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私立中高進学通信

2019年4・5月合併号

実践報告 私学の授業

跡見学園中学校

高2の社会科
必修授業に体験型の『模擬裁判』を導入!

すべて生徒が進行し「法」を知る授業
20年以上続いている『模擬裁判』授業。以前は高3の選択科目「政治・経済」で行われていましたが、2018年度からは高2の「政治・経済」授業の一環として実施。2019年度からは、高2の社会科必修行事として実施予定。

20年以上続いている『模擬裁判』授業。以前は高3の選択科目「政治・経済」で行われていましたが、
2018年度からは高2の「政治・経済」授業の一環として実施。2019年度からは、高2の社会科必修行事として実施予定。

東京弁護士会と協働した"本物"の裁判体験

「"本物"に触れ、豊かな心を育てる」を教育方針の一つとする同校。教科学習、芸術科目を含めて、多彩な体験型学習を実践しています。なかでも注目されているのが、高校社会科の授業の一環として行われる『模擬裁判』です。

 東京弁護士会からのアプローチにより、約20年前から始まった同校の模擬裁判授業は、高2生全員を対象に、東京弁護士会所属の法教育に携わる現職弁護士の方々と協働で実施されています。指導を手がけるのは、高校社会科を担当する住川明子先生です。

「模擬裁判授業の目的は、将来、誰もが裁判員になる可能性も考え、全員が何らかの形で裁判に参加し、体験することです。本校では、中3で全員が東京地方裁判所で刑事裁判を傍聴し、現職裁判官の方から実例を交えた司法の説明を伺う授業を行いますが、模擬裁判はその発展です」

 模擬裁判授業では、法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の役割を知り、裁判員としての裁判への向き合い方・考え方を学びますが、それ以上に重要なのが法律に則って答えを見出そうと努める体験です。正解を出すことが非常に難しい問いに対して、それぞれが考え、最終的に結論を導き出すこの取り組みには、アクティブラーニング型授業としての側面もあるのです。

「模擬裁判は、客観的に事件の概要や争点を見極めることが大切です。判決を下す法曹三者が感情に流されず、法律にのみ従って手続きを進めているかどうかを、生徒自身が自ら考え、見極めることもポイントです。直接参加すること、身体を使って体験することを通して獲得したものは、受け身としての勉強より、自分のものとして確実に定着します。だからこそ、いっそうの学力の向上がめざせるのです」

自ら考え判決を導き出し
社会的視野を広げる

 模擬裁判の登壇者は、裁判官、検察官、弁護人以下、被告人から刑務官まで、裁判に関わるすべての役割を、立候補制により生徒が担います。ほかの生徒も全員、裁判員の立場で裁判を傍聴し、有罪か無罪か、自らの意見を提示します。誰もが自分自身が関わる裁判として、真剣に向き合いながら挑みます。

「登壇者は、現職の弁護士に指導を受けるという二度とない経験と達成感を得ます。裁判員役の傍聴者も、登壇者の準備の苦労や人前で演じる勇気にエールを送り、生徒同士の結束や積極性も高まっています。登壇者の中には、模擬裁判の経験をきっかけに法学部進学をめざす生徒もいます」

 生徒たちにとって、法的なものの見方、考え方を学ぶのに加え、幅広い視点から社会を理解する貴重な体験となったことでしょう。

模擬裁判に至る流れ
Step 1裁判の基本シナリオを準備

 模擬裁判は、東京弁護士会の法教育センターが作成する、過去の刑事事件をもとに検察側、弁護側の答弁によって有罪にも無罪にもなるように作られたシナリオを使用します。今回採用されたのは、1万円のスリを疑われる被告人に決定的な証拠が存在しない「池袋デパート窃盗事件」。一般的な刑事裁判の進行に従い、被告人、検察官、弁護人、証人らのやり取りが記載された基本シナリオを、配役された生徒たちが読み込み、疑問点を抽出します。

Step 2現職弁護士による事前指導

 模擬裁判本番の10日前には、10名の弁護士による約2時間の事前指導を実施します。基本シナリオを読んでわからなかったことを生徒が質問し、各役柄のポイントが説明されます。

 さらに、基本シナリオをもとにした尋問事項の内容の精査や、アドリブによる尋問内容を追加する方法など、シナリオを肉付けするためのアドバイスを弁護士から受けます。その後は簡単なリハーサルを行い、以後は入念に模擬裁判本番への準備をします。

模擬裁判の当日は、跡見李子記念講堂を会場に行われました。高2全生徒が傍聴するなか、最初は緊張していた登壇者でしたが、最後は尋問を応酬し、白熱の展開を見せました。模擬裁判の当日は、跡見李子記念講堂を会場に行われました。高2全生徒が傍聴するなか、最初は緊張していた登壇者でしたが、最後は尋問を応酬し、白熱の展開を見せました。
模擬裁判の最後には、傍聴した生徒たちも有罪か無罪かを投票。裁判員の立場を体験しました。模擬裁判の最後には、傍聴した生徒たちも有罪か無罪かを投票。裁判員の立場を体験しました。
Step 3模擬裁判当日
本番では、どの配役者も堂々と尋問を繰り広げました。弁護人役と検察官役は、模擬裁判が終わるまで事件について話さないというルール。判決後の意見交換は、多角的な視点で物事を見るきっかけになっています。本番では、どの配役者も堂々と尋問を繰り広げました。弁護人役と検察官役は、模擬裁判が終わるまで事件について話さないというルール。判決後の意見交換は、多角的な視点で物事を見るきっかけになっています。

 配役された生徒たちと各役柄をサポートする弁護士9名が登壇し、生徒たちの後ろで待機。裁判の進行中にも、さまざまなアドバイスを与えていきます。今回の「池袋デパート窃盗事件」では、被害者である証人が、被告人が1万円をスリ取った瞬間をはっきり目撃した証拠がなく、周囲の目撃証言もあやふやなため、検察官側と弁護人側の議論も白熱しました。

 裁判官役の生徒は、互いの陳述を元に「有罪」の判決を下しましたが、最後に裁判員役として傍聴していたほかの生徒たちにも、有罪か無罪かのアンケートを敢行。そこでは「無罪」の票が多く集まりました。尋問の仕方により議論の行方が左右される裁判で判決を下す難しさを、身をもって体験できる授業でした。

専門家に学ぶ多彩な体験型学習

 中3社会科の「東京地方裁判所 刑事裁判傍聴」のほかに、同校では多彩な体験学習を行います。とくに古典芸能鑑賞には注力しており、中2・中3の国語では「能・狂言鑑賞」、高1では歌舞伎、高2では文楽、高3では校内で雅楽鑑賞もあります。また中3の家庭科では「テーブルマナー」を学ぶなど、幅広い教科で実践されます。

中3では、全員が「刑事裁判傍聴」を体験。その学びは模擬裁判にも反映されます。中3では、全員が「刑事裁判傍聴」を体験。その学びは模擬裁判にも反映されます。
宝生能楽堂での「能・狂言鑑賞」。前座に同校の謡曲仕舞同好会の生徒が、謡や舞を披露します。宝生能楽堂での「能・狂言鑑賞」。前座に同校の謡曲仕舞同好会の生徒が、謡や舞を披露します。
現職弁護士に聞く模擬裁判のポイント

「模擬裁判体験の意義はさまざまあります。事前に事件を考察することで客観的に物事を見つめる目が育ち、裁判では、登壇者も傍聴者も互いの言い分の違いをよく聞いて自分で判断する力、人前で積極的に発言する力も身につくでしょう。登壇した生徒さんも楽しそうに演じていました。ここからぜひ、法や社会に対する興味も育てていただきたいですね」
(計良明芳弁護士)

(この記事は『私立中高進学通信2019年4・5月合併号』に掲載しました。)

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〒112-8629 東京都文京区大塚1-5-9
TEL:03-3941-8167

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