏休みを今夏は短縮し、中1から高2までの生徒は、7月31日まで登校。大学受験を控えた高3については、とくに通学時の感染リスクを避けるため、7月20日から自宅学習としました。これに合わせて、自習室と図書室の学習スペースを高3生専用として開放。学校全体で大学受験に向けた学習環境を万全に整えました。
高3生専用として開放された学習スペース。密を避け、座席を指定制にすることで感染防止に努めています。
(この記事は『私立中高進学通信2020年10月号』に掲載しました。)
横浜富士見丘学園中学校
〒241-8502 神奈川県横浜市旭区中沢1-24-1
TEL:045-367-4380
進学通信掲載情報
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