私立中高進学通信
2020年10月号
実践報告 私学の授業
品川翔英中学校
スモールステップで展開する
中高一貫の探究学習
自律した学習者を育てる

今年入学した中1生が、1学期の探究学習で発表する様子
自律した学習者を育てる
新しい学校
自主的に未来を切り拓く力、新たな価値を創造する英知、未来へ飛翔し貢献する心を育てる『自主・創造・貢献』という校訓を掲げ、2020年4月に共学化と校名変更を行った同校。『品川翔英』という新たな校名には、「グローバルな企業が集う品川から、世界へ、未来へ英知が飛翔する」という意味が込められています。この校名にふさわしい新しい教育を実現するための柱となるのが、『自律した学習者(Learner)を育てる。』という教育ビジョンです。
そのための独自の教育として、同校は週6時間の『Lerner's Time』というカリキュラムを設けています。
「そこでは主に4つのプログラムを実施します。1つ目は、探究学習です。地域や社会の課題を発見して解決していく問題解決型の学習によって、知識と共にプレゼンテーション力やコミュニケーション力も身につけていきます。2つ目は、海外研修や国内での国際交流などを通したグローバル教育、3つ目は、ボランティア活動などに取り組む社会貢献プログラム、4つ目は、ICTを活用した個別最適化学習による自律的な学習です。
なかでも6年間を通して取り組んでいく探究学習は重要で、Lerner's Timeのカリキュラムをはじめとする本校の学びと連動して、段階的に展開しています」(入試広報室室長/三本正行先生)
探究学習を通じて育む
自らの進路を切り拓く力
探究学習では、既存の価値観に疑問を持ち、解決策やその手段を探り、問題解決へ向けて実際に行動することをめざしています。
「中1・中2の段階では、まずは探究学習のスキルを習得し、最終的には自ら設定したテーマについて、個人研究を主体的に進めていけるようにしていきます。探究学習を通して、自分を見つめ直し、自らの生き方や将来を考えて、自分の進路を主体的に切り拓く力を身につけてもらいたいです」(探究型学習部長/吉成恭子先生)
探究学習の一環として、校外学習の機会も多く設けています。
「第1期生となる今年の中1生に向けては、旧東海道を歩くフィールドワークや東京臨海広域防災公園での防災体験学習、図書館で検索の方法についてレクチャーを受け、情報収集の方法を学ぶ取り組みなど、多彩な学びを予定していました。また、年間を通じて『ドラマエデュケーション』(※)も行う予定です」(中高一貫部長/熊坂尚子先生)
生徒の興味・関心や必要に応じて、フィールドワークや専門家へのインタビュー取材などを柔軟に取り入れていく同校の探究学習。
「生徒と共に本校ならではの探究学習を作り上げていくことを楽しみにしています」(吉成先生)
※ドラマエデュケーション…ドラマ(演劇)の手法を使ったエクササイズや即興劇の創作活動を通して、コミュニケーション能力・表現力・社会性などを育むプログラム。
Learner's Time 品川翔英の探究学習 6年間の流れ

授業レポート
中1の探究学習 「海洋プラスチック」を探究
新型コロナウイルス感染症対策による休校期間が終わり、ようやく登校を再開した6月。1学期に行う予定であった探究学習を一部変更し、1学期は「海洋プラスチック」をテーマに、探究プロセスの体験からスタートしました。
中1・中2は全員で同じテーマについて、探究学習を進めています。 ❶課題の設定、❷情報の収集、❸整理・分析、❹まとめ・発表というプロセスを、さまざまなテーマを対象に繰り返し行うことで、探究学習のスキルを習得していきます。

2人1組で簡単なディスカッション。テーマについての疑問点や問題点を出し合い、探っていきます。

「プラスチックストローを廃止すべきか否か」をテーマに情報を集めます。自分の考えに加え、クラスメートの意見を聞きながら、さまざまな資料にあたり、調べ学習を行います。

ロイロノートの「バタフライチャート」というシンキングツールを使い、集めた情報や自分の考えを整理していきます。

自分の考えを「クラゲチャート」というシンキングツールにまとめて、発表しました。
FOCUS!
ルーブリック評価を導入し、非認知能力を伸ばす
同校の探究学習では、非認知能力を育成するためにルーブリック評価を取り入れていることも大きな特徴です。
「非認知能力とは、意欲・関心、コミュニケーション能力、主体性など、学力テストでは測ることができない能力のことです。これらの能力について、探究学習における生徒一人ひとりの授業での様子や提出物、プレゼンテーションなどを見て、『ルーブリック表』によって評価をします。
このルーブリック表には、生徒にできるようになってもらいたい事柄がレベル別に設定されているので、どのような力が評価されるのかが「見える化」され、生徒も努力しやすくなります。
さらに教員の評価だけではなく、自己評価と生徒同士による相互評価も加えた、360度評価になっています。このように多角的な評価を行うことで、基礎学力だけでなく非認知能力の向上も図っていきます」(三本先生)
(この記事は『私立中高進学通信2020年10月号』に掲載しました。)
品川翔英中学校
〒140-0015 東京都品川区西大井1-6-13
TEL:03-3774-1151
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 簡潔な解説動画と Zoomによる双方向授業で 効果的な学びを展開聖徳学園中学校
- 学びと学校生活への意欲を高めたオンラインの学級づくり昭和学院中学校
- 先生同士が団結し生徒の不安を取り除くきめ細かなケア態勢多摩大学目黒中学校
- 5月11日から全学年で1日6時間のオンライン授業 学びを止めない取り組み東京女学館中学校
- 創意工夫あふれる授業を実施受験生向けイベントもオンラインを活用文教大学付属中学校
- 生中継で入学式を実施オンライン授業は自学自習を習慣づけるきっかけに山脇学園中学校
- 緊急時だからこそ生徒一人ひとりに心から語りかける教育を横浜富士見丘学園中学校
- 自律心の育成と尊重教室とは異なる学びを大宮開成中学校
- 「野球」の技術を磨きながら人間としても大きく成長日本大学第二中学校
- 部員たちが能力の限界にチャレンジできる環境を用意星野学園中学校
- 共学校として、新たな伝統のスタート知性と品格が感じられる新制服光英VERITAS中学校
- 「英語イマージョン」教育で毎日英語を使っています!浦和実業学園中学校
- 「ジブンのドラマをデザインできる品格ある個人になるために」神田女学園中学校
- 「夢や目標があればがんばれる大切なのは自ら考え行動する力です」帝京大学系属帝京中学校
- スモールステップで展開する中高一貫の探究学習品川翔英中学校
- プレゼンテーションの構成を学ぶ意欲的な試み明治大学付属八王子中学校
- 中高6年間の『国際コース』2021年よりスタート江戸川女子中学校
- 英語で考え、英語で発信4技能を育成する『SEC』秀明中学校
- 画期的な英語教育に特化『GSCコース』誕生小石川淑徳学園中学校
- 中3の全員留学を通して自己を確立、主体性を育成東京成徳大学中学校
- 高校DDコースのノウハウを中学英語教育にも活かす文化学園大学杉並中学校
- 行動や実践を伴う真のグローバル教育サレジアン国際学園世田谷中学校
- 一人ひとりの英語力を伸ばすeラーニングシステム『YES』八雲学園中学校
- 3カ月間のオーストラリア ターム留学〜にちがくグローカルプログラム〜日本学園中学校
- より高い目標をめざして併設大学以外への進路指導も充実東洋大学京北中学校
- 初めての「オンライン文化祭」を開催!昭和女子大学附属昭和中学校
- 2021年度より「理数コース」を新設世界へ羽ばたく理数系人財の育成をスタート世田谷学園中学校
- 創立以来最大の改革が進行中「日駒トリニティ」で生徒の人柄を育む日本工業大学駒場中学校
- 絆を重んじ生活を大切に6年間のスタートライン日本大学第一中学校
- SDGsの学びが視野を広げ成長する糧に和洋九段女子中学校
- 揺るがぬ基礎力を形成する『レイヤードメソッド』共立女子第二中学校
- 変化と挑戦にトライし続け社会に貢献できる人間を育成青稜中学校
- 自己肯定と他者尊重の心を大切に育てています東洋英和女学院中学部
- 自ら考え学び人間力を高める『自学創造』教育を実践安田学園中学校
- 長所で勝負できる大人になってほしい自分の長所を知るためのヒントを与えたい立正大学付属立正中学校
- 自分の成長を入試に活かす『アクティブ入試』武蔵野中学校
- 個々の生徒の特性や志望する大学・学部を見据えた個別の進路指導城西大学附属城西中学校
- 豊富で魅力的な教育プログラムを6年間の学校生活と大学進学に有効活用二松学舎大学附属柏中学校
- 『キャンパスツアー』で学校の良さを伝えました!国府台女子学院中学部


