私立中高進学通信
2019年9月号
グローバル特集 授業[学校生活]
富士見中学校
触れ合い、探究することで
身につくグローバルな視点
興味・関心を持ち、自ら動いて学ぶスタイルを大切にしている同校。すべての教科の根底を支える同校の『探究学習』はグローバル教育でも活かされています。

「PDA全国高校即興型英語ディベート大会」での様子。
英語で意見を述べ、対戦相手の意見も聞いて、堂々と論戦を張りました。
国際的な関わりを
豊富に用意した学校生活
「グローバル=英語ではなく、グローバルとは世界を理解することです」
と、同校の国際交流部主任、馬場浩一先生は言います。海外研修や各種留学だけでなく、校内でも海外の人々と触れ合う機会を積極的に取り入れています。研修旅行などで来日した香港や台湾の中高生を学校に招くこともその一つ。交流の場を生徒主体で設け、帰国後もSNSやビデオレターでやり取りを続けるなど、世界の人々とつながる仕掛けを作っています。
生徒たちが「もっと世界について知りたい」と感じられるように、「アフリカ出身のネイティブ講師が指導するなど、常に多彩な国の文化と関わりを持てるように工夫をしています」と、国際交流部の小池千尋先生。日常的に多文化との関わりを持つことで、自然な形でグローバルな視点で世界を見つめる目が養われているのです。
英語部は明治神宮で
ガイドのボランティア

こうした環境が良い刺激になって、近年は英語部が活発に活動しています。その活躍はめざましく、先日行われた「高校生英語ディベート大会 春季新人大会」では、名だたる難関校を相手に見事優勝を勝ち取りました。明治神宮での観光ボランティアガイドの活動も行っています。海外の人々との交流は、英語でのコミュニケーション力を伸ばすだけでなく、マナーや積極性を学ぶ機会にもなっているそうです。
英語部では模擬国連やディベート大会にも積極的に参加しています。
「ディベートでは、社会の出来事に常にアンテナを張り、自分の意見をしっかりと持つことが求められますが、英語部の生徒たちは難しい問題にも真摯に向き合い、英語の文献の読解にも果敢に挑んでいます。日ごろ授業で実践している『探究学習』が、こうした力の基礎を築いていると思います」(英語部顧問/楠部みどり先生)
自ら学び取ろうとする意欲は、言語の壁を超えて、探究する力へとつながっていくのです。
英語部 生徒インタビュー
高校生英語ディベート大会 春季新人大会で優勝する実力
――英語部に入部したきっかけを教えてください。
野瀬ひかるさん(高2)
私は英語が苦手でしたが、英語部の先輩のスピーチを見て、すごくかっこいいなと思ったことがきっかけです。
丸井優希さん(高3)
もともとスポーツ系の部活動に入っていましたが、なかなか上達せず、自分が本当に身につけたいものとは何かを考えて、たどり着いたのが英語部でした。
――明治神宮で英語のガイドボランティアをされているそうですね。
根岸千紘さん(高3)
私はまさに英語のガイドをやってみたくて、英語部に入部しました。明治神宮には外国人観光客がたくさんいます。自分たちから「ガイドをさせてください」と話しかけて案内をしています。
野瀬さん
最初はなかなか話しかけることができなかったのですが、回を重ねるごとに海外の方々と交流するのが楽しくなりました。
私はフランスの方とその友人である韓国の方を案内したことがあります。一度に異なる国の方とたくさんお話ができました。
――出場されたディベート大会について教えてください。
金坂月穂さん(高2)
即興型と準備型があり、即興型は議題が出されてから15分の準備時間で論旨を考え、決められた時間内で意見を述べ合う形式で討論します。
準備型は数カ月前に議題が発表され、より高い知識レベルでディベートができるように時間をかけて議題についてリサーチし、しっかりと準備をしてから大会に臨みます。もちろんどちらも英語で行います。
根岸さん
即興型はどんな議題が与えられるかはまったくわからないので、毎日、新聞を読んで最近のニュースや話題になっていること、社会問題について考えたり、自分たちで議題を決めて練習したりしています。いろいろな観点から資料を読み、知識を増やすようにしています。
――活動を通じて成長を感じることは?
金坂さん
即興型では7分間のディベートを原稿なしで実施するので、いろいろな視点から物事を考える力やその場で考えて話す即興力も身についたと思います。
丸井さん
英語で自分の意見をスピーチするのは苦手でしたが、英語部で日常的に練習することで、どんどんできるようになり、自信がつきました。大会では意地悪な質問をされることもあるので、心も強くなりました。
根岸さん
準備型の場合は、自分たちの意見を裏付けるエビデンス (証拠・根拠) の確認も必要なので、先生や司書の方に聞く、文献を調べるなど、どう調べればほしい情報にたどり着くのかという「リサーチ力」も身についてきました。統計が読めなくて数学の先生に助けを求めたこともあります。
「安楽死を認めるべきか否か」という議題が出た時には、オランダ語や英語の文献しかなくて、なんとか翻訳したことも。限られた時間の中で自分の考えを正確に、端的に相手に伝える力や、社会が抱えている問題に目を向ける力もついてきていると思います。



(この記事は『私立中高進学通信2019年9月号』に掲載しました。)
富士見中学校
〒176-0023 東京都練馬区中村北4-8-26
TEL:03-3999-2136
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