挑戦 さまざまな職業体験で社会への興味を広げる学外研修

私立中高進学通信

2019年10月号

その先に備えるキャリア教育

国士舘中学校

挑戦
さまざまな職業体験で
社会への興味を広げる学外研修

キッザニア東京では、実際の職業を楽しみながら学べます。
初めての職業体験が今後の学校生活に大きな影響を与えます。

ピザ作りに挑戦する生徒たち。
普段口にしている食品の製造過程を知ることで、
労働への責任と感謝の気持ちを持つようになります。

自分たちで作った焼きたてのピザを食べる生徒たち。施設内では、労働の成果をすぐに確かめることができます。

　学力に偏らず、武道や書道、道徳をも重視する教育システムで礼儀作法や倫理観、道徳観を養い、バランスのとれた人材育成をめざす同校。中2と中3で学外でのキャリア教育を展開しています。

「2年前から、キッザニア東京で1年おきに職業体験プログラムを実施しています。同施設のアクティビティは低年齢向けのイメージがありますが、社会に興味を持つ中学生に向けたプログラムも用意されています。また、実際の企業が各体験をスポンサードしているので、それぞれの業種における普段の職務がリアルに体験できます。銀行や宅配便、エンジニア、パフォーマーなど幅広い職種が1カ所で体験できることも利点です」
（中3学年主任／滝澤潤一先生）

　生徒たちは職業診断表で自分に適していると診断された職業と、興味のある職業の、年収や勤務内容などを事前に調べます。そして、キッザニア東京の体験から、仕事の良い点や難しい点、人の役に立つ点などをレポートにまとめ、文化祭で保護者などに向けて展示発表します。

「準備や振り返りで情報を集め、成果を発表する作業は、大学のAO入試などにも活かされます」

　滝澤先生は、職業体験が今後の学校生活のプラス材料になることを期待しています。

「キッザニア東京は職業体験の場であって、職業決定の場ではありません。生徒には、あまり興味がないと思う職業にも挑戦してほしいですね。本校は柔道や剣道をやっている生徒が多いので、将来の職業として警察官や消防士をイメージする生徒も多いと思います」

　同施設で業務を体験することで、飲食業はお金のやり取りや商品の受け渡しだけではないことや、食品会社には商品開発という理系の面の業務があるなどの発見があります。

「生徒たちにとって職業体験は、実際の仕事はイメージと違うことを知り、働くことについて新しい視点を獲得するチャンスなのです。最初から目当ての仕事を決めつけるのではなく、自分が社会について知っていること、知らないことを確認する場になってほしいですね」

　生徒たちは、仕事を通じて社会の知識が深まっていくのです。