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私立中高進学通信

2019年6月号

実践報告 私学の授業

富士見中学校

自分の興味や関心を掘り下げる
中3の『卒業研究』

「生徒自らが学ぶ」姿勢を育てていく教育
『卒業研究』をプレゼンテーションする生徒たち。下級生も先輩の発表を一生懸命に聞き、熱心に質問をしていました。

『卒業研究』をプレゼンテーションする生徒たち。
下級生も先輩の発表を一生懸命に聞き、熱心に質問をしていました。

1年間の研究成果を全員がプレゼンテーション

『社会的貢献のできる自立した女性の育成』を教育目標に掲げる同校は、生徒の自主性や課題発見力、問題解決力などを育てるために、中1から探究プログラムを行っています。中1・中2での調べ学習などを通して探究のプロセスを体系的に学び、中3では集大成として『卒業研究』に取り組んでいます。

 研究テーマは生徒の自主性を重んじて各自が自由に設定し、調べを進めていきます。教員の指導は最小限にとどめ、生徒自身が考えることをサポート。生徒たちはグループに分かれて自分の研究経過を話し、友達の意見を取り入れる機会も設けています。夏休みには全員が一人ひとり研究経過を一冊の本にまとめて文化祭で発表。さまざまなフィードバックを反映した完成版が、3学期の『中3卒業研究ポスター発表会』で披露されます。

 発表会では、体育館に何十ものパーテーションが並べられ、研究内容をまとめたポスターが貼られます。中学の生徒や保護者が会場を回る中、中3生は時間ごとに交代で自分のポスターの前に立ち、5分間のプレゼンテーションを行います。2年前までは、代表に選ばれた生徒のみが、講堂のステージで一人ずつ発表していたそうです。

「生徒全員が発表する機会を作りたいと思い、形式を変更しました。人前でのプレゼンテーションは、発信力や対応力を磨く良い経験になります。優秀な生徒を作るのではなく、全員が探究のプロセスを踏むことが本校の目標です」

 と、卒業研究を担当する田辺雅義先生は話します。

原稿を読み上げるのではなく自分の言葉で届ける学び

「プレゼンテーションのポスターにはキーワードと伝えたいことのみを記載し、説明は自分の言葉で伝えるように生徒には話しています」

 と田辺先生。原稿を淡々と読み上げるのではなく、聞き手の心をつかみ、わかりやすく伝える力を養います。また、質問の時間が必ず設けられているので、どの生徒もその場での対応力が問われます。

 さらに、大切なのが振り返りの学習です。発表後、生徒たちはコメントシートを活用し「自分の意見を形成する力」「論理的に考える力」などについて、A~Eの5段階で自己評価をします。このコメントシートは中1~中3生にも配られ、生徒たちは第三者からも評価されます。

「自己評価と第三者の評価を踏まえて、今後どのような力が自分に必要かも記述してもらいます」

 高1、高2でも継続的に取り組む探究学習。より深く、自主的に学び発信する力を養っています。

Graduate Study
中3生全員が1人5分間のプレゼンテーションを実施

『卒業研究』の発表シートには、「研究動機」「問い」「主張」の3つを必ず入れることになっていて、誰もが自分なりの結論を出さなければなりません。生徒たちが選んだテーマは幅広く、「血液型と性格は関係しているのか?」「百人一首は公文書として成立するのか」「虐待を減らすために私たちができることはあるのか」など、ユニークなものから社会的課題まで多種多様です。どの生徒も自分の研究を探究・分析し、それぞれの主張をしっかりと発表していました。

生徒たちが一斉にプレゼンテーション。「練習よりずっと良かったですね。どの生徒にも、1年間の成果を伝えたいというイキイキとした表情が見られました」と、田辺先生。生徒たちが一斉にプレゼンテーション。「練習よりずっと良かったですね。どの生徒にも、1年間の成果を伝えたいというイキイキとした表情が見られました」と、田辺先生。
中1・中2の後輩たちや同学年の生徒からのコメントも寄せられます。友達に褒められるうれしい体験も!中1・中2の後輩たちや同学年の生徒からのコメントも寄せられます。友達に褒められるうれしい体験も!
私のプレゼンテーション

日野 早百合さん

テーマ:家庭でどれくらい魚を食べればよいのか

 自分のきょうだいで魚好きの子と嫌いな子がいること、小学校の給食で魚嫌いな子が多かったことなど、身近なところから、テーマを思いつきました。文献を調べるほか、水産庁のデータなどもネットで調べました。

 今回の研究で、自分が今まで知らなかったことについて深めることができ、さらにデータから何がわかるかを詳しく調べることができて、興味が深まったと思います。


新島 彩寧さん

テーマ:未成年の子どもの献血を親は勧めるべきか

 最初は血液型に興味があっていろいろな本を調べたのですが、その過程で最近、未成年の献血が少ないという記述を見つけました。

 自分の結論としては最初から“献血すべきである”だったのですが、根拠がなかったので、情報収集をしてどんどん肉付けしていきました。発表では、保護者の方々が興味を持って聞いてくださいました。ハキハキ話せたと思います。


菅野 咲名さん

テーマ:日本は建築のありかたを欧米のように変えるべきか

 最初に自分の好きなものを調べようと思い、“色”をテーマに研究しようと思ったのですが、そこからまったく広がらなかったので、次に“紅茶”を調べました。それでもテーマが限定されていてやはり広がりません。そこで、最終的に建築について調べることにしました。

 文献調べは、司書の先生も手伝ってくれました。発表は少し緊張しましたが、質問もしてもらえたので良かったです。

先生の目線
生徒同士の学び合いを重視
卒業研究担当/田辺雅義先生

 基礎知識という部分では、生徒よりも教員のほうが長けていると思います。ですから、教員が細かく指導してしまうと、生徒たちが自ら調べようとしていること、疑問に思っていることが、我々のアドバイスで簡単に解消されてしまうんですね。そうではなくて、やはり答えは自分で見つける。それも、生徒同士の学び合いから引き出していくことが大事だと考えています。助言は最小限にとどめて、調べることやディスカッションから学び取ることを大切にしています。
(卒業研究担当/田辺雅義先生)

(この記事は『私立中高進学通信2019年6月号』に掲載しました。)

進学通信 2019年6月号
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