私立中高進学通信
2019年9月号
グローバル特集 授業
武蔵野大学中学校
「言語の4技能」を伸ばす
「英語+国語」の『言語活動』
今年4月に校名を変更し、共学校へ移行した同校。前任校で多数の海外大学進学者を輩出した日野田直彦校長のもと、世界基準の教育へ大きく舵を切り、さまざまな改革が進行中です。

『言語活動』の授業では、グループワークが基本。
話し合いながら数分間でストーリーを組み立てるなど、常に意見を述べ合う機会を作っています。
多彩な英語の授業を
週8時間実施

仏教にもとづく「こころの教育」と、世界を舞台に活躍できる実践的な英語力、論理的・科学的思考力を身につけた生徒を育てる教育を実践する同校。これからの国際社会に通用する力を育むために、さまざまな教育改革を推し進めています。中学では、改革の一つとしてこれまで展開していた『総合進学』『選抜進学』の2コースを『グローバル&サイエンス』コースに統一。これまで以上に先進的なグローバル教育と理数教育を展開しています。
グローバル教育の中心となる英語の授業は、週に8時間。その内訳は通常の英語の授業が3時間、ネイティブ教員と日本人教員によるチームティーチングの授業が2時間、PBL(課題解決型学習)(※1)を取り入れた授業が2時間、同校オリジナルの『言語活動』の授業が1時間と、多彩に展開され、総合的にグローバルなスキルを伸ばすカリキュラムになっています。
今年度から始まった『言語活動』の授業は、「日本語で正しい言語表現ができなければ、英語で表現するのは難しい」という考えから生まれました。言語の4技能「読む・聞く・書く・話す」を伸ばすことを目的に、情報収集やレポート執筆、プレゼンテーションなどをきめ細かく学びます。授業を担当するのは、英語と国語の教員。教科の枠を取り払って、一緒に指導を行います。
例えば、中1の1学期に行われた授業を例に取ると、「私の好きなもの」をテーマに、まずは「ブレインストーミング」の手法でアイデアをどんどん出し合い、アイデアを「マインドマップ」に落とし込んで考えを深掘りし、その内容を一人ずつまとめて「自分の好きなもの」について発表。クラスメートから「ここが良かった」「こうするともっとわかりやすい」など、フィードバックしてもらい、これを参考にしながら最後はエッセイとして文章化するというものです。
「『言語活動』の授業では、思考力や表現力、論理的思考力なども養うことができます。『自他を知って多様性を受け入れる』『自分の哲学を持つ』など、これからの社会に必要な世界基準の考え方や行動様式を身につけることも、目標に掲げて取り組んでいます」(入試広報部長・国語科/小幡武憲先生)
※1 PBL(課題解決型学習)…「Project Based Learning」の略称。すべての教科において、自ら考えることを促す学習法で、生徒は答えが一つではない問題を解決する経験を通して科目について学びます。
楽しく取り組む中で
自由な発想が生まれる
取材した日も、授業の冒頭から教員が提示した「テーマ」について、数分以内にストーリーを組み立てる課題にグループで挑戦していました。アイデアを出し合い、意見をまとめたら1グループずつ発表していきます。内容や発表方法はグループごとに個性が表れ、自由で楽しい雰囲気の中、生徒たちは「自分の意見を述べる」ことを楽しんでいる様子でした。
「中1では失敗を恐れず、自分の意見を出せるようになることが目標です。生徒たちは回を重ねるごとに、恥ずかしがらず個性ある発表ができるようになってきました」
このような学びで日本語の基礎を固めたあとは、英語を使った言語表現にも取り組み、そのうえで高校以降の発展的な学びへとつなげていきます。
また、『言語活動』の授業では、情報収集やライティングにキーボード付きのタブレット端末を使用しています。同校では、パソコンで受検する英語検定試験「TOEFL iBT®テスト」(※2)を想定しています。テストではタイピングのスキルが不可欠だということもあり、キーボードに慣れる第一歩として中1から積極的に活用しています。
「生徒たちが楽しく取り組む中から、驚くような発想や表現が飛び出すことも」と小幡先生。今後の展開に注目が集まっています。
※2 TOEFL iBT®テスト…パソコンで受検できるTOEFL®テスト。TOEFL®テストは、大学レベルの英語を使用および理解する能力を測定するもので、海外大学への進学や留学の際に、入学審査基準の一つとして活用されています。
海外大学の担当者が来日
オーストラリアの大学進学説明会
海外大学への進学に関心が高まる中、同校ではオーストラリアにある10校の大学から担当者が来日し、説明会と個別相談会を開きました。海外とつながりの深い日野田校長が呼びかけるなどして実現したもので、同校のためだけに開かれたものです。
世界大学ランキングで上位に入る大学や、小規模でも特定の専門教育が受けられる大学など、それぞれの魅力や他大学との違いについても紹介がありました。また、進学するにはどのような手段があるのか、進学後の大学生活や勉強の進め方など、大学の担当者だからこそ語れる詳細な内容を聞く、貴重な機会となりました。
個別相談会で積極的に質問する生徒の姿には、オーストラリアの大学担当者も驚いた様子だったそうです。中学生の参加も多く、関心の高さがうかがえます。
国際教育部の松村佑香先生は、「海外大学進学を選択肢の一つとして当たり前にとらえられるよう、今後もこのような機会を設けていきたい」と話していました。


先生より一言
既存の教育にとらわれず自分らしさを追求する授業

生徒たちの可能性は、私たち教員の想像をはるかに超えるものです。そのため、『言語教育』の授業では、既存の教育にとらわれず、正解のない問いに取り組み、誰もが自分らしい表現ができるようになることをめざしています。この授業をきっかけに「意見は自由に出していいのだ」という心理的な安心感を持てれば、表現力も豊かになり、ひいては学力も伸びていきます。
『言語活動』の授業で身につけた考え方や行動様式、スキルをもとに、世界中の多様な人々と協働し、新しい何かを築き上げる力が芽生えてほしいと願っています。
(この記事は『私立中高進学通信2019年9月号』に掲載しました。)
武蔵野大学中学校
〒202-8585 東京都西東京市新町1-1-20
TEL:042-468-3256
進学通信掲載情報

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