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私立中高進学通信

2019年特別号

私学だからできるオリジナル教育

和洋国府台女子中学校

自問自答をしながら創作活動
〜芸術教科により学問の姿勢を身につける〜

「凜として生きる」女性として、社会に貢献できる人財育成をめざす和洋国府台女子。いわゆる主要 5教科と同等に、「音楽」「美術」「書道」の「芸術科」にも力を入れています。和洋国府台女子の 芸術教科の目的と、生徒の成長への願いについてお話を聞きました。

芸術教科で育まれる課題発見力と解決力

「学問とは、社会で利益を上げる実学の面もありますが、本来は真理の探究をめざして自分のために行うものです」と話すのは、芸術科主任の射庭一嘉先生。

「例えば、テストには答えが用意されていますが、出題者(教員)と解答者(生徒)は別です。一方、芸術教科での創造行為は、"こういうものを作りたい""これはなぜだろう"と自分自身で問題を設定し、自問して答えを探しながら創作を進めます。現代社会で求められる、『自分で課題を探し、それを解決できる能力』は、芸術の創造的な活動を通して育むことができるのです」

芸術の授業は、PDCAサイクルを学ぶ場
射庭一嘉先生 芸術科射庭一嘉先生
芸術科主任

 芸術教科の創作では、①何をどのようにつくるかの計画を立ててから、②創作に取り組み、③つくりあげた作品を評価して、④その創作の経験を次の作品作りに生かしていきます。こうした①〜④の流れをPDCAサイクルと言います。PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つの頭文字を組み合わせた言葉で、経験を建設的に次の経験につなげていく手法です。

「創作ではPの前に、"観察"が重要になります。例えば自画像を描くときは、モデルの自分と、表現する技能(自分の実力)も観察します。この観察が疎かだと、計画は立てられません。創作活動で養われた観察力は、日常でも生かされます。例えば、相手を観察して自分との距離感を測ることで、良好な人間関係を築くことができます」

自発的な欲求が自信を成長させるー美術授業での取り組み紹介ー

 創作活動は、自問自答をしながらテーマを深めていくことなので、教員といえども指導はできません。

「教員の役目は、生徒が自問自答しやすい場を作ることです。観察のポイントといったヒントなどを挙げることで、生徒各自の「描く目標」が設定できるようになります。すると、"もっとよくしたい"と新たな目標が生まれ、また自問自答をして掘り下げていきます」

 中には、美術が好きではない生徒もいます。射庭先生は美術嫌いの生徒の心理をどのように考えているのでしょう。

「絵を描いたり、ものを作ったりするのが嫌いな子どもはいません。なぜなら、自分を表現する行為は人間の本能だからです。しかし自分の作品に対して周りの人からよからぬ反応を受けたという経験から、美術が嫌いになることはあります。私は生徒の作品から、どんなに小さくても魅力を見つけることを心がけています。決して生徒を否定しません。また、創作のテーマは、生徒がワクワクするものを選ばせます。自発的な欲求がないと何もできません。特に美術はやらされる教科ではありません。私からもいろんなヒントを出しながら、生徒のワクワクする気持ちが強くなるような工夫をしています」

悪目立ちを正していたらつまらない

 音楽・美術・書道などの創造的行為は、形として残りますし、作者の性格も現れます。ただし、テストの答えと違い、作品の評価は「上手」「下手」という単純なものではありません。

「たとえば絵で"だめ"なところは、バランスが悪いのですぐに気がつきます。でも、そこを消したり修正したりしても決して良くはならず、平凡になるだけです。むしろ、バランスの悪いところをどう生かしていくかを考えるほうが楽しいですよね。芸術科では成功体験をもっと大きな体験につなげていくことが実感しやすい教科です。女子校というと、"女の子らしく"とか"目立っちゃいけない"というイメージを持つ生徒がいます。でも、芸術教科の指導を通して、生徒たちには、イメージからはみ出した部分こそが個性であり、そこを伸ばしていきたいと思ってほしいですね」

生徒が描いた自画像。

 中1の美術の授業の最初の課題が、自画像創作です。
 鏡と向き合って自分の顔をしっかりと観察し、目鼻や口などの部位にどのように光が当たって影ができるのか、髪の毛のつや、髪の結び方・編み方などの情報を集めていきます。
 そうやって集めた情報や、顔の角度や向きなどをどのように表現するのかは、生徒によりさまざま。「一つ一つの作品から、作者の性格が読み取れる」と、射庭先生は言います。

自分がケーキ屋になったつもりで、代表メニューをお客様(クラスメイト)にアピールする課題。

 紙粘土でケーキを作り、解説(おすすめ)メニューを付けます。粘土工作が苦手な生徒はメニュー内容を工夫するなど、表現方法はさまざまです。
 創作中は、市場調査のように、周りの人の作品と自分の作品を比べながら、自分だけが持つ独自の価値観や、自分の技術で魅力を最大限に引き出す表現方法を探っていきます。
 自分の作品に価値をもたせ、魅力を周りの人に伝えるというプレゼンテーションの作業を通じて、社会とのつながりかたや自分の能力の生かし方を学びます。

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