私立中高進学通信
2019年2・3月合併号
注目のPICK UP TOPIC!
自由学園(男子部・女子部)中等科
4年に一度の音楽会を開催
芸術によって人間性を育てる
運営は生徒の協力によって

高等科・最高学部(大学部)・管弦楽・リビングアカデミーによるヘンデルのオラトリオ「メサイア」の合唱。
2年前から練習を重ね12年ぶりにこの大曲に挑みました。
総合的かつ本格的な学びが生徒の感性を磨く

同校は、「思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ」という教育理念に基づき、実利実用だけによらない調和のとれた人間教育をめざしています。教科の学びに加えて、音楽、美術などを全員で本格的に取り組むことを大切にしています。4年に一度開催される東京芸術劇場での音楽会は、同校の行事の中でも最も重要なものの一つです。音楽科主任教諭の武田若菜先生は、そのねらいと意義を次のように話します。
「音楽科は創立者の『芸術によらなくては、本当の人間になれない、という部分がある』という言葉を土台としているので、素人が高みをめざして努力する過程で育まれる品性を会得することをねらいとしています。また、本格的な会場で、深い感動を味わわせたいと願っています。音楽の教科だけでなく、他教科とリンクさせた、横断的な学びとなることも大切にしています」
各教科の横断的な学びについて、女子部中等科・高等科副部長の竹上尚子先生が話します。
「作曲家から直接話を聞き、歌詞の意味を考える中で歌のイメージをふくらませました。国語では、作詞者の生涯とその詩作について学びました。また、美術で曲のイメージを絵やデザイン画で表し、それをより深めると、演奏にもフィードバックができます。男子部では、音楽をテーマに木彫や俳句、習字で表現しました。こうした総合的な学びを通して、感性が磨かれるのです」
生徒たちが作り上げるのは、音楽だけではありません。場面転換のセッティング、お弁当の手配など、運営も生徒たちが担います。高3生の常務(運営)リーダーのもと、責任を分担し、当日の成功を期して自らできることを考え、入念な準備をしてきました。
「音楽会後の感想文を読むと、想像以上にさまざまな気付きがあったことがよくわかります。一人ひとりが手応えを感じたことを知って、うれしく思いました」(女・男子部音楽教諭/佐々木順子先生)
音楽会の準備・開催を経て得た成果は、これからの生徒たちの学びのバックボーンになっていくのです。




大役を果たした生徒にインタビュー
女子部高3・常務リーダー 坂井さん
「女子部全体のリーダーとして、各係の仕事がスムーズにできているかに目を配る立場でした。音楽会が近づくにつれて、全員の気持ちが高まり、まとまっていくのを感じました」
女子部高3 ・音楽会リーダー 行場さん
「女子部の合唱の練習を進める立場でした。必ずしも合唱が好きな生徒ばかりではない中で、先生と相談して練習方法を工夫するなど、みんなのやる気を引き出し、合唱への気持ちを高められるようにと考えていました。本番で歌い終わった後の余韻に、達成感を感じました」
男子部高3・常務リーダー 服部さん
「合唱は、声だけではなく、気持ちを合わせるものという思いで、全員が一体になることをめざしました。みんなにとって、どんな小さなことでも得るものがあってほしいと思っていました」
男子部高3・音楽会リーダー 重村さん
「みんなの良い部分を伸ばすにはどうするかを考えました。練習ではうまくいかないこともありましたが、本番で一番いい出来だったことが、とてもうれしかったです」
男子部中3・合唱リーダー 工藤さん 山本さん
「男子中学生は変声期もあって、声が出にくいため、意識を向けるのが精神的にも大変でしたが、練習を重ねることでみんなの意識が変わっていって、まとまりが出ました。本番では大きな拍手をもらえました」
男子部中2・ステージ椅子並べリーダー 中川さん
「中2生をまとめて、椅子の配置の取り仕切りをする役割でした。全員でするということで、やりがいを感じ、やる気が出ました」

演奏者の椅子を並べるのは、男子部中2生が担当するのが伝統です。
高3の先輩に4年前の経験を聞いて、校内で練習を重ねました。
(この記事は『私立中高進学通信2019年2・3月合併号』に掲載しました。)
自由学園(男子部・女子部)中等科
〒203-8521 東京都東久留米市学園町1-8-15
TEL:042-422-1079(女子部)/042-428-3636(男子部)
進学通信掲載情報

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