私立中高進学通信
2019年12月号
学校生活ハイライト
専修大学松戸中学校
百人一首の学習で
日本文化に触れ、古典に親しむ

『百人一首講演会』で実演しているのは、全日本かるた協会A級、六段、専任読手(読み手)の芹野惠子さん、
永世名人で十段(最高位)の松川英夫先生、七段の坪田翼(第60期クイーン)さん。
プロ同士の気迫あふれる競技に、息をのむ生徒たち。
名だたるプロの実演を見たり、話を聞いたりできるこの講演会は、生徒たちに大いに刺激を与えています。
英語教育やアメリカへの修学旅行などで注目される同校。一方で歌舞伎や文楽など日本文化に触れる学習も重視し、20年前の中学開校当初から百人一首への取り組みを続けています。
古典に親しむ素養をつくる
毎年恒例の百人一首大会
映画『ちはやふる』で大ブームとなった百人一首。現在では取り組む学校も増えてきましたが、同校は開校当初の20年前から、古典学習の導入として百人一首の学習に力を注いできました。中1生は入学するとまず、有名な二首を学び、毎年4月に開催される 『百人一首講演会』 で、名人たちの技を見学します。翌年1月には全員参加の百人一首大会が行われるので、二学期の期末考査が終わると、授業でも本格的な練習が始まります。大会は中学3年間毎年行われ、生徒たちは熱心に取り組んでいます。
「学年を重ねるごとに、かるたを取るスピードが速くなっていきます。中2・中3になると国語の授業で百人一首を練習するのは大会の直前だけですが、やはり毎年実力は積み上がっていますね」と、国語科の内藤絢子先生は言います。国語の授業ではあえて百人一首を例に出して、古典の言い回しや文法に親しめるように工夫しているそうです。
百人一首の取り組みは、日本文化を学び直す良い機会にもなっており、海外研修に参加する生徒がホームステイ先で日本文化の一つとして紹介することもあるそうです。
「覚えるのが苦手な生徒でも、一首は必ず得意な札というのがあって、チームに貢献できます。『普段は目立たないけれど百人一首では才能を発揮する』という生徒もいます。多彩な生徒が輝く場をつくる取り組みになっていると思います」


古典部、かるた同好会は
校外の百人一首大会に挑戦

授業や行事で百人一首に強く興味を持ち、中学の古典部や高校のかるた同好会で活動する生徒たちもいます。古典部は千葉県かるた大会で優秀賞、全国小倉百人一首競技かるた中学生選手権大会では千葉県チームの一員として1名が出場し、準優勝を果たすなど、優秀な成績を収めています。
高校でも百人一首大会は開催されますが、大会では高校のかるた同好会のメンバーが読み手となって、札を読むそうです。高校の大会は、各クラスから代表者が出場するトーナメント方式ですが、中学に負けず劣らず熱い戦いが繰り広げられます。
卒業生インタビュー
百人一首への興味が進路につながりました

高校のかるた同好会で活躍したことで日本語に興味を持ち、現在、筑波大学で日本文化と日本語を学ぶ卒業生の鎌田真凛さんに、在学中の体験を話してもらいました。
「高校のかるた同好会は、私が所属し始めた当時は、地域の大会などでもなかなか勝ち進むことができず、悔しい思いをしました。そこで、筋トレも取り入れて真剣に練習するようになり、翌年の千葉県高校生かるた大会で6位に入賞しました。その翌年も4位に入賞し、私個人も関東地区高等学校小倉百人一首かるた大会では千葉県の代表チームに入り、高2で関東大会準優勝、高3で全国大会出場を果たしました。
もともと日本文化に興味を持っていましたが、部活動や学校行事で百人一首に取り組み続けてきたことで、日本文化だけでなく日本語そのものにも強い興味を持つようになりました。
大学では日本語を深く学びたいと思い、筑波大学の人文・文化学群を公募推薦で受験することに。面接試験の時にも百人一首に取り組んできたことや、そこから日本文化や日本語への興味がふくらんだことをアピールし、合格することができました。
中高を過ごした6年間の中で、中学・高校で1度ずつ海外でのホームステイを体験したこともいい思い出です。海外研修プログラムが充実しているので、チャレンジしてみようと思ったのです。日本語への学びを深める意味でも、とてもいい経験だったと思います」

写真は2017年に行われた第70回小倉百人一首全国競技かるた大会で、鎌田さんが優勝したときの写真。
一緒に写っているのは、同じくかるた同好会に所属していた山口瑞季さん。山口さんも準優勝を収めました。
(この記事は『私立中高進学通信2019年12月号』に掲載しました。)
専修大学松戸中学校
〒271-8585 千葉県松戸市上本郷2-3621
TEL:047-362-9102
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