私立中高進学通信
2019年4・5月合併号
私学の英語最前線
駒込中学校
人間教育の伝統校が実践
時代に即した英語教育
自分の得意分野を活かして、将来、国際社会で活躍するために
今ここで学ぶ生徒たちに本当に必要な英語教育を実施している同校。
実用的な英語を身につける教育が、生徒の未来を切り拓きます。

左から英会話を担当するネイティブ教員のキャロライン先生、
国際部主任の川上久人先生、2018年度に中1を担当した浅見絵里香先生。
生徒の将来を見据えた
英語教育6年間のビジョン
江戸時代の前期、1682年に『勧学講院』と呼ばれた寺子屋をルーツとし、仏教主義に基づく教育を行ってきた伝統校。天台宗の開祖である最澄が書き残した言葉『一隅を照らす』を教育理念に掲げています。330年を超える人間教育の伝統をベースに、あらゆる個性を持った生徒一人ひとりを活かすべく、生徒の将来を見据えた改革が積極的に行われています。
2018年度から、中学は『国際先進コース』と『本科コース』の2コース制になり、カリキュラムの大改革が行われました。STEM教育(※)をはじめとする国際標準のカリキュラムが導入され、中学・高校ともに大学と連携した専門性の高い体験型授業が行われています。さらにICTを活用する授業のために施設・設備を充実させ、多感な中高時代を過ごす学びの場として魅力的な環境が整えられています。
中学入試においては、適性検査入試・英語入試・STEM入試・自己表現入試・帰国生入試などさまざまな入試形態を設置し、意欲ある多様な個性を持った生徒たちを募るなど、新しい試みが次々と実施されています。
こうした改革の背景にあるのは、グローバル化への対応です。生徒一人ひとりの多様な力を活かす教育に力を入れるのはもちろんのこと、将来、英語は欠かせないコミュニケーションツールであると捉え、実用的な英語力をすべての生徒に身につけさせる英語教育に取り組んでいます。
「希望進路を実現するための大学受験対策はもちろん、国際人として通用する英語力の育成にも力を注いでいます。どのような進路に進もうとも、生徒一人ひとりの得意分野を活かすために、英語力の獲得は不可欠だからです。
海外で活躍するサッカー選手はサッカーの技術だけではなく、英語でのコミュニケーション能力が必要になります。理系分野でも、英語で論文を書くことができれば、ノーベル賞など国際的な評価を得る可能性が広がります。英語を使って何をするのか。生徒たちには目標を意識して英語を学んでほしいと思っています」
(国際部主任/川上久人先生)
※STEM教育…Science, Technology, Engineering, Mathematicsそれぞれの頭文字をとった言葉で、科学・技術・工学・数学の教育分野を総称した言葉。IT社会とグローバル社会に適応した国際競争力を持った人材の育成をめざす21世紀型の教育システム。
生徒一人ひとりに合わせた
最も効果的な教育を実施
すべての生徒が高い英語力を身につけるためには、「本格的な英語学習の導入期となる中1の段階で、生徒が英語に対してどのような印象を持つのかが重要」と、英語科の浅見絵里香先生は言います。
「英語を教科・科目としてだけではなく、背景にある文化や考え方、日本人との違いといった切り口から学ぶことで、英語って楽しそう、面白そう、と思えるように指導しています」(浅見先生)
中1の英語の授業は、英語に親しむことからスタートし、中2~中3ではスペリングや文法構造といった英語の “型”をしっかりと定着させて基礎を固め、学年が上がるにつれ、発信力や表現力へと学びの重点を移し、自分で考えたことを英語で発信する活動へと移行していきます。
「英語の型が定着してくると、英文の内容がしっかり頭に入るようになります。基礎をきちんと習得してから、英語で自由に話す・書くというクリエイティブな学びへと進みます。自分が伝えたいことや自分の考えをきちんと持ち、それを表現するための英語力を育てることが本校の英語教育の目標です」(川上先生)
さらに、『国際先進コース』では、『本科コース』とは異なるアプローチで、より発展的な内容を学びます。『国際先進コース』は高校の『国際教養コース・理系先進コース』へ進むためのプレスクールとして位置付けられており、専門性や考える力を重視した学びを見据え、より主体的に自分で考える内容を重視した授業が行われています。また、このコースには帰国生や英検準2級以上を取得した生徒などもおり、そうした生徒を対象に取り出し授業を行うなど、高い英語力を伸ばす取り組みも行われています。
実用的な英語に触れる学習環境
日々の学校生活においても、実用的な英語に触れるチャンスを多彩に用意しています。英会話の授業は、2コースともに中1から行われており、1クラス2分割の少人数制で、きめ細かな指導が行われています。
「英会話の授業では、中1からペアワークやスピーチを積極的に行い、ネイティブ教員と1対1で話す『インタビューテスト』によって、実践的な英語に対する対応力もつけていきます。実際の会話の場面を想定して学ぶことと、人前で話す力を伸ばすことを重視しています」(キャロライン先生)
中2からは、生徒の英語レベルに合わせたオンライン英会話レッスンを実施。経験豊かなフィリピン・セブ島の講師が週1回きめ細かく指導し、サポートしているので、生徒それぞれが自分のペースで英語力を伸ばすことができます。
英語が得意な生徒もそうでない生徒も、それぞれに合った指導方法によって英語力が養える同校の英語教育。英語に触れる機会を多彩に設け、実用的に英語を使う環境によって、英語を学ぶ意欲を高め、実践的な英語力を確実に身につけていけるのです。
POINT1
中学生も参加できる海外研修が充実

中1から参加できる7泊9日のハワイセミナーや中3で実施する約7日間のフィリピン・セブ島語学研修など、中学から参加できる海外研修を用意。本格的な英語力を養う機会を設けています。さらに英検準2級以上レベルの生徒に向けては、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、トルコなど英語が母国語ではない生徒たちと一緒に学ぶマルタ島語学研修があります。
「マルタ島では、ホテルの部屋も各国の生徒たちと相部屋なので自分の力で英語で話して対応しなければなりません。朝起きてから寝る時までずっと英語で交流することで、英語力をブラッシュアップさせることができます」(川上先生)
POINT2
長期留学にもチャレンジできる!

希望者を対象に、オーストラリアやニュージーランドへの留学も設定。高1の1月から出発する3カ月留学と、高1の1月から高2の12月まで1年間をかけて実施する長期留学の2コースが用意されています。留学期間中の単位は同校の単位として認定されるため、1年間の留学を選択しても同級生と共に卒業できます。ここ数年は50名前後(学年全体の約1割)が留学を希望しており、互いに刺激し合う環境が学校全体の学習へのモチベーションを高めています。
POINT3
異なるバックグラウンドを持つ
生徒たちが刺激し合う環境

難関大学の進学者を多く輩出する一方で、芸術・スポーツなどの分野での実績を上げる生徒も多い同校。「一隅を照らす」という教育理念が常に人間教育の礎となっているため、多様な才能を持つ生徒たちが個の価値を認め、互いを容認する校風にあります。そのことこそが真の「グローバル時代を生き抜くための人材育成」であると考えられており、また新コース制の導入や、新しい入試で入学してきたさまざまな生徒たちによって、校風がより促進され、校内にさらなる活気が生まれています。
「幼少期を海外で過ごした生徒や、保護者が外国の方であったりする生徒も少なくありません。異なるバックグラウンドを持っていても、そうした生徒を中心に新しい風が吹いていくのです」(川上先生)
(この記事は『私立中高進学通信2019年4・5月合併号』に掲載しました。)
駒込中学校
〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25
TEL:03-3828-4141
進学通信掲載情報

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