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私立中高進学通信

2020年特別号

実践報告 私学の授業

工学院大学附属中学校

生徒一人ひとりの興味・関心を
自己の将来へとつなげる

調査・研究を通して確実なものへ
夏休み前に実施された『探究論文中間発表会』。高2の夏休みを充実させるためにも、この時期にプレゼンを行うことは非常に有意義なものとなっています。

夏休み前に実施された『探究論文中間発表会』。
高2の夏休みを充実させるためにも、この時期にプレゼンを行うことは非常に有意義なものとなっています。

ICT教育の普及とともに
より進化し続ける探究論文

 同校が提唱する「工学院の21世紀型教育」の一つに、『探究論文』があります。生徒一人ひとりが興味・関心のある課題(テーマ)を自由に設定し、担当教員の指導のもと、主体的に調査・研究を行い、最終的に20枚ほど(写真や図表、グラフ類を含む)の論文を仕上げていきます。

「授業では、日頃から『思考コード』(点数や偏差値に代わる新しい学力基準)に基づいたアクティブラーニングを展開しています。それは、知りたいことや深く探究したいことが次々と出てくる、ワンランク上の学びと言ってもいいでしょう。生徒一人ひとりの中に芽生える知的好奇心を、教科の枠を飛び越えて深め、自由自在に発展させていくのが探究論文の醍醐味です。テーマ設定はもちろん自由。探究テーマに合わせて担当教員を見つけ出すのも生徒たちです。なかには工学院大学の先生を訪ねて協力を仰ぐ生徒もいます。この取り組みを通して、問題把握・情報検索・情報処理・分析・論文作成・プレゼンテーションの能力が伸び、大学進学からその先の進路を深く考えるきっかけにもなっています」(英語科/加藤充子先生)

探究論文の取り組みが
学部・学科選択につながる

 探究論文は2016年からスタートしていますが、試行錯誤を続けることでより良いものへと改善させながら、現在でも先生方によるワーキンググループが中心となって進化を続けています。

「現在の高2生たちが“4代目”になりますが、昨年までと比べて最も大きな変化は、学校全体の本格的なICT教育の導入により、探究論文を進めていくうえでの学習環境がよりスムーズなものになったことです。その一つの例が、BYOD(Bring Your Own Device)という、自分の持っているデジタル機器を学校に持ち込んで使用することができる授業の導入です。
“デジタルネイティブ”と呼ばれる生徒たちにとって、普段の授業や家庭学習で使っている機器を学校に持ち込むことはごく自然な行為であり、結果として調べ学習のスピードアップやプレゼンテーション能力の向上といった面で効果を上げています。また、外部講師によるプログラミング講座やものづくりのワークショップも定期的に開催しているほか、総合的な学びを支援する電子図書館機能を有する図書館では、自分のPCやスマートフォンを活用しての調べ学習もできます。
 このように恵まれた環境をフル活用して、高1の夏休み前頃から探究論文に取りかかる準備を始め、高2の7月に行われる『中間発表会』、11月中旬に行われる『探究論文発表会』を経て、高2終了時に全員が論文を仕上げて提出します。この探究論文の取り組みを通して、大学の学部・学科選択へとつながったケースも少しずつ出てきています」

中間発表会1
中間発表会での評価を課題に
さらに内容をブラッシュアップ
探究論文で伸びる能力

 取材当日、高2の各教室では活発な『探究論文中間発表会』が行われていました。“中間”というだけに、この時点で論文が完成しているわけではありません。大切なことは11月中旬の『探究論文発表会』までに、それまでに調べた知識をもとに、疑問を持ち、さらに深めていくことにあると加藤先生は話します。

「発表にかける一人当たりの持ち時間は約3分で、内容・発表の仕方・パワーポイントの3項目について、聞く側の生徒が5段階(5:とてもよい、4:よい、3:普通、2:あまりよくない、1:よくない)で評価します。ちなみに、評価された各自の結果はすべて教育プラットフォーム『Edmodo』上で管理され、生徒は自分のPCやスマートフォンでその内容を確認することができます。したがって、現時点でどこが評価されていないのかを詳しく知ることができるので、今後の修正に大いに役立つのです」(加藤先生)

プレゼンが終わるたびに、全員が称賛の拍手を送ります。プレゼンが終わるたびに、全員が称賛の拍手を送ります。
友達のプレゼン内容を評価。自分以外のプレゼンを聞くことで、自らの課題が浮き彫りになる効果があります。友達のプレゼン内容を評価。自分以外のプレゼンを聞くことで、自らの課題が浮き彫りになる効果があります。
中間発表会2
多彩な調査・研究に
イキイキと取り組む生徒たち

 今年度の高2生在籍数は総勢238人ということで、当然ながらテーマも238通り存在します。工学院大学の附属校ということもあり、建築関係や建物の構造といったところに焦点を絞ったテーマもありますが、“マンションの下の階に生活音を響かせないようにするためにはどうするか”、“『ドラえもん』のジャイアンのパンチ力はどれくらいなのか”といった調査・研究にイキイキと取り組む生徒もいます。

「今年度の高2生はプレゼン慣れをしているという印象を持っており、発表に関しては総じて良くできていたと思います。ただし、中身に関してはまだまだ改善の余地がありますので、そこは謙虚になって内容を見つめ直し、質を上げていってもらいたいですね。しかし、生徒一人ひとりのテーマは本当に興味深いものばかりで、なかにはオールイングリッシュで発表する生徒もいるなど、お互いに刺激を受け合うのも中間発表会の良いところです。今日の結果はどうあれ、ここからさらにモチベーションを上げて、ゴールをめざしてもらいたいと思っています」(加藤先生)

11月の『探究論文発表会』では順位が付けられ、上位の3~5名は校内放送で全校に発表されます。11月の『探究論文発表会』では順位が付けられ、上位の3~5名は校内放送で全校に発表されます。
国際的な問題の解決に向けて、オールイングリッシュでプレゼンする生徒も。国際的な問題の解決に向けて、オールイングリッシュでプレゼンする生徒も。
プレゼン慣れをしている生徒たちは、クラスメートの前で堂々と発表を披露。プレゼン慣れをしている生徒たちは、クラスメートの前で堂々と発表を披露。
先生からの一言!
オンリーワンで輝く人財を育てていきたい
『探究論文』を推進するスタッフの一員でもある英語科の加藤充子先生。探究から始まるキャリアデザインについても注目しています。『探究論文』を推進するスタッフの一員でもある英語科の加藤充子先生。探究から始まるキャリアデザインについても注目しています。

「昨年は探究論文で高く評価されたプレゼン力を活かして、『サイエンスキャッスル2018 シンガポール大会』(※)に出場した生徒もいます。その生徒は見事に優秀賞を受賞したのですが、それ以上に私が素晴らしいと思ったのは、自分の興味があることを徹底的に突き詰めて、世界で堂々と語るその姿でした。生徒のイキイキとした姿を見て、感動できることが私たち教員の喜びです。これからも『探究論文』を通して、オンリーワンで輝く人財の育成に努めていきたいと思っています」(英語科/加藤充子先生)

※サイエンスキャッスル…日本国内4カ所、シンガポール、マレーシアの計6カ所で開催される、アジア最大級の「中高生のための学会」。

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