私立中高進学通信
2020年2・3月合併号
ビジョン
立正大学付属立正中学校
先進教育委員会が改革を推進
ICT・グローバル教育を積極的に刷新

2016年度より貸与型でiPadを導入した同校。
生徒たちはさまざまな教科で、オンライン教材を活用したり、
共有機能を利用したグループ学習を行ったりしています。
日蓮宗の教えを核に、豊かな人間形成を行っている同校。
2019年度から先進教育委員会が発足し、新たな教育改革に取り組んでます。
電子黒板、タブレット端末で
学びがグレードアップ
日蓮宗の宗祖・日蓮聖人の『立正安国論』に基づき、「正しいことを立てて国を安らかにする=社会に有益な人材を育てる」ことを理念に教育を行う同校。Research(調べる)、Read(読み取る)、Report(表現する)の3つのスキルを伸ばす『R─プログラム』など、生徒の思考力を伸ばす取り組みを実施してきました。
2019年度からは、先進教育委員会を立ち上げて、さらなる教育の改革を行っています。先進教育委員会には教科の枠を超えて15人の先生方が所属し、ICTやグローバル教育などを中心になって推進しています。
「今までは新たな提案があっても、部署ごとや学科ごとにバラバラに主導されていました。今後はこの委員会を中心に、学校としての方向付けをしていきます」
と、先進教育委員長の杉山茂巳先生は言います。
まずは第一弾として、ICTへの取り組みの改革が行われました。2016年から電子黒板とiPadの導入をスタート。ICT支援員も採用し、サポート体制を確立しました。
当初は様子を見ながら授業に取り入れていく予定でしたが、すぐに活用され、2年ほどで中高の全教室に電子黒板が整備されました。全教員のパソコンには電子黒板のコントロール用ソフトがインストールされ、とくに主要5教科では電子黒板が積極的に使われるようになりました。
「パワーポイントの資料をそのまま電子黒板に投影できるので、社会科の授業ではとても助かっています。数学の授業ではグループウェア(※1)を活用し、iPadと連動させて協働学習を行っています。英語では音声学習でICTを活用。また、すべての教科で言えることですが、教員の板書の時間が短縮されたことは大きな効果です」
教員が板書している時間は、どうしても生徒の集中力が途切れがちになるため、その時間を省いたことで生徒の興味も維持できるようになったといいます。
※1 グループウェア…ネットワークを用いて情報共有を行うツール。
先進教育委員会が
教員全体のアイデアを集約
こうした取り組みは、今まではICTに強い教員が主導していました。今では先進教育委員会が主導し、導入を予定しているグループウェアを委員会で検討し、全教員に試用してもらっているそうです。現在は合計200台のiPadを生徒に貸与していますが、これからは1人1台が実現していくことを考えているそうです。
「電子黒板の時もそうでしたが、無理に導入してハードルを上げるのではなく、現場の教員や生徒からのニーズに合わせてボトムアップで積み上げていくようにしたいですね。すでにオンライン教材なども活用しています」
2021年度には中学でデジタル教科書の導入も検討しているとのこと。先進教育委員会を中心に、ICT教育もますます活発になりそうです。
グローバル教育、探究学習も
学校全体で取り組む

先進教育委員会の取り組みの、もう一つの柱がグローバル教育です。希望制でイギリス、アメリカへの18日間の短期留学プログラムを実施していますが(※2)、中1と中3の希望者を対象とする福島県のブリティッシュ・ヒルズでの3泊4日の英語研修も、2017年度からスタートしています。この体験をきっかけに海外留学を希望する生徒が増え、保護者の関心も高まっているそうです。
先進教育委員会がICT教育の推進だけでなく、グローバル教育全体についても扱うことになったことで、国内研修から海外研修、留学への流れもスムーズにサポートできています。
また、学校全体で取り組む探究学習の情報収集・方向性の選定なども、先進教育委員会で行っていく予定です。
「今まではICTもグローバル教育も、詳しい教員が判断して行う、という形が多かったのですが、今後は先進教育委員会が検討して導入、という流れになります。各教科との連動や、現場のアイデアの吸い上げも、今まで以上にできるようになると思います」
ICTや留学のシステムをやみくもに入れるのではなく、先生方への研修や検討などもしっかりと行い、一歩一歩改革を実施している同校。すべての取り組みを「生徒の成長にどうつなげるか」を主軸として捉え、時代に合わせた学びをつくりあげていきます。
※2 希望制の短期留学プログラムは、イギリス・プログラム、アメリカ・プログラムを隔年で実施しています。
先進教育委員会が進める改革
教員全員がICT研修を受講
「ICTを導入しても、『得意な先生だけが授業で使う』という状況では、生徒のレベルアップにはつながりません」と杉山先生。学校一丸となって取り組み、教員がまずしっかりと新しい教育を理解し、実践できるようになってはじめて、成果が出るという考えです。
全教員がICTスキルを身につけられるよう、毎年行われるICT講習の受講を義務化。常に最新の使い方を学ぶことで、教員の活用レベルを全体的にアップさせています。
「ICT機器は、ただ使えばいいというものではないので、授業のポイントで効果的に使えるように全体のスキルをレベルアップしています。あとは各教科の先生方の腕の見せどころだと思います」(杉山先生)
先進教育委員会が中心となり
グローバル教育を推進

2017年度からスタートした福島県のブリティッシュ・ヒルズでの英語研修には中1・中3の希望者が参加。生徒たちにも人気の高い取り組みです。カリキュラムの質も高く、参加した生徒の英語へのモチベーションも上がります。
中学での英語体験が高校での留学へのチャレンジにつながることも多く、先進教育委員会でのトータルなサポートに期待がかかります。今後は姉妹校締結や交換留学など、先進教育委員会で検討していきたいとのことです。
電子黒板の活用で
教えやすさもレベルアップ
電子黒板を活用することで、各教科の指導効率もアップ。地図や資料などの掲示がしやすくなり、音声や動画を使った学習も積極的に行われています。また、生徒が1人1台使用するタブレット端末と連動させ、電子黒板に全員の答えを表示するなど、生徒同士の意見の共有もしやすくなりました。


(この記事は『私立中高進学通信2020年2・3月合併号』に掲載しました。)
立正大学付属立正中学校
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