私立中高進学通信
2019年6月号
実践報告 私学の授業
光英VERITAS中学校
自ら考え発信する英語の授業
ICT活用で効率アップ
オーストラリア修学旅行に向けた英語でのプレゼンテーション

生徒が自分についてプレゼンテーションする『Show and Tell』の活動はiPadを使うことで豊かに表現できます。
英語を使って自分の言葉で伝える発信力を育てる
聖徳太子が作成したとされる十七条憲法の「和を以て貴しとなす」に由来する『和』を建学の精神とする同校。一人ひとりの人間性を高める女子教育に力を注いでいます。2019年からは、中高ともに『S(スーペリア)探究コース』と、『LA(ランゲージアーツ)コース』の2コースを新設。2021年度の次期学習指導要領の実施を前に、先行的な取り組みとしてアクティブラーニング型授業への転換を図っています。今回取材した英語の授業でも生徒に考えさせ、意見を出し合う生徒主体の学びが行われていました。
同校では、実践的な英語力を磨くため、中3の修学旅行は全員がオーストラリアでのホームステイを体験します。ホームステイ先でスムーズに自己紹介ができるように、中2のうちから少しずつ時間をかけて準備を進めているのが『Show and Tell』です。『Show and Tell』は、自分の好きな物や写真を紹介する欧米では定番のアクティビティ。どんな英文で何を紹介すれば自分を理解してもらえるのか、生徒それぞれが考え、学年最後の授業で発表。互いに意見を出し合い、改善点を考えます。
授業で習った単語や文法を使って言葉を紡ぐには、問題演習だけでなく、自分で書いたり、話したり、表現力をつけていく必要があります。時間がかかっても間違いを恐れず、伝えたいことを知っている言葉で話してみる。相手に通じなかったら、ほかの言葉に言い換えて何度でも言ってみる。そのような“英語で語る”実践経験が必要なのです。
「これからは自分で考え、自分の意見を英語で発信する力が求められます。そのため、英語学習では実際の場面に置き換えて、実践的に自分から話すことを大事にしています」
と英語科の伊藤友望先生。生徒たちも楽しみながら、意欲を持って取り組んでいるそうです。
ICTの充実で考える・発信するに集中できる
この取り組みで活躍するのがiPadです。同校は2015年から導入し、今ではすべての生徒と教員が使用しています。プリントや教材は必要に応じてPDF化して学校のサーバーに置き、ファイルを各自がダウンロードして活用しています。プリントの配付・提出などにかかる時間を減らすことで、授業内に生徒が十分に考え、活動する時間が取れるようになったそうです。
『Show and Tell』の発表でも生徒は手馴れた様子でICT機器に自分のiPadを接続し、教室のスクリーンに画像を投影して説明を始めました。発表もスムーズに進み、生徒はやるべき活動に集中できます。
生徒自身が考え、試行錯誤する取り組みとICTの使いこなしが、英語で発信する力を効果的に伸ばしているといえるでしょう。
Step 1ペアでウォーミングアップ

英語の授業は、英会話のペアワークから。iPadに表示された課題の質問と答えの会話例をペアになって練習します。会話のやりとりに慣れてきたら、自分流にアレンジ。自由度の高い活動が、生徒たちのとっさの会話力につながります。
Step 2授業の「目当て」を全員で確認

伊藤先生は授業の「目当て」を授業の始めにプロジェクターに投影します。「写真の描写ができる」「1分以上英語で話せる」など、「~ができる」という達成目標を示し、生徒のiPadにも送信。生徒たちは目標を意識して授業に臨むことができます。
Step 3ペアワークでリハーサル

この日は『Show and Tell』の中間発表。全員の前で発表する前に、ペアワークでリハーサルをします。それぞれ紹介する画像をiPadで見せながら、プレゼンテーション。互いに意見を言い合います。クラスメートの率直な意見を取り入れて、紹介の仕方や話し方をブラッシュアップします。
Step 4『Show and Tell』の中間発表

生徒は一人ずつ教壇に立ち、スクリーンに画像を映して、英語でプレゼンテーションをしていきます。内容は多種多様で、部活動の紹介や文化祭で取り組んだこと、日本の文化や歴史、自分の趣味や家族について紹介する生徒もいました。笑顔でジェスチャーをつけながら話す生徒もおり、それぞれの個性が表れています。
Step 5フィードバックで改善

発表してみてどうだったか、工夫したいことは何かなど、ペアで話し合います。「言いたいことが言えなかった」「文と文のつなぎ方がうまくいかない」など、生徒たちは、自分の悩みを分かち合い、互いに良い方法がないかを話し合います。
Step 61年間の振り返り

この日は中2最後の授業。1年間の英語の授業を振り返りました。提出したノートや定期テストの点数など、学習の記録はすべてiPadの中に収めてあるので、学習の成果を確かめながら振り返ることができます。振り返りをプリントに書いたら、iPadのカメラで撮って、すぐに教員へ送信。これで提出忘れはありません。
考える・発信する授業に欠かせないICT機器を効率的に活用

ICT活用が授業に定着している同校。伊藤先生は、フリー素材の画像や学校行事の画像をサーバーにストックし、生徒が『Show and Tell』の発表で自由に使えるようにしています。英語でプレゼンテーションする際の原稿のチェックにはiPadを活用し、生徒は下書きをiPadで伊藤先生に提出。伊藤先生も確認してアドバイスを入れたファイルをiPadで各生徒に送信するそうです。
『Show and Tell』の発表の際には、伊藤先生は全員の発表をiPadで撮影していました。これは次の授業で生徒が自分の発表を確認するために使うとのこと。クラスメートや教員の評価に加え、自分の発表を自分の目で確かめれば改善点を意識しやすくなります。
オーストラリア修学旅行でiPadをどう活用するかはまだ検討中とのことですが、もし、使えるようになれば生徒自身のさまざまなアイデアが引き出されそうです。
(この記事は『私立中高進学通信2019年6月号』に掲載しました。)
光英VERITAS中学校
〒270-2223 千葉県松戸市秋山600
TEL:047-392-8111
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