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私立中高進学通信

2019年2・3月合併号

THE VOICE 校長インタビュー

浦和明の星女子中学校

「私の生き方は、これでよいのか?」と
常に問いかけて「ほんとうの私を生きる」

島村 新 (しまむら・しん)校長先生
1970年、浦和明の星女子高等学校に社会科教員として着任。
以来「明の星教育」に魅せられて、現在に至る。
2000年に教頭に就任。2003年の中学校開校以後、2008年に副校長、
2012年に浦和明の星女子中学・高等学校の7代目校長となる。

「明の星教育」の本質はカトリックの精神
新しいカフェテリアは、木のぬくもりにあふれた、くつろぎの空間。カフェテリアの隣には噴水とベンチが設けられている。新しいカフェテリアは、木のぬくもりにあふれた、くつろぎの空間。カフェテリアの隣には噴水とベンチが設けられている。

 本校の創立50周年記念式典が2018年11月2日に行われました。正確には2016年が創立50周年なのですが、校舎の建て替えがすべて終わってから祝おうということで、2018年に行うことになったのです。

 私はこの式典のあいさつで「明の星教育」の本質であるカトリックの精神について述べました。

 本校が50年間どのような教育をしてきたのか。私は全校生徒、全教職員、卒業生、保護者の方々、来賓の方々に改めて知ってほしかったからです。

 本校の精神を具体的に表明しているものが校訓「正・浄・和」です。本校では創立当初から今日に至るまで、この校訓を教育活動の中心に置き、生徒一人ひとりを大切にしてきました。

「正・浄・和」は「新約聖書」にある「山上の説教」からきています。「正」は「義に飢え渇く人々は幸い」、「浄」は「心の浄い人は幸い」、「和」は「平和を実現する人々は幸い」を表しています。

 本校では「正」は「ほんとうの私を生きること」、「浄」は「自分を受けとめること」、「和」は「他者を受けとめること」であると捉えています。

自己肯定をした上で違った個性を認める

 本校では毎年、校訓に関連づけた実践目標を決め、生徒と校訓について考えています。2018年度は「正」に基づく「ほんとうの私を生きる」でした。今は、他人と競争して一番になれば「ほんとうの私」になれると思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、「ほんとうの私」は他人との比較や競争のなかで捉えられるものではなさそうです。

「ほんとうの私を生きること」は「自分に与えられた命を生きること」だと思います。

 本校ではこうした校訓の実践に向けて2つのことを大切にしています。「ほんとうの私を生きること」そして「みんなとともに生きること」です。「ほんとうの私を生きること」は言い換えれば、「自分を受けとめること」に、「みんなとともに生きること」は「他者を受けとめること」になると思います。

 生徒は一人ひとり違った個性を持っています。このことを生徒にわかってもらうために私はよくこんな例えで話しています。

「にんじんさんは、にんじんさん、だいこんさんは、だいこんさん、ごぼうさんは、ごぼうさん。みんな違っていて、いいのです。誰かと比べなくてもいいのです」と。

 詩人のまど・みちおさんの作品に「いっぱいやさいさん」という絵本があります。この絵本には次のように書かれています。

「にんじんさんは、にんじんさんなのがうれしいのね」。

 こちらはさらに積極的な自己肯定になっています。絵本に出てくるにんじんも、きゅうりも、トマトも、自分が大好きな野菜でいられることがうれしくてたまらないのです。

 自分が自分で良いという自己肯定をした上で、友達の個性を認め、仲良く力を合わせれば、自分らしさを伸ばして成長できるのです。「自分を受けとめること」も「他者を受けとめること」も「ほんとうの私を生きる」ための方法といえます。

絶えず問いかけることが義に飢え渇くことになる
校訓「正・浄・和」に基づく「明の星教育」
  • 「浄」は「自分を受けとめること」
  • 「和」は「他者を受けとめること」
  • 「正」は「義に飢え渇くこと」

「ほんとうの私を生きること」

「ほんとうの私」を生きるためには、もう一つ方法があります。私たちに命を与えてくださった神様に自分の使命を聞くことです。これが一番ですが、神様に直接、聞くには、どうすればよいのでしょうか。

 先ほど述べたように、校訓の「正」は「新約聖書」に記された「山上の説教」の「義に飢え渇く人々は幸い」からきています。「義」は良いことであり、神様が望んでいることです。「私の生き方は、これでよいのでしょうか?」と絶えず問いかけていることが、常に義に飢え渇いていることになると思います。

 このことを生徒たちは「卒業生による講演会」で実感しました。創立記念行事の一つとして、卒業生3人を招いて語ってもらったのです。テーマは「20年後の私」でした。3人のうち1人は大学院の博士課程で学びながら企業で働いています。彼女の講演の題は「人生の軸の見つけ方」でした。もう1人は2人の子どもを持つ専業主婦で、講演の題は「母になるという選択肢」でした。もう1人は医師で、講演の題は「病気と向き合う~小児科医の経験から」でした。

 生徒たちは3人の話を聞いて感激していました。この講演から、この卒業生たちが本校で自分を受けとめながら、みんなと仲良くするとともに、常に義に飢え渇く年月を過ごしていたことがわかったからでしょう。その結果として、今、この3人は「ほんとうの私」を生きているのです。

 このような卒業生に続き、現在、そして未来に本校で学ぶ生徒にも校訓「正・浄・和」に基づく本校の教育が今後も受けとめられていくと確信しています。

 そして、すべての明の星生が無意識にであっても、校訓「正・浄・和」から何らかの示唆を得て、今を、そして未来を築いていくのではないかと考えております。

「明の星教育」の源流は1853年にカナダに創立された聖母被昇天修道会にある。1934年、この修道会から教育を目的に5人のシスターが来日。東北の地に学校(現・青森明の星中学・高等学校)を開く。その教育活動は実を結び、1967年、浦和の地に新しい種がまかれた。それが同校である。2003年には中学校を開設。創立50周年に向けて校舎の建て替えが行われ、2018年7月にカフェテリアが竣工し、新校舎がすべてそろった。

[沿革]
  「明の星教育」の源流は1853年にカナダに創立された聖母被昇天修道会にある。1934年、この修道会から教育を目的に5人のシスターが来日。東北の地に学校(現・青森明の星中学・高等学校)を開く。その教育活動は実を結び、1967年、浦和の地に新しい種がまかれた。それが同校である。2003年には中学校を開設。創立50周年に向けて校舎の建て替えが行われ、2018年7月にカフェテリアが竣工し、新校舎がすべてそろった。

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