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私立中高進学通信

2019年12月号

私学だからできるオリジナル教育

獨協中学校

箱ビオトープで広がる
環境教育と地域交流

中高生が協働する「緑のネットワーク委員会」は、屋上緑化やビオトープの管理、地域交流を通して、『獨協生を社会の優等生に育てる人間教育』を体現しています。
屋上は緑のネットワーク委員会のメインフィールド。オリジナルの箱ビオトープを囲んで。

屋上は緑のネットワーク委員会のメインフィールド。オリジナルの箱ビオトープを囲んで。

屋上が農園に!?
夏野菜をどっさり収穫

 中高の委員会活動の一つである「緑のネットワーク委員会」のメンバーは、中1から高2まで50名ほど。部活動の合間を縫って活動しています。校舎の屋上は緑のネットワーク専用のスペースになっていて、さまざまな野菜や植物を栽培しています。今年はトマト、ナス、オクラ、ピーマン、カボチャ、スイカなど夏野菜をプランターで育てました。肥料やりや、草取り、真夏の水まきと手をかけた分だけ、たくさん実りました。

「近隣の小学校から子どもたちをここに招いて、収穫体験をしてもらいました」

 そう言いながら案内してくれたのは、委員長の種田悠杜さん(高2)です。

ビオトープで広がる
人と人のつながり
こちらが箱ビオトープ。箱ビオトープにはクロメダカやヤゴが生息します。藻を取り除くなどメンテナンスをすれば、ろ過装置は不要だそう。仕切られたスペースに土を入れて陸地や湿地の環境を再現し、武蔵野の植生に合った植物を育てています。こちらが箱ビオトープ。箱ビオトープにはクロメダカやヤゴが生息します。藻を取り除くなどメンテナンスをすれば、ろ過装置は不要だそう。仕切られたスペースに土を入れて陸地や湿地の環境を再現し、武蔵野の植生に合った植物を育てています。

 小さな池や植物を学校の校庭に作って身近な自然を再現する「学校ビオトープ」が、同校には2カ所あります。1つは校舎横の学校林の中で、ヘイケボタルが自生し、毎年初夏に観察会を行います。

 もう1つのビオトープは屋上にあります。「箱ビオトープ」といって、内側に防水加工を施した同校オリジナルの木製の箱の中に水や土を入れ、植物を植え、ヤゴやメダカを飼育したものです。幅70センチほどの大きさで場所も移動できるため、地面に作るビオトープより取り組みやすいのが魅力です。

 緑のネットワーク委員会の生徒は、近隣の小学校や重度障がい者施設に出向いて箱ビオトープを設置し、出前授業をする「環境ファシリテーター活動」も3年前から続けています。

 活動の様子を聞いていると、校内で始まった取り組みを介して、地域の人や小学生、障がいを持つ人とのつながりがまさにネットワークのように生まれています。

 今年はドイツで環境問題を学んでいるドイツ人の高校生9名が、同校のホームページを見て「ぜひ、ビオトープの共同研究をしたい」と来日。ホストファミリーを務めた生徒もおり、4日間、一緒に過ごしました。

 学校から地域へ、地域から世界へと、「自然」を通じて人のつながりが生まれ、そこから生徒たちがさまざまなことを学び取っていく。身近なことから始めてグローバルに物事を考える、世界基準の「市民」となるための環境教育には、私学ならではのオリジナリティがあふれています。

不作の原因を突き止めろ!
ゴーヤ作りの疑問から始まった探究学習

 ここ数年、ゴーヤの生育が悪く、今年はその原因を突き止めるため条件を変えて栽培する「対照実験」を行いました。太陽の照り返しによる熱が原因ではと仮説を立て「ネットの下にキリンソウを植える」「スプリンクラーで散水のみ行う」「何もしない」の3条件で育てたところ、スプリンクラーで散水したゴーヤが最もよく成長したといいます。

「足元にキリンソウを植えてみましたが、それではかえって日照不足になります。水で地面が濡れるだけでも熱を逃がす効果があるというのが僕らの結論です」(種田さん)

 育てて食べるだけでなく、疑問をとことん探究できるのも緑のネットワーク委員会ならではの活動の魅力です。

屋上の菜園は植物がいっぱい。ゴーヤはネットにはわせて育成しています。今年の対照実験の結果をもとに、来年はゴーヤの不作を解消しようと、高1の生徒たちは考えているそうです。屋上の菜園は植物がいっぱい。ゴーヤはネットにはわせて育成しています。今年の対照実験の結果をもとに、来年はゴーヤの不作を解消しようと、高1の生徒たちは考えているそうです。
10月になって実った屋上農園の野菜たち。10月になって実った屋上農園の野菜たち。
プランターの作物は毎日、手入れをして育てます。プランターの作物は毎日、手入れをして育てます。


箱ビオトープで広がる!
環境ファシリテーター活動

 持ち運びができる箱ビオトープの特質を活かして、近隣の小学校や重度障がい者施設に設置。箱ビオトープの準備をするのも、リヤカーで運び込むのも、もちろん緑のネットワーク委員会のメンバーたちが行います。

 設置の際には世話の仕方をレクチャー。委員のメンバーたちが小学校に出向いて、ビオトープの出前授業も行いました。

「野菜が実る季節には、小学校の子どもたちを招いて、野菜の収穫体験をしてもらいました。子どもたちが喜んでくれるのがうれしくて」と、委員のメンバーたち。人の役に立つ喜びを味わいました。

小学校に出向いて、ビオトープの出前授業。もちろん、その授業内容も、委員会のメンバーたちで相談して決めました。小学校に出向いて、ビオトープの出前授業。もちろん、その授業内容も、委員会のメンバーたちで相談して決めました。
重度障がい者施設に出向き箱ビオトープを設置。障がいのある子どもに手を添えて、水を入れる作業をサポートしました。施設のクリスマス会にも招かれるなど、交流が深まっています。重度障がい者施設に出向き箱ビオトープを設置。障がいのある子どもに手を添えて、水を入れる作業をサポートしました。施設のクリスマス会にも招かれるなど、交流が深まっています。
箱ビオトープに興味を持ったドイツの高校からオファーがあり、生徒たちが短期間、同校で過ごすことに。ホストファミリーとして受け入れた委員会のメンバーもいます。箱ビオトープに興味を持ったドイツの高校からオファーがあり、生徒たちが短期間、同校で過ごすことに。ホストファミリーとして受け入れた委員会のメンバーもいます。

植物の生育に夢中!
緑のネットワーク委員会
右から委員長の種田悠杜さん(高2)、金子幸永さん(中2)、橋爪樹さん(高2)、高木幹さん(高1)、中田幸多さん(高2)。学年を問わず、とても仲良し!右から委員長の種田悠杜さん(高2)、金子幸永さん(中2)、橋爪樹さん(高2)、高木幹さん(高1)、中田幸多さん(高2)。学年を問わず、とても仲良し!

 委員会のメンバーは約50名。「生き物や植物が好き」「先輩から楽しいよと誘われて」など、動機はさまざまです。みんな、暑い日も寒い日も、植物や生き物の世話をコツコツと続けられる粘り強さを秘めています。

 将来は農学系に進みたい生徒や国際交流の道に進みたい生徒もおり、ここから広がる進路は「環境」のキーワードに収まり切れません。


広がる人と人との縁は
かけがえのない財産になる
緑のネットワーク委員会の顧問、塩瀬治先生。緑のネットワーク委員会の顧問、塩瀬治先生。

 ビオトープは2000年ごろに都内の小中学校でたくさん作られましたが、水や土壌の管理が大変なので、残念なことに取り組みが途絶えてしまっているケースも少なくありません。それを再生するために箱ビオトープを考案しました。

 本校だけでなく「地域にも広めよう」という目的ができたことで、生徒はさまざまな学びを得ています。同じ地域にいる年下の子どもたちや障がいを持つ人と接することで、生徒は自分たちの存在意義をつかむことができます。彼らの未来に大きな財産になることだと信じています。
(緑のネットワーク委員会顧問・理科/塩瀬治先生)

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