私立中高進学通信
2020年10月号
コロナに負けない!私学のアクション
昭和学院中学校
学びと学校生活への
意欲を高めた
オンラインの学級づくり

今回の取材では、新制服に身を包んだ
中1生の市川翔大くん(左)と野口紫穂さん(右)にもお話をうかがいました。
双方向にこだわり
休校期間中も活発に交流
コロナ禍に見舞われた休校中、迅速に生徒の学習環境を整えた同校。5月11日には双方向のオンライン授業をスタートさせました。オンライン授業には、配信型や双方向型などいろいろなタイプがありますが、同校ではWeb会議サービス『Webex』(※1)を用いた双方向型の授業に重きを置いてきました。
中1を受け持つ澁谷岳史先生(社会科/入試広報部)はその理由を次のように話します。
「オンライン授業を開始するにあたってさまざまなツールを検討しましたが、画面に映った生徒の表情を確認しながら進められることが何よりも大切であると考え、双方向の質にこだわりました。
授業は本校の学びの中心であり、学級は学校生活の中心にあるものです。そして、学校はただ学力を身につけるためだけの場所ではありません。
何のために学校で学ぶのかを改めて考えた時、やはり大切なのは教員やクラスメートと同じ時間と場所を共有し、ともに学ぶことであると再確認しました。オンラインでは場所は共有できませんが、〝学校で学んでいる”という雰囲気は生徒たちに届けたいと強く思いました」
5月中旬に、Webexで1学年4クラス、100名以上の生徒に対して『質問教室』という授業を実施したところ、自由参加にも関わらずほぼ全員の生徒が参加し、音声やコメント機能を使って学年の交流を深めたといいます。
※1 Webex…双方向のオンラインコミュニケーションを実現する多機能なWeb会議サービス。
積極的に
授業に関わる生徒たち
同校では生徒が1人1台iPadを所有しています。新中1生にも4月の時点で一斉にiPadが郵送されました。休校期間中は主に『Meta-MoJi ClassRoom』(※2)(以下、メタモジ)というアプリケーションを活用して、さまざまな取り組みが行われました。
「オンライン授業はメタモジ上に動画を貼り付け、その動画を見ながら解くという形で行いました。また、生徒たちにもメタモジの機能を学校生活や学びに活かしてほしいと考え、まずは自己紹介をテーマにしたプレゼンテーションを作成してもらいました。
6月に1クラスを半分に分けた分散登校ができるようになってからは、登校している生徒が作成した資料を電子黒板に投影し、自己紹介のプレゼンテーションをして、その様子をWebexで在宅の生徒と共有しました。この自己紹介を機に、クラスの雰囲気が一気に変わり、一体感が強くなりました」
休校期間中の学級運営に重点を置いたオンライン学習は、生徒たちの「主体的にクラス運営や授業に関わろう」という気持ちを高めていったようです。
「6月中旬に一斉登校がスタートして間もなく、『〇〇先生の△△講座』という授業を始めました。これは、それぞれの生徒が熱中していることや興味・関心のあることを、メタモジを使って資料を作成し、プレゼンテーションをするというものです。
プレゼンしたい生徒を募ったところ、当初は少数の生徒が手を挙げただけでしたが、生徒によるプレゼンテーションを進めていくうちに、『私もやりたい』と多くの生徒が申し出てくれるようになりました。写真や画像を効果的に用いたり、自分で作成したアニメーションや作曲した曲を流したりと、発表の方法にオリジナリティが生まれていっています。
好きなことや情熱を注いでいることは一人ひとり違います。生徒同士が互いの興味・関心を知り、それに触れて視野を広げたり、その情熱に触発されて自分の好きなことを突き詰めていく姿勢が生まれていったりと、生徒同士が学び合いながら成長していることを実感しています」(澁谷先生)
※2 MetaMoJi ClassRoom…あらゆる端末で利用できる手書きメモアプリ。学校教育に特化した「学校版」もリリースされており、写真やWebページ、表組みなどを貼り付けてプレゼンテーション資料の作成なども行うことができる。
新中1生インタビュー
興味・関心とじっくり向き合い、コロナ禍でも豊かに学ぶ
今年入学した中1生たちは、新コース制・新入試・新制服がスタートした同校の『令和の昭和Project』の第1期生となります。今回お話をうかがった澁谷先生が担任するアドバンストアカデミーの中1の生徒たちにお話をうかがいました。


──休校が決まった時の気持ちや、休校期間中にどのように過ごしていたのかを教えてください。
野口さん
昭和学院には最先端の施設・設備があり、小学校時代には経験しなかったような電子黒板やiPadを使ったワクワクする授業が行われることを学校説明会などで知り、とくに授業を楽しみにしていました。
休校が決まってからは本当に悲しかったですが、入学してから勉強をがんばりたいと思っていたので、登校が始まった時に備えて勉強をしようと前向きに考えました。家では学校から配られた課題はもちろん、自分なりに予習もしました。
市川くん
休校期間中は小学校時代の友達とも会えず、辛いこともありました。それでも、これからの中学校生活に向けて、できることをやろうと気持ちを切り替え、ストレスをためないように自分のペースでがんばればいいと、考えるようになりました。
時間はたっぷりとあったので、学校からの課題や小学校時代の復習に自分のペースで取り組むことができて良かったと思います。
学校から出された自己紹介の課題に取り組むことをきっかけに、自分の興味・関心とじっくり向き合うことができたので、充実した時間を過ごせたと感じています。
──5月11日からスタートした、オンライン授業やオンラインホームルームの感想は?
野口さん
実際に会ったことはないけれど、先生やクラスメートとオンラインで“会う”ことができたので、一人ではないと勇気づけられました。Webexを使った双方向の授業のほかに、YouTubeで好きな時間に試聴できる補習動画などいろいろな方法でわかりやすく授業をしてくれたので、スムーズに勉強を進めることができたと感じています。
市川くん
休校中でも、オンラインを利用して先生やクラスメートとコミュニケーションをとれる機会が多くあり、楽しかったです。コメント機能なども使うことができ、先生方に気軽に質問できたのも良かったです。
──6月から学校に通えるようになってから印象に残っている取り組みは?

感染防止対策をしながら過ごしています。
野口さん
『〇〇先生の△△講座』という授業が印象に残っています。私は韓国のポップカルチャーについて調べ、プレゼンテーションをしました。この授業では自分の意見をまとめ、表現したり伝えたりする練習ができて、とても良い勉強になりました。また、クラスメートのことをもっとよく知ることができ、本当に面白かったです。
市川くん
休校期間中に予習をしていたので、登校後の授業がより充実し、予習の大切さを実感しました。僕も『〇〇先生の△△講座』の授業がとても楽しく、休校期間中に自分が興味を持っていたマヤ文明について調べた内容をメタモジにまとめ、プレゼンテーションもしました。
また、学校に通えることの喜びを実感できたことで、学校生活をより充実させたいと考え、テニス部に入部することを決めました。これからは勉強も部活動も、さらにがんばっていきたいと思っています。



同校生徒が1人1台使用するiPadのアプリMetamoji ClassRoomで作成された
『〇〇先生の△△講座』のプレゼンテーション資料。
動画や写真を使って立体的に自分の好きなものを紹介しています。
休校中に自主的に学んだことを表現した生徒も多かったそうです。
先生から一言
自分を表現する方法を
楽しみながら身につけてほしい

オンライン授業を通して教員もICTの活用方法について検討し活用し始めると、生徒たちもすぐ適応してくれました。完全登校が始まってからも、メタモジを授業に活用しています。
例えば、「今日の授業で学んだ、熱帯地域の暮らしについて知っていることを自由にまとめよう」という課題を出すと、文章だけではなく画像などを貼り付けて、その生徒ならではのレポートを完成させるスキルが身についていきます。
これからも習ったことを自分で消化して、新しい情報を自分で探し出すこと、そして表現することを、楽しみながら身につけていってほしいと思っています。
(この記事は『私立中高進学通信2020年10月号』に掲載しました。)
昭和学院中学校
〒272-0823 千葉県市川市東菅野2-17-1
TEL:047-323-4171
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