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私立中高進学通信

2020年特別号

座談会

東京家政大学附属女子中学校

「生涯学び続ける人」を育て、未来へと送り出す
国際バカロレア 中等教育プログラム候補校の魅力

ネイティブ教員主導で、音楽科、美術科の授業を英語で教える「イマージョン教育」。英会話の授業以外でもネイティブの英語に触れることができ、リスニング力、スピーキング力の向上につながっています。

2019年10月。国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)の候補校に認定された東京家政大学附属中学校・高等学校。この「MYP」の学びのエッセンスをたっぷり取り入れた注目の授業が『総合的な探究の時間』(以下、総合探究)です。コロナ禍の中で入学した2020年度の新入生たちでしたが、今では教科をつなぎ、教科を超えて学び続ける未来学力の習得に、元気に取り組んでいます。

「英語教育」をキーワードに家政と出合った中1の2人
学校長の篠澤文雄先生学校長の篠澤文雄先生

司会
本日の座談会には、アドミッションスタッフとしても活躍する中1の生徒2名にも参加してもらっています。まずはお2人に、東京家政大学附属女子(以降、家政)を選んだ理由をお聞きします。

H・Sさん
小1からフラダンスを習っています。だんだんとフラの歴史や独特の言葉に興味を持つようになり、中学受験の段階で、具体的に「ハワイ大学ヒロ校」に進学したいと思うようになりました。高い英語力を身につけたいと思い、英語教育に力を入れている学校を探す中、出合ったのが家政でした。実際に入ってみるとネイティブの先生方の指導がとても優しく、そして丁寧で、英語を学んで楽しいという瞬間がいくつもあって楽しいです。

R・Mさん
私も英語をきっかけに家政を受験することに決めました。いずれは私に留学をしてほしいと、そんな両親の想いがあったからです。たまたま小学校の先輩が家政に通っていたので、「どんな学校ですか?」と聞いてみました。すると、満面の笑みになって「すっごく楽しくていいところだよ」という答えが返ってきました。「そんなにいいところなんだ」と興味を持った私は、『緑苑祭』(文化祭)に行ってみました。するとそこには先輩が言っていた以上の楽しさが満載で、一瞬で気に入ってしまいました。

篠澤先生
ハワイ大学への進学や、将来の留学のことなど、具体的な目標をもって本校を選んでくれたことがとても嬉しいですね。本校の英語教育の特徴は、ネイティブ教員との会話の機会が数多くあることですので、これからもどんどんコミュニケーションをとりながら、それぞれの目標に向かってがんばり続けてほしいと思っています。

中1は週1時間の『総合探究』で「外に飛び出す!」
中1学年主任の根岸一真先生中1学年主任の根岸一真先生

司会
家政では6月1日から分散登校がスタートして以降、コロナ対策もしっかりとしたうえで、現在では通常授業もしっかり行われています。そのような中、MYP候補校ならではの注目の授業『総合探究』もスタートしています。どのような授業内容なのか、その概要を中1の学年主任である根岸先生から教えてください。

根岸先生
中1の『総合探究』は毎週土曜日の4時間目、週1時間のペースで実施しています。授業に決まったスタイルはありません。国語科の教員でもある私が心がけているのは、「教科書の中からいかに飛びだせるか」というものです。なぜなら、教科書の中の事柄だけを教えていても、そこから社会につながっていくことはできないからです。書く力はもちろんのこと、しゃべる力、まとめる力、表現する力などを幅広く身につけてもらうことを前提に、発表する機会も多いアクティブ・ラーニング型の授業で学びを深めてもらっています。

司会
今日はその土曜日ですが、どんな授業でしたか?

R・Mさん
同じ敷地内にある東京家政大学を訪問し、大学の先生のインタビューをする会場の下見をしてきました。大学には立派な大学図書館や100周年記念館など、絵になる建物や場所がたくさんあっておもしろかったです。

根岸先生
ロケハンですね。『総合探究』では、「実際にやってみること」を重視し、教室で調べたことを基に、どんどん学校の外に出ることを推奨しています。併設大学の先生方にインタビューするなど、生徒がこれまでやったことがないことを体験することが、本校の『総合探究』の第一歩なのです。

司会
大学の先生方にはどんな質問をするのですか?

H・Sさん
学問や職業についてのインタビューです。緊張感もありますが、自分たちのクラスだけで実行するのではなく、他のクラスの人たちと協働で行うので、今まで話をしたことがなかった人たちとも意見交換をしています。

司会
まさに“教室を飛び出す”からこその発見がありそうですね。

R・Mさん
そうですね。『総合探究』では一つのテーマについて、全員で意見交換することが多いので、「この人がこんなことをいうんだ」みたいな発見もあります。

篠澤先生
中1の生徒たちにとって、大学の先生のような大人に意見を求めることは、かなりハードルが高いと思います。そんな生徒たちの緊張を少しでも和らげようと、私たちも管理職の先生方を中心に、模擬インタビューの練習相手を務めました。皆さんきちんと質問する項目をまとめていて好感が持てました。

根岸先生
中1は「私と家政」をテーマに、日々の学びのフィールドである学校と、生徒自身の関りについて考えてもらっています。併設大学の施設を探検する「家政探検」も、生徒たちはとても楽しそうにしていました。今後は、北区、板橋区、文京区あたりに元気に飛び出してもらおうと思っています。

篠澤先生
教室から学校へ、学校から地域へ、地域から世界へと広がっていくイメージですね。まさに、「KASEI」から「SEKAI」へと成長する姿そのもので嬉しくなります。

根岸先生
生徒は皆、校内にいると本当に中学生らしい姿で学校生活を送っていますが、学校の外に一歩出ると、ちょっぴり大人の顔になるのがよくわかり、とても頼もしく感じています。『総合探究』では、学年が上がるごとに、自分だけのテーマをもって調べていく学び方にシフトしていきますので、本校の建学の精神でもある『自主自律』を目標に、今はしっかりと土台づくりに励んでもらいたいと思っています。

小さなことでも「できた!」という積み重ねが大事
「ハワイ大学に行きたい」と語るH・Sさん(中1)「ハワイ大学に行きたい」と語るH・Sさん(中1)

司会
家政の授業と小学校時代に経験してきた授業は、どんなところが違いますか?

H・Sさん
例えば、数学の授業では今、方程式を習っています。その中で、注目する歴史上の人物の生没年を基に、自分で方程式をつくるという時間がありました。私は大好きなウォルト・ディズニーを題材にしました。数学と歴史が合体した授業なんて経験したことがなかったので、とても楽しかったです。

篠澤先生
それはおもしろい数学ですね。私はこの前、中1全員が、英語で自己紹介する授業を拝見しました。みんな堂々としている姿を見て、さすが中学生だなと感心しました。

H・Sさん
最終的には自分の好きなことをどんどん入れて膨らませていくので、どうしても自己紹介が長くなってしまうのです。でも、友だちの意外な考え方や趣味にも触れることができるので、とても新鮮でした。

R・Mさん
私も同じです。自分とは違った意見を持った人の発表の場にいることが、家政の授業ではとても多いような気がしています。小学生の時は自分が中心になりがちで、あまり人の意見を聞こうとはしませんでしたが、中学生になってからは人の意見をじっくり聞くようになり、自分が成長できていることを実感しています。

司会
逆に、家政の授業で難しいなと思うところはありますか?

R・Mさん
『総合探究』のようなクラスの枠を超えた授業の回数が増えていくごとに、どんどん仲良くなる人が増えていきます。それは嬉しいのですが、自分の意見と人の意見の違いをどううまくまとめるかというところがちょっと難しいです。

根岸先生
授業の中でなかなか意見がまとまらない場合、R・Mさんはどうしているのですか?

R・Mさん
はい。グループのみんなと相談し、一度そのテーマから離れて、次のテーマに移ることもあります。それが終わってからまた最初に戻るというやり方をすると、けっこう話がまとまることを学びました。

篠澤先生
なるほど。それはスモールステップという育成方法で、徐々に最終目標に近づいていく手段として用いられるものです。今はまだ手探りの状態かもしれませんが、そのような小さな経験の積み重ねが大事なのです。IB教育が掲げる「10の学習者像」の中にある、「コミュニケーションができる人」とも重なりますね。

司会
H・Sさんが授業の中で、難しいと感じるところはありますか?

H・Sさん
難しいというか、私は計画を立てて勉強することが苦手です。「10の学習者像」の中にある「バランスのとれた人」になることを目標に、なるべく計画どおりに勉強することを心がけています。

根岸先生
それは大したものですね。しっかりと目標を立てて勉強に取り組む姿勢は、とても良い心がけです。2学期の始まりには全員に目標を立ててもらい、その内容を校内に掲示しているのですが、どんなに小さなことでも「できた!」って思えると、それが何倍にもなって次の成長につながります。これからもぜひ頑張ってください。

生徒たちの“気づき”が生まれる場をどんどん提供
「将来は留学したい」と語るR・Мさん(中1)「将来は留学したい」と語るR・Mさん(中1)

司会
これは篠澤先生にお聞きしたいのですが、そもそも貴校がIB教育に取り組もうとお考えになった原点は、どのようなところにあるのでしょうか?

篠澤先生
簡単にいえば、本校の教育理念である『生活信条』と、『IB教育の10の学習者像』が符合するところに着目したからです。例えば、先ほど、R・Mさんの感想のところで触れた「コミュニケーションができる人」は、生活信条の「愛情」と重なります。また、H・Sさんが目標にする「バランスのとれた人」は、生活信条の「聡明」と重なるのです。

司会
非常に興味深いですね。

篠澤先生
もっともそれは偶然ではなく、新たな教育を導入できないかと模索を続ける中で、必然的に出会ったものです。特にIB教育が重視する探究的な学びについては、IB教育がなくても本校では既に導入を決めていたのですが、改めてIB教育に取り組むことによって、その“学び”が生徒たちの中に確保されて、学校全体の教育が深化していくことがわかりました。

司会
なるほど。

篠澤先生
本校がめざす教育は、ズバリ「生涯学び続ける人」の育成のためにあります。このような人材を家政からどんどん輩出していくために、今年度からIB教育の枠組みを利用したMYPプログラムを、中1から高1までの4年間、取り入れることにしたというわけです。

根岸先生
私が担当する国語科では、以前から話し合いを重視した意見交換できる授業を行っていたので、MYP候補校になったからといっても、勉強量自体に大きな変化があるわけではありません。しかし、その一方で、IB教育が定めているスキルを、各教科で必要とする具体的な目標として定めたことで、「探究→行動→振り返り」のサイクルによる、プロセス重視の学びが定着し始めています。これはとても大きいですね。

篠澤先生
そうですね。生徒に“教え込む”教育は既に過去のものになりました。これからの時代は、生徒側に“学ぼう”という気持ちがあることを教師が的確につかみ、そのための学ぶプロセスを示してあげることが重要になるのです。5段階評価で5を取れば、「もう達成できた」となってしまいますが、IB教育では、さらに取り組むべき課題が続いていきます。「生涯学び続ける人」とは、常に自分の学ぶべき道を開拓していく人の異名といってもいいでしょう。

司会
よくわかりました。最後に、中1の2人から、家政の良いところを伝えてください。

R・Mさん
クラスの仲間たちが元気なところです。自分の好きなことをどんどん言い合えるところも気に入っています。「ここわからないから教えて」って、友だちに気軽に聞ける環境も女子校だからではないでしょうか。共学だと気を使ってしまいそうなところも、女子校ならありのままでいられるところが心地良いです。

H・Sさん
家政はみんなが優しくて、陽だまりにいるような感じがします。それぞれが得意な教科を教え合うことも普通にあるので、「今度は私が」っていう気持ちにもなります。

根岸先生
実は教え合うってとても大事なことなのです。なぜなら、「教えられる」ことが理解に一番近づくからです。図らずも2人からそんな喜びの声を聞くことかできて、とても嬉しいです。

篠澤先生
2人とも将来の夢はまだ具体的なものではないと思いますが、東京家政大学との高大連携環境が密接な本校なら、目標となる先輩やロールモデルもきっと見つかりますし、より具体的な夢を描くことも可能になるでしょう。私は「学びは気づき」だと思っています。本校は生徒一人ひとりの可能性を伸ばすことを大きな目標にしていますので、生徒たちの良さを引き出す場、生徒たちの気づきが生まれる場を、どんどん提供していきたいと考えています。

司会
どうもありがとうございました。

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