私立中高進学通信
2019年9月号
グローバル特集 授業[学校生活]
玉川学園(中)
生徒の可能性を開花
世界標準のグローバル教育
国際バカロレア(IB)導入の先駆けである玉川学園。ほとんどの教科を英語で学ぶIBクラスの学びはもとより、学内を貫くグローバルな取り組みが、すべての生徒に国際的な豊かさを与えています。

ほとんどの教科を英語で学ぶIBクラス。
化学の実験も、オールイングリッシュで学びます。
IB教育と全人教育の共鳴
IB教育が日本で広がりを見せているのはここ数年のことですが、玉川学園ではすでに2007年に『IBクラス』を設置し、中高一貫教育でIB教育を実践してきました。IBクラスは、ほとんどの教科を英語で学ぶほか、協働しながら学ぶ、生徒が中心の授業を展開しています。
「IBクラスでは、探究型学習にベースを置いて授業設計をしています。教員が板書して生徒が写す座学中心の授業ではなく、協働して互いの知識を出し合いながら学んでいます。授業の目的は、知識の蓄積ではなく、考えるためのスキルを身につけることなのです」(IBプログラムディレクター/ウィリアム・ユーリカー先生)
卒業時には日本の高等学校の卒業資格に加え、国際バカロレア統一試験に合格すると「国際バカロレアディプロマ資格」(※1)も取得できることがIBクラスの魅力。海外大学への受験や、国内大学への推薦・AO入試に役立ちます。
「日本の大学でもグローバル化が進み、ディスカッションなどを多用した欧米型の学びを取り入れています。IBでの経験は大学で、さらに社会で役立ち、生徒の将来への可能性を広げるでしょう。IBで育まれた多様性を受け入れる姿勢や創造的な思考力は、生涯価値のあるものとなるはずです」
※1 国際バカロレアディプロマ資格…IBクラスは全カリキュラム修了後の高3生の時点で国際バカロレア機構が実施する統一試験を受験。所定の成績を収めると、国際的に通用する大学入学資格「国際バカロレアディプロマ資格」が取得できます。
グローバルな視野や感覚が
学校生活の中で身につく
IBクラスの取り組みが注目される一方で、開校時から培われてきた世界標準の教育環境、帰国生・留学生の存在、活発な国際教育プログラムによって、「一般クラスであっても、玉川学園で過ごすだけで無意識にグローバルな視野や感覚が身につく」と中学部長の中西郭弘先生と中学部生活主任の飯塚克仁先生は声をそろえます。
「1929年の開校時、世界的に有名な選手を招いてスキー学校(※2)を始めました。次の年は体操家の第一人者を招いてデンマーク体操(※3)を取り入れています。このように玉川学園の教育活動には、本物の教育を提供しようという理念が創立時からずっと続いています。その理念を貫き、時代に応じて世界に通用する教育を90年間実践してきました。その中の一つとして国際教育があります」(中西先生)
「培ってきた国際教育を活かして、ラウンドスクエア国際会議のような世界各国の同世代と交流できる場に生徒を送り出し、自らの考えを英語で発信することを意識したプログラムを増やしています。国際的な場で発信し、交流した体験は、生徒に自信を与え、その可能性を大きく広げます」(飯塚先生)
※2 スキー学校…1930年にオーストリアのスキー指導者ハンネス・シュナイダー氏を招聘したことから始まり、現在まで続く玉川学園の学校行事。
※3 デンマーク体操…スウェーデン・ストックホルムのオリンピックでデンマーク体操団を指揮するなど、体操家として活躍し「デンマーク体操(基本体操)」を考案したニルス・ブックと創立者・小原國芳の出会いによって創立以来取り組んでいる。
一般クラスの生徒が多数参加! 多彩な国際教育プログラム

玉川学園では海外にある交流校(17の提携校、50カ国200校以上のラウンドスクエア校)とのネットワークを活かして、多彩な国際教育プログラムを実施しています。プログラムを通して年間250名以上の生徒が海外体験をし、国際理解を深めるきっかけとしています。
「生徒一人ひとりのテーマや目的に沿って参加できるように、たくさんのプログラムを用意しています。ここでの体験を大学のAO入試につなげる生徒も増えてきています」(中学部生活主任/飯塚克仁先生)
カナダ研修 (対象 : 中2) |
アメリカ東部研修 (対象 : 中2一般クラス) |
ハワイ・プナホウ校訪問研修 (対象 : 中2一般クラス) |
---|---|---|
バンクーバー島にある玉川学園ナナイモキャンパスに約10日間滞在。キャンプ、カヌー、カヤック、トレッキングなどで体を動かしながら英語に触れる。英語初心者向け。IBクラスはホームステイも体験。 | ボストン、ニューヨーク、ワシントンDCを巡る10日間のプログラム。アメリカの歴史・文化、実践的な英語に触れる。ラウンドスクエア校や米国の名門大学への訪問も。 |
提携校であるハワイ・プナホウ校のアドベンチャーキャンプに参加します。プナホウ校の生徒の家庭にホームステイをする約10日間のプログラム。 また、プナホウ校の生徒は玉川学園のスキー学校に参加します。 |
ラウンドスクエア・ジュニア会議 (対象 : 中3) |
ラウンドスクエア国際会議 (対象 : 高1~高3) |
そのほか |
国際的な私学の国際連盟で1年を通じてさまざまな活動をしています。2018年はタイ、2019年はオーストラリアでの会議に参加し、同世代の世界の学生と交流しています。 |
玉川学園は2016年はスイス、2017年は南アフリカ、2018年はカナダでの会議に参加。さまざまな国を訪れて異文化を体験し、世界中の学生と交流します。 |
イギリスFelsted校サマープログラム/アフリカン・スタディーズ/ヨーロピアン・スタディーズ/ブラジル松柏・大志万学院派遣プログラム/ドイツ・ゲーテ校交換プログラム/オーストラリア交換研修プログラムなどを実施。 |
IBクラスについてのQ&A
――Q.中学一般入試でIBクラスを受験する場合、英語力は必要?
中学一般入試はすべて日本語で解くことができます。国語と英語が選択でき、算数・理科・社会科は日本語と英語が併記され問題が出題されます。
――Q.英語で行われる授業についていける?
英語力が伴わない生徒には、早朝補習や英語能力別のクラス分けなどできめ細かくサポート。教科書を2種類用意し、生徒たちの英語力に合う教科書を使って授業をするなどして、英語力の差で授業に支障がでないように工夫されています。授業では英語を話さざるを得ないため、入学後、英語力は急激に伸びていくそうです。
――Q.IBのクラス構成は?
IBクラスは、1クラス最大25名のクラス編成で、国際バカロレアディプロマ資格(DP)の取得に向けた6年間一貫体制のカリキュラムが組まれています。
――Q.玉川学園のIBクラスとインターナショナルスクールとの違いは?
玉川学園のIBクラスは、学校教育法第一条に規定された日本の学校(一条校)でもあり、履修内容は文部科学省の学習指導要領とIBカリキュラムの両方を網羅しています。海外生活の長い帰国生も日本語や日本文化への理解が深まり、日本の高等学校卒業資格を得られます。
確実なスキルと国際性を身につける
一般クラスの英語カリキュラム

玉川学園一般クラスの英語の授業は、習熟度別の縦割りで行われています。週5時間の英語の授業のうち、習熟度が最も高いクラスは、教科書の内容を2時間、3時間はELF(※4)教員によるディスカッション中心の発展的な授業で学びます。
一方で習熟度が最も低いクラスでは、教科書の内容を4時間、ELF教員との授業を1時間とし、習熟度が上がるにつれて、ELF教員との授業時間数が多くなるように設定。クラス分けは中間・期末テストの成績で入れ替わります。
「“本場の英語”や“きれいな英語”を身につけることがELF教員の授業の目的ではありません。本当のグローバル教育とは、海外を知ることで自国の文化を見直すことや、自分を表現することにあります。だからこそ、海外の先生から学ぶ時間が必要なのです」(中学部長/中西郭弘先生)
※4 ELF(English as a Lingua Franca)…「共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる英語」を修得する学習法です。
(この記事は『私立中高進学通信2019年9月号』に掲載しました。)
玉川学園(中)
〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931
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