私立中高進学通信
2019年9月号
グローバル特集 授業[コース]
文京学院大学女子中学校
高大連携で取り組む
『アジア研究』ワークショップ
SGHプロジェクトの一環として「アジア研究」を開講。東京海洋大学との連携により、日本とアジアの比較検証を行い、日本の今後の方向性について研究します。

『アジア研究』でのグループワーク。
東京海洋大学の小松俊明教授(左)の指導のもと、
同大学の大学生が生徒たちのグループに入り、台湾について調べ学習を行いました。
アジアを知り、探究し
論文を作成
『誠実・勤勉・仁愛』を校訓とし、創立以来、「女性の自立」を実践する教育を行ってきた同校。未来を切り拓くために、英語でもプレゼンテーションやディスカッションができるよう高度な英語力を育成するとともに、課題解決力の養成もめざす教育を展開しています。
生徒の視野を世界に広げ、行動力を磨く各種プログラムが評価され、2015年には文部科学省からSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト(※1)の指定を受けました。SGHのカリキュラムを中1から導入し、課題研究やグローバル講座など多彩な学びに取り組んでいます。2018年にはユネスコスクールの認定も受け、グローバルな取り組みをさらに推し進めています。
授業外の課外活動も活発で、2010年には、高度な英語と異文化理解を学ぶゼミ形式の課外授業『国際塾』を設立。高校の『国際教養コース』では、体験型の『グローバルスタディーズセミナー』を実施。『SDGs』(※2)を課題とした国際教育も進めています。
「本校がめざす生徒の理想像は、グローバル社会でリーダーとなる力を身につけ、グローバルな視点で地域社会を支えることのできる人材です。『SDGs』に基づく教育活動の実践は『SDGs』が掲げる目標と、本校が育てたい力やめざす教育理念が一致しているため、自然な流れでした」(SGH教育センター長/杉本邦彦先生)
2016年からスタートした東京海洋大学との高大連携のSGHプロジェクト『アジア研究』もグローバルな課外活動の一つ。国際教養コースの高1・高2の希望者を対象とするワークショップで、同大学の小松俊明教授が月1回、土曜日の午後に来校し、アジアについて学びます。
参加する生徒たちはワークショップを通じてそれぞれがテーマを見つけて、1年をかけてリサーチを積み上げ、研究論文を作成します。『SGH甲子園』(※3)などの大会にも参加し、ポスターセッションを行うなど発信力を磨く機会も設けており、シンガポールや台湾の大学生などとの密度の濃い交流が体験できることも魅力です。
「本校はマレーシアやタイで海外研修を行うなど、アジアと深い関係があります。さまざまな民族が暮らし、グローバル化が進むこれらの国々から、これからますますグローバル化していく日本が学べることは多いはずです。
『アジア研究』は生徒たちが将来、アジアの人々、ひいては世界の人々と共に生き、豊かな未来づくりをするための第一歩だと考えています」
※1 SGHアソシエイト…SGH事業の構想を、より多くの学校に広めるために、将来のグローバルリーダーを育成するための教育の開発・実践に取り組む高校が文部科学省から指定されています。
※2 SDGs…「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のこと。「すべての人に健康と福祉を」「ジェンダー平等を実現しよう」など、2030年までに達成をめざす17の目標が掲げられています。
※3 SGH甲子園…全国のSGHやSGHアソシエイトに指定された高校の生徒たちが研究成果を発表し合う課題研究発表会。文部科学省の主催で毎年行われています。
『アジア研究』ワークショップ・レポート
取材したこの日は、今年度3回目の『アジア研究』が行われました。参加した生徒は約20名。小松教授を手伝うのは、東京海洋大学の学生3名とノルウェーの大学で学ぶ学生の合わせて4名です。
今回は台湾をテーマに、大学生のレクチャー、グループワークでの調べ学習が行われました。まず最初に、参加した大学生たちが、それぞれ台湾の政治、経済、地理、歴史について、パワーポイントの資料などを使ってレクチャーしてくれます。今回参加した大学生たちは、東京海洋大学主催の海外探検隊プログラムで、これから台湾に研修旅行に出かけるのだそうです。
レクチャーのあとは、日本と台湾の違いについて、インターネットを使ってリサーチ。大学生が生徒たちのグループに入って質問を受けたり、調べ方のアドバイスをしたりしています。
「台湾の女性はあまり化粧をしない」「結婚の日を占いで決める」「亡くなったら人は土に還ると信じられている」という情報を見つけ、グループごとに大学生と意見交換。最後には、授業の感想を述べ合います。生徒たちは積極的に手を挙げ、自分の言葉でしっかりと発言していました。
こうしたワークショップを通じて、生徒それぞれがテーマを見つけて、研究論文の作成へとつなげていきます。



生徒インタビュー
『アジア研究』で学び
世界が広がりました
シンガポールの政策を参考に異文化理解学習を提言する論文を作成

グローバル=欧米の国々と考えがちですが、日本はアジアの一国なので、もっとアジアについて知りたくて高1から『アジア研究』に参加しました。研究論文として『日本の小学校における異文化理解学習~シンガポールの“チャンプル感”に学ぶ』を書き上げ、この研究をもとに関西学院大学で行われた『SGH甲子園』に参加しました。全国の高校生の発表を聞き、交流もして、大いに刺激を受けました。
(国際教養コース高2のM.Iさん)
LGBTの問題について研究しその解決策を論文で提案

高1から『アジア研究』に参加しています。『SDGs』の学びを通してLGBTやジェンダーの問題を初めて知り、『日本におけるLGBTの問題と解決策の提案』という論文を書き上げました。私は、みんなが幼い頃からLGBTについて学ぶべきだという考えに至り、論文の中で提案しています。今は、なぜ、先進国でもホームレスになる人がいるのかに関心を持っているので、この研究をしたいと思っています。
(国際教養コース高2のK.Yさん)
(この記事は『私立中高進学通信2019年9月号』に掲載しました。)
文京学院大学女子中学校
〒113-8667 東京都文京区本駒込6-18-3
TEL:03-3946-5301
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 英語への興味を喚起し自ら学ぶ姿勢を促す国際交流国府台女子学院中学部
- 中3生のネブラスカ修学旅行は英語学習の集大成・転換点となる13日間専修大学松戸中学校
- ラウンドスクエアで実践「使う英語」の力を伸ばす八雲学園中学校
- 中3生全員で行くシンガポール多様性に触れ、人間性を高める京華中学校
- アジア海外研修で多様な価値観を養うGLP佼成学園中学校
- リアルな韓国の文化を体験する高大接続プロジェクト多摩大学目黒中学校
- 欧米だけでなくアジアの文化を知り生きる力を身につける目黒学院中学校
- 多文化を肌で感じる中3・シンガポール研修旅行和洋九段女子中学校
- IBで培った“行動力”で勝負!全生徒が着実な成果を得る語学研修昌平中学校
- 自らの意志で挑むからこそ経験が成長につながる語学研修日本大学第一中学校
- 「オンライン英会話」でやる気と英語力をアップ東京農業大学第三高等学校附属中学校
- 本物に触れる環境で伸ばすグローバルな発信力星野学園中学校
- 「言語の4技能」を伸ばす「英語+国語」の『言語活動』武蔵野大学中学校
- 「オンライン英会話」を必修化英語のスキルが飛躍的に向上安田学園中学校
- タイでのフィールドワークをロンドンで英語論文に佼成学園女子中学校
- 社会の多様性を知るCCクラスの『グローバル・スタディーズ』国学院大学久我山中学校
- 『留学コース』で1年間の海外留学早慶ほか難関大合格を実現する英語力淑徳中学校
- カナダと日本の卒業資格を同時取得躍進する「ダブルディプロマコース」文化学園大学杉並中学校
- 高大連携で取り組む『アジア研究』ワークショップ文京学院大学女子中学校
- 英語劇で表現する喜びを体感『イングリッシュフェスティバル』大妻嵐山中学校
- 2チームが全国大会出場の快挙!主体的に活動するグローバル研究会実践女子学園中学校
- ユネスコスクール加盟を経てカリキュラム改革を推進中淑徳SC中等部
- 生徒の可能性を開花世界標準のグローバル教育玉川学園(中)
- 触れ合い、探究することで身につくグローバルな視点富士見中学校
- 「3つの言語」を強化して世界に貢献する力を育む芝浦工業大学附属中学校
- 留学生と広島・京都を巡るグローバルな体験白梅学園清修中学校
- 「相手の考えを否定しない」グローバル教育の土台を固める『課題解決ワークショップ』聖望学園中学校
- 一人ひとりの賜物を尊重するグローバルマインドの育成女子聖学院中学校
- ニュージーランド学期留学に中3生全員が参加東京成徳大学中学校
- 「英語がもっと上手になりたい」強い意志で決めたターム留学夢への一歩が踏み出せた三輪田学園中学校
- 6カ国22校と提携! 目的と希望に合わせて選べる留学 目白研心中学校


