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私立中高進学通信

2019年11月号

実践報告 私学の授業

共立女子中学校

とことん試行錯誤!
プログラミングを体感する

理科の学びとともにプログラミング学習を楽しく導入
球体ロボット「Sphero」に、タブレット端末からプログラムを送り、走らせる実験中。

球体ロボット「Sphero」に、タブレット端末からプログラムを送り、走らせる実験中。

プログラミング学習の前に
電気回路についても学ぶ

 2021年より、プログラミング教育が中学校でも倍増されるのを機に、プログラミングを授業に取り入れる学校が増えています。中学段階では正式な教科とはならないため、各校の独自の工夫や取り組みに注目が集まっています。

 同校では、理科を中心にプログラミング教育を推進しています。広報部主任の金井圭太郎先生は、「プログラミング学習は、将来、数学や技術・家庭科の教科に取り込むこともできると思います。ただ現在は、本校で最もプログラミングに詳しい理科の教員を中心に、どのようなカリキュラムが良いのか、試行している段階です」と話します。

 今年度は、自由研究などの自主的な活動につなげてほしいとの狙いから、夏休み前に希望制のロボット講座を開きました。講座を担当する理科の桑子研先生が選んだ教材は、「Sphero(スフィロ)」という手のひらサイズのボール型ロボット。手軽にプログラミングして動かせるため、知育玩具として人気のツールです。タブレット端末でプログラミングをして、そのデータを「Sphero」にBlue-toothで送信すると、自走して動く仕組みです。

「Sphero」は複数のLED電球を搭載しており、プログラミングによって点灯を制御して、さまざまな模様やアニメーションを表示できます。ロボット講座では、この機能に着目して、プログラミングをする前に、電子基板を用いて「電流」や「電圧」を学ぶ時間も設けました。

「生徒たちは小学校の理科の授業で、電池の直列や並列などを学んでいます。ロボット講座が、小~中高の理科の興味や理解への架け橋になればと思っています」(桑子先生)

直観的にプログラミングできる
専用アプリを使う

 電子回路の実験で試行錯誤に慣れた後、いよいよ「Sphero」を使ったプログラミング学習です。タブレット端末にインストールした「Sphero」専用のプログラミングアプリを使って、ロボットの動きを指示するコマンドを組み合わせていきます。プログラミング言語を打ち込むのではなく、アイコンを動かすなど直観的な動作でプログラムを組むことができるため、生徒たちもすぐに使いこなせました。

 生徒に配付されたロボット講座のオリジナルテキストには、電気回路・パーツの販売元や、ロボット「Sphero」のプログラミング実践例など、プラスアルファの情報が掲載されています。

 桑子先生は「自分たちで思い通りに作れるのがプログラミングの良いところ。自由研究のテーマにもいいと思いますよ」と、生徒たちの「面白い」「もっとやってみたい」という気持ちを後押ししていました。

Step 1
LEDランプを光らせる電気回路を作ろう
物理の基礎を楽しく学ぶ

 ロボット講座に参加したのは11名の中1生です。中高の物理にもつながる電流、電圧について、小学校での学びを振り返りながら進めていきます。まずは、導通チェッカー「ためす君」を使った通電実験から始まりました。テスターを使って乾電池の電圧や、手回し発電機の電圧を図るなど、体を動かしながら理解を深めていきます。

 電子基板「ブレッドボード」を使った実験では、リード線などの電子部品を差し込んで、LED電球を光らせる電子回路を作っていきます。思い通りに光らせようと、生徒たちはだんだんと集中していきます。できるまで試行錯誤する取り組みが、プログラミング学習への準備となっています。

紙に鉛筆で描いた回路にリチウムイオン電池をセットした「ためす君」を乗せると、LEDランプが光りました。紙に鉛筆で描いた回路にリチウムイオン電池をセットした「ためす君」を乗せると、LEDランプが光りました。
手をつないで輪になり、端の人が電池のプラスとマイナスを持つと、LED電球が光りました。人の体にも微弱な電流が流れていることがわかる楽しい実験です。手をつないで輪になり、端の人が電池のプラスとマイナスを持つと、LED電球が光りました。人の体にも微弱な電流が流れていることがわかる楽しい実験です。

「13Vまで行った!」。テスターを用いて手回し発電機でどのくらいの電圧が出せるかを調べます。この後、乾電池を使い、ショート回路を作って電流を流し、LEDが発熱して壊れてしまうことを体験しました。ここから抵抗の必要性を学びます。「13Vまで行った!」。テスターを用いて手回し発電機でどのくらいの電圧が出せるかを調べます。この後、乾電池を使い、ショート回路を作って電流を流し、LEDが発熱して壊れてしまうことを体験しました。ここから抵抗の必要性を学びます。
リード線を刺すだけで組み立てられる電子基板「ブレッドボード」を使って、電気が流れる回路を作ります。うまくLED電球が光ったら成功です。リード線を刺すだけで組み立てられる電子基板「ブレッドボード」を使って、電気が流れる回路を作ります。うまくLED電球が光ったら成功です。
Step 2
専用アプリで試行錯誤しながらプログラミング
プログラミング用ロボット「Sphero」を使用

 前半の電気回路の実験で、正確に回路を作ればLEDをうまく光らせられることを体験した生徒たち。今度は、「Sphero」の専用プログラミングアプリをタブレット端末にインストールして、プログラムを組み立てていきます。

 前段の実験で試行錯誤をすることにも慣れてきたので、桑子先生が最初に簡単な操作方法を教えると、生徒たちはすぐに理解して、思い思いのやり方で「Sphero」を動かしていきます。直線の動きから、正方形や三角形、円を描く動きなど徐々に難しい動きをするプログラムを試し始めました。「論理的に考えて、目的を達成するために試行錯誤を繰り返す」という、プログラミング学習で最も習得すべきことを、経験から身につけたのです。

 ロボット講座に参加した生徒に講座の感想を聞いてみると、「プログラミングに興味を持っていたので参加しました。電気回路の実験は難しかったけれど、プログラミングはいろいろ試しながらできて楽しかったです」「初めはうまくロボットを動かせませんでしたが、最後には自分の思い通りに動かせたのがうれしかったです」と十分に楽しんだようです。

相談し合いながら、タブレットでプログラミングをする生徒たち。相談し合いながら、タブレットでプログラミングをする生徒たち。
プログラムを「Sphero」に送信し、走行させてみます。コロコロと動くと、歓声が上がりました。プログラムを「Sphero」に送信し、走行させてみます。コロコロと動くと、歓声が上がりました。
ココも注目!
生徒発信のアイデアを大切にしたい
理科/桑子研先生

 同校の理科教員として勤務するかたわら、さまざまな場所で理科実験教室やプログラミング教室なども開催する桑子先生。高校生向けや大人向けの物理の参考書なども執筆、わかりやすく、楽しく学ぶ授業づくりのエキスパートです。

「科学研究部地学班の高校生は、Spheroと電球を使って月の満ち欠けを示す模型を作ったり、ロボットでおみくじプログラムを作ったりしています。生徒が『誰かを楽しませたい』と考え、発信するアイデアを大切にしたいと思っています」(理科/桑子研先生)

進学通信 2019年11月号
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