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私立中高進学通信

2020年9月号

校長が語る 自立へのプロセス

恵泉女学園中学校

「創立以来の理念である
自分らしさを大事にする教育

同校ではいのちの大切さを知るため、「園芸」の授業を取り入れています。9月に種をまき、育ててきたダイコンを11月に収穫。協働することの大切さや汗を流す喜びを学びます。

同校ではいのちの大切さを知るため、「園芸」の授業を取り入れています。
9月に種をまき、育ててきたダイコンを11月に収穫。協働することの大切さや汗を流す喜びを学びます。

生徒が自分自身を見つめる「感話」
本山 早苗(もとやま・さなえ)校長先生本山 早苗(もとやま・さなえ)
校長先生
恵泉女学園中学・高等学校出身。国際基督教大学(ICU)卒業後すぐ、英語教員として恵泉女学園へ。勤続35年間のうち、昨年まで11年間は副校長を務め、今年、同校卒業生初の校長に就任。「生徒たちには自分らしさと他者への共感力を大切に成長してほしいと願っています」

 1929年、明治時代にアメリカ留学を果たした新渡戸 稲造や津田塾大学を創立した津田 梅子らに師事した女性教育者・河井 道により、同校は創立されました。河井先生はアメリカの「セブン・シスターズ」と呼ばれる名門女子大学の一つ、ブリンマー大学の卒業生です。第一次世界大戦を体験し、「世の中の動きをしっかり見て、平和な世界を創り出す女性を育てたい」という河井先生の信念は、今も同校に受け継がれています。

「本校の基盤にあるのはキリスト教信仰です。友達と互いを尊重し合い、それぞれの個性を大切にして高め合っていく。そのような友愛があってこそ、海外の人たちとも仲良くできるのだと思います」

 と語るのは今年度より校長に就任された本山早苗先生です。先生ご自身も同校を卒業し、同校の教えを実践し、教鞭をとられてきました。

 本山先生が自立の第一段階と考えるのは、「生徒それぞれが自分をしっかりと見つめること」。その絶好の機会が『感話』です。1年間に3回、自分の考えや意見を原稿用紙3枚以上の文章にまとめて、クラスメートの前で発表する『感話』は、全生徒が中1から毎年行う創立以来の伝統です。

「クラス礼拝で毎週、順番に発表するところから始まり、中3と高3は中高それぞれの全体礼拝で発表します。多くの生徒の前で発表する感話は、自らを表現し、互いを知る精神的な成長を促す場となっています。
 また、先輩の感話を聞くことで下級生は大きな影響を受けます。感話のために文章を書くことを繰り返すなかで、『自分とは何者か?』と、自らを見つめることになります。自立への大きなステップですね」

クラブ活動や課外活動
進路指導で先輩に学ぶ
自立のための3つのポイント
  1. 『感話』を通して自分を見つめる
  2. 先輩から学ぶロールモデル
  3. 自分の関心から世界を広げる

 先輩たちの背中から学ぶことも、生徒の精神的な成長を促すうえで、とても大事にされています。

「本校のクラブ活動や課外活動では、学年を越えて活動します。高校生は自分の中学時代の悩みや課題をふまえてとても上手に指導し、下級生は先輩のアドバイスを素直に受け入れて成長しています」

 先輩から勉強のアドバイスを受けることも、同校の良き伝統です。

「例えば、練習時間が多く、ハードなクラブ活動をしながらも、しっかり力をつけて、希望の大学に進学する生徒が何人もいます。塾に通う時間がないため、『学校内でしっかりと勉強をカバーしよう』という考えが、先輩から後輩へと受け継がれているようです」

 また、文芸部では同校の卒業生である作家の柚木麻子さんがコーチとして創作指導に来てくれるなど、OGとの交流も盛んです。

「OGを含めた先輩たちのイキイキした姿は、生徒たちに大きな刺激を与えます。20~30代のOGが進路全般について語るキャリアガイダンスや、さまざまな大学の学部・学科に進学した卒業生50名による進路相談会のほか、高3生が中学生の教室を訪ねて、学習アドバイスをする機会もあります。本校ならではの先輩に学ぶ進路指導を盛んに行っています」

東北の被災地支援から
進路を考える生徒も
宮城県南三陸町の歌津を訪れ、ワカメ収穫作業をはじめ、地元の方々との談話会など、さまざまなお手伝いをする『歌津応援プロジェクト』。毎年、同校の卒業生も在校生とともに訪れています。宮城県南三陸町の歌津を訪れ、ワカメ収穫作業をはじめ、地元の方々との談話会など、さまざまなお手伝いをする『歌津応援プロジェクト』。毎年、同校の卒業生も在校生とともに訪れています。

 本山先生は何よりも、「生徒たちが自分の世界を広げることを大切にしたい」と言います。生徒の世界を広げるきっかけ作りとして、修学旅行は同校ならではのオリジナルのコースをつくり、グループごとにテーマに沿った深い学習を行ったり、日々の学びのなかでも平和教育や有志の自然観察会を実施したり、アメリカやオーストラリア、タイへの留学や国際交流プログラムなど、興味・関心を広げる多彩なコンテンツを用意しています。

 東日本大震災の翌年からは、『歌津応援プロジェクト』をスタートさせ、毎年、震災の被害を受けた宮城県南三陸の歌津町へワカメ収穫作業のお手伝いに行っています。このプロジェクトの生徒たちへの影響は大きく、「地元へ貢献したい」と宮城に就職した生徒や、『地方行政を勉強したい』と慶應義塾大学法学部政治学科へ進んだ生徒、この春は、『防災に強い都市づくりを勉強したい』と、東北大学工学部建築・社会環境工学科へ進学した生徒もいるそうです。また芸術系の道へ進む生徒も多く、同校の個性重視の校風が感じられます。

「本校には創立以来、制服がありません。創立者は一人ひとりの個性の表出を大事にしていました。その根底には、『あなたは愛されている存在であり、一人ひとりが大切だ』というキリスト教の考え方があります。
 本校は自分らしさをそのまま大切にできる学校だからこそ、『自由を守りつつ、自分の頭で考えて、自分の行動に責任を取れる人になってください』と、常に生徒たちに言い続けています」

 自由に伴う責任を感じながら、一人ひとりが自ら選んだ道を歩む。同校での6年間は、生徒を自立へと導く道筋そのものといえるでしょう。

自立のための取り組み
スピーディーな休校への対応で
6~7時間のオンライン授業を実施
担任教員とクラス全員が顔を合わせるオンライン・ホームルーム。休校中もしっかり学びを定着させるよう、学習面、メンタル面ともにきめ細かなサポートを行いました。担任教員とクラス全員が顔を合わせるオンライン・ホームルーム。休校中もしっかり学びを定着させるよう、学習面、メンタル面ともにきめ細かなサポートを行いました。

 新型コロナウイルス感染対策のため、休校となった4月にオンライン授業をスタートさせ、5月11日からは全学年が通常の時間割通りの授業を、オンラインで受けられるようにした同校。驚くべき迅速な対応です。

 先生方はオンライン授業の講習会で研修を重ね、授業動画約900本を作成。動画配信以外にも、プリント学習やWeb会議サービスの「Zoom」によるライブ授業などを組み合わせ、学習の遅れがほとんどない状態で、6月から一斉登校を再開しました。登校を再開してからは、玄関に非接触型体温測定器を設置し、外部の来訪者の動線も規制するなど、生徒の安全を優先した取り組みを行っています。

(この記事は『私立中高進学通信2020年9月号』に掲載しました。)

進学通信 2020年9月号
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