私立中高進学通信
2019年神奈川版
THE VOICE 校長インタビュー
藤嶺学園藤沢中学校
『藤嶺ゼミナール』を開講し
真の意味での「高大接続」を実現

佐野 健 (さの・つよし)校長先生
1958年東京都出身。山梨県で育つ。中高時代は柔道部に所属。
進学した東海大学文学部日本文学科で卒業論文を担当した教授が、
藤嶺学園藤沢高等学校の卒業生で、教授のすすめにより同校の国語の教員に。
1985年、同校野球部が第67回全国高校野球選手権大会に出場した時は、
応援部を担当。2017年4月、校長に就任。趣味は俳句。
大学での学びの素晴らしさを
高校時代に実感してほしい
本当の学びとは何でしょうか? 「早慶に入りたい」「MARCH以上の大学に入りたい」。これが多くの生徒や保護者の方々の希望です。その気持ちはよくわかりますが、これからは、本当の学びをしていかない限り、学歴だけで生き残っていかれない時代です。
2021年には高大接続改革に伴って大学入学共通テストが導入されます。大学とは本来「学びたいことを学び、わくわくするような学問が待っている場所」です。本校では、それを高校時代に実感できる『藤嶺ゼミナール』を今年からスタートさせ、真の意味での「高大接続」を実践したいと考えています。『藤嶺ゼミナール』は高校生の希望者を対象に、土曜日の放課後の90分を使って月に1回、9月から12月まで年4回開講したいと考えています。どのゼミも10名から15名ほどの少人数制とし、多様な学びを体験して、思考力や表現力を身につけてもらうことが目的です。
このゼミによって、真剣な学びを求める生徒たちが増えていけば、その生徒たちが軸になってクラスの雰囲気を、ひいては学校全体を大きく変えてくれると思うのです。
多様な学びを体験し
思考力や表現力を身につけるゼミ
では6つある『藤嶺ゼミナール』の一つひとつをご紹介します。
「藤嶺法曹実務家ゼミナール」は論理的思考力を養成する講座です。本校卒業生の指導のもと、自分の頭で考えた意見を実際に発表するトレーニングを繰り返していきます。すでに十数名の生徒が受講し、勉強に対する姿勢やアプローチの方法が変わりつつあります。
通年型のゼミ「ティーセレモニー イン イングリッシュ」では、本校の必修科目でもある茶道を通して日本の心を磨くとともに、日本の伝統文化を英語で発信できる国際人をめざします。
「統計学入門ゼミナール」では、世の中の数字が何を意味しているのかを学びます。講師は保護者が務めてくださり、1人は証券アナリスト、もう1人は統計を専門とするお仕事に就いている方です。
「異文化理解ゼミナール~アジア編」では、上海や台北などアジアの今を探ります。本校では中国語を第2外国語として学ぶことができますが、その授業の教員が講師を務めています。その教員は本校が北京研修旅行の際に交流する、北京市第八中学怡海分校の卒業生でもあります。
「英単語へのアプローチゼミナール」の講師は卒業生です。彼はライフワークとして、好きな漫画のストーリーから派生する英単語を、見開きの大学ノートいっぱいに書き込んでいます。このノートを見せてもらった時、私は感動しました。彼は「英単語は単語帳で学ぶと限界がありますが、こうすると無限の広がりを見せます」と言うのです。そこで、彼がこのノートを制作した背景などを生徒に話してもらうゼミを開講することになりました。
行きたい大学に足を運び
教授と語り合ってほしい
藤嶺学園藤沢の高大接続改革や
グローバル社会に向けた取り組み
2019年から、6つの『藤嶺ゼミナール』を開講
- 多様な学びを通して、思考力や表現力を高める
- 「学びたいことが学べる場所」である大学への期待感を醸成
- 大学が求める力を中高時代に身につける
中国やベトナムとの盛んな国際交流
- 日本の大学だけでなく、海外の大学との高大接続へ
- アジアの大学を起点に、海外の大学に目を向ける
最後が「藤嶺アカデミア」。本校を卒業した大学生が大学での学びやキャンパスを紹介します。受講する生徒たちには、自分が行きたい学部や学科を探し、実際に大学に足を運び、その学部や学科の教授と話し合って来てほしいと思っています。
もう一つ、本校の理想とする「高大接続」の方向性があります。それは海外の大学との接続です。本校では高2の修学旅行でベトナムを訪れており、その縁から昨年に続き、今年6月にハノイの小中高生が本校を訪れました。ベトナムでは政府が大規模な学園都市をつくろうとしており、日本の留学生を数多く受け入れるプログラムがあります。
また、昨年の8月、私は台湾の大学の視察に行き、台湾が海外からの留学生に向ける期待感を肌で感じました。本校の中高生がアジアの国々と交流するなかで、まずアジアを進学先や留学先として視野に入れ、海外へと大きく羽ばたいてくれれば、生徒たちの可能性はさらに広がるはずです。


[沿革]
同校の前身は時宗総本山清浄光寺の僧侶養成機関「時宗宗学林」。念仏と遊行に徹した一遍上人の教えを根本とし、宗教的情操豊かな人格の涵養をめざし、1915年に創立。2001年に中学校を開校。2015年に創立100周年を迎えた。
(この記事は『私立中高進学通信2019年神奈川版』に掲載しました。)
藤嶺学園藤沢中学校
〒251-0001 神奈川県藤沢市西富1-7-1
TEL:0466-23-3150
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 仲間との活動を通して知と心と体を養うサレジオ学院中学校
- 関東大会で初の「優秀賞」受賞全国大会出場を決める逗子開成中学校
- 美しい表現やダンスを習得し生徒一人ひとりの個性が輝く聖セシリア女子中学校
- 多様性に触れ、理解し夢を見つけるキャリア教育神奈川学園中学校
- 生徒が英語を使いたくなる3つの英語の授業を連携関東学院中学校
- 英語に特化した『GLE』コースが始動関東学院六浦中学校
- 国際化時代だからこそ感性を育てる教育を橘学苑中学校
- 多彩な国の留学生と交流し異文化理解と英語力を向上鶴見大学附属中学校
- 多彩な研修で育む英語力とグローバル感覚東海大学付属相模高等学校中等部
- アメリカの大学4校と高大接続提携を結ぶ横浜中学校
- ICTと海外大学推薦で広がる生徒の可能性神奈川大学附属中学校
- 多様な人と生きる時代を見つめ他者を大切にする生き方を養う教育をカリタス女子中学校
- 『藤嶺ゼミナール』を開講し真の意味での「高大接続」を実現 藤嶺学園藤沢中学校
- 『言語技術』の授業や英語力の向上で生徒たちを世界へ羽ばたかせたい森村学園中等部
- 海外研修を基軸に、生徒たちのマインドセットを変えていきたい山手学院中学校
- 生徒は1人1台iPadを持ち、授業で活用施設のリニューアルを推進中北鎌倉女子学園中学校
- 新図書館“com+com”オープン生徒によるフェアトレード活動自修館中等教育学校
- 準備から運営、実施まで生徒の手で中1オリエンテーションを成功に導く 湘南学園中学校
- 各界の権威をお招きする「大学訪問授業」で作家の沢木耕太郎氏が講義 桐光学園中学校
- 野菜の種をまき、感謝して食べ生命の尊さを知るフィールドワーク 日本大学藤沢中学校
- 外の世界へ視野を広げる生徒の力強い一歩を新しい「留学制度」と「放課後学習支援」でサポート聖園女学院中学校
- 変化自在の図書館と豊富な資料で生徒の積極的な学び・活動をサポート横須賀学院中学校
- 「知恵と勇気と協力」をフル活用!仲間と励まし合いながら課題解決にチャレンジ横浜隼人中学校


