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私立中高進学通信

2020年1月号

実践報告 私学の授業

横浜創英中学校

中高6年間の探究型学習『創学』
社会に向けた提案力を育成

体験学習や探究プログラムで磨く課題解決力
高3生全員を前に発表する「ワールドイノベーション発表会」。6組代表チームは「ホームレスの自立施設の提案」を発表。現状を提示し、実現性の高い具体的な施策を提案して1位を受賞しました。

高3生全員を前に発表する「ワールドイノベーション発表会」。6組代表チームは「ホームレスの自立施設の提案」を発表。
現状を提示し、実現性の高い具体的な施策を提案して1位を受賞しました。

体験学習と授業を連携し
課題解決力を養う取り組み

 プロジェクト型学習であるPBL(Project Based Learning)や、「ワールドピースゲーム」など、答えのない問いに向き合う学びを授業に取り入れている同校。中学での「総合的な学習の時間」と高校での「総合的な探究の時間」を『創造的思考力育成学習(創学)』と称し、中高6年間を通して、学びと体験で生きる力を伸ばす授業を実施しています。

 中学の『創学』は「伝える力」(中1)、「考える力」(中2)、「発信する力」(中3)をテーマに、課題解決能力の土台となるスキルを、授業と体験学習の両軸で育成しています。

 中1は、『創英祭』(文化祭)で作品展示に取り組むのが恒例です。今年度は、生徒が選んだ「海・氷」のテーマを、社会科や理科の授業でも取り上げながら準備を進めてきました。生徒たちは、海洋汚染の原因の一つであるプラスチックゴミに着目し、プラスチックで海や氷を表現した作品を仕上げて、来場者に環境保全を訴えました。

「すべての教科と『創学』がつながるよう心掛けています。学年の教員たちと何度も話し合い、授業と『創学』を効果的に組み立てることを大切にしています」

 と、創学チームの中学担当で社会科の津田真耶先生は話します。

実社会に一歩踏み込み
社会への提言を行う

 高校の『創学』は、ここ数年でプログラムが定着してきました。高1では自己理解を深め、将来の目標を明確にします。高2では企業と連携して職業観やプレゼンテーション能力を伸ばす「クエストエデュケーション」(※1)に取り組んでいます。そして、高3ではこれまで培ってきた能力を最大限に活かし、社会に対する課題を発見し、改善案をチームで考える「ワールドイノベーション」に1~2学期をかけて取り組みます。

 11月には「ワールドイノベーション発表会」が、同校の体育館で開かれました。高3生が一堂に会する中、クラス予選を経た10クラスの代表チームがプレゼンテーションを行い、先生方による審査が行われます。各チームのテーマは生徒の身の周りにある疑問から発想し、国連の持続可能な開発目標「SDGs」(※2)を強く意識した内容がそろいました。

 生徒たちは、文献を調べたり、現地に足を運んだりして得た情報を整理し、具体的な政策や自分たちにできる改善策を何度も話し合って練り上げ、提案しています。

「これからの授業は、生徒が自分で考え、発信して作り出すものになると思います。考え抜いた提案を発表することで誰かの心に種まきをすることができれば、世界は変わるかもしれません。その点を忘れずに、これからも探究を続けてほしいと思います」

※1 クエストエデュケーション…企業参加型の探究学習。実在する企業数社が提示する難解なミッションに対し、 生徒たちがグループ単位で数カ月をかけてプロジェクト提案を行うもので、 全国約202校・約3万人以上の小中高生が競い合います。

※2 SDGs…2015年に国連で採択された、2030年までに達成すべき17の国際社会共通の目標。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称。

中学校の創学日常的に発表を取り入れ
思考力・判断力・表現力の基礎を育成
行事や体験学習と連動
中1生はみんなで考えて、「海などにプラスチックゴミを捨てないようにしよう!」と訴える展示をしました。中1生はみんなで考えて、「海などにプラスチックゴミを捨てないようにしよう!」と訴える展示をしました。

 中学生の『創学』発表の場として創英祭があります。今年度の中1生は、探究テーマを「海・氷」と定めました。プラスチックで海や氷を表現することで、プラスチック製品を削減させることを訴える展示をしました。

 展示作成の背景には、このままプラスチックゴミが海を汚染し続けたらどうなるか、危機感を共有するための展示にSDGsに対する意識の強さが表れています。

中1 中2 中3
体験学習やマインドセットプログラムを通して、課題と向き合い「伝える力」を育成。 ディベートや日本文化体験、関西歴史研修などを通して「考える力」を育成。 SDGsをテーマにカナダ語学研修前後の学習や、ポートフォリオ発表会などで「発信する力」を育成。
高校の創学自己と社会を知り提案力・説明力も育成
企業や社会と関わり未来を考える

 環境、貧困、LGBTなど、SDGsを意識したテーマがそろった高3生の「ワールドイノベーション発表会」は、中高6年間で培った『創学』の集大成です。実際に困っている人に寄り添った提案がなされているのが、印象的でした。

 先生方は、プレゼンテーションする内容の説得力だけでなく、導入から結論までの構成や時間配分、スライドの作り方から話し方まで、トータルに見て評価しているそうです。

 厳正な審査の結果、3位に9組の『学歴社会を変え、自分力を高めるには』、

 2位に7組の『献血の啓発』、1位は『ホームレスの自立施設の提案』をした6組が受賞しました。

高1 高2 高3
主な取り組み ウィルツリー クエストエデュケーション ワールドイノベーション
主な内容 人生を木に見立てた図「ウィルツリー」を作成することで自己を理解し、将来の目標を明確にする。 企業のミッションに取り組み、調査、探究して企画案を立て、プレゼンまでをチームで行う。 社会に対して自ら課題を発見し、現状を調査、議論を深めて改善策を提案し、プレゼンテーションまでを行う。
自分の好きなものや性格などをベースに、将来の夢へとつなげていく「ウィルツリー」。高1の初めにこれを書いて、その後に社会や職業を知る学びへと進んでいきます。

自分の好きなものや性格などをベースに、将来の夢へとつなげていく「ウィルツリー」。
高1の初めにこれを書いて、その後に社会や職業を知る学びへと進んでいきます。

「ワールドイノベーション発表会」で、各クラス代表チームの発表に聞き入る生徒たち。「ワールドイノベーション発表会」で、各クラス代表チームの発表に聞き入る生徒たち。
プレゼンテーションにクイズを盛り込むことで、聞き手を引き込み、テーマについて知ってもらおうと工夫を凝らした発表もありました。プレゼンテーションにクイズを盛り込むことで、聞き手を引き込み、テーマについて知ってもらおうと工夫を凝らした発表もありました。
「中学では、行事や授業を関連させて、探究型学習をより効果的に取り入れ、発展させていきたい」と話す社会科の津田真耶先生。「中学では、行事や授業を関連させて、探究型学習をより効果的に取り入れ、発展させていきたい」と話す社会科の津田真耶先生。
「高校生の発表は、内容もさることながらプレゼンテーション力の集大成として見てほしい」と創学チーム高3担当の髙橋英樹先生。「高校生の発表は、内容もさることながらプレゼンテーション力の集大成として見てほしい」と創学チーム高3担当の髙橋英樹先生。
生徒インタビュー
世の中を改善する策を真剣に考える
チームで奮闘
「献血の啓発」で2位を獲得した7組代表チームの西村陽菜さん(高3)。「献血の啓発」で2位を獲得した7組代表チームの西村陽菜さん(高3)。

 私たちのチームは、献血をテーマにした理由と問題点を提示し、改善案をはっきりと示すことが評価されたのだと思います。今回は高2で行った『クエストエデュケーション』での反省を活かして、テーマ設定や調査を短期間で行い、議論をする時間を多くとりました。このことが、良いプレゼンテーションにつながったのだと思います。

 探究する力は、中学3年間で続けたポートフォリオで身についたと感じています。体験学習や文化祭、カナダ語学研修など、行事ごとに自分の考えを記録し、卒業前に生徒や保護者の前で一人ずつ発表をしました。調べて自分の意見をまとめて文章にする力や、人前で話す力がついたと思います。

(この記事は『私立中高進学通信2020年1月号』に掲載しました。)

進学通信 2020年1月号
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