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私立中高進学通信

2019年特別号

中学入試のポイント

市川中学校

知識偏重ではなく「対応力」を試す入学試験
〜出題意図を正しく汲み取り、
身につけた知識を運用して答えを求めよ〜

入学試験問題は生徒の力を測る物差しであるのと同時に、学校が生徒に求めるメッセージがこめられています。市川中学校で国語、算数、理科、社会の入試問題作成に関わる4人の先生方に、入試問題についてお話を聞きました。

入学試験問題は生徒の力を測る物差しであるのと同時に、学校が生徒に求めるメッセージがこめられています。
市川中学校で国語、算数、理科、社会の入試問題作成に関わる4人の先生方に、入試問題についてお話を聞きました。

各教科の入試問題の特徴

各教科の入試問題の特徴について先生方に聞きました。

渋谷陽一先生国語科主任渋谷陽一先生
国語科主任

渋谷先生(国語)
市川の国語は、説明的文章と物語的文章を出題していますが、どちらもそれなりの文章量であるというのが特徴です。説明的文章では、初見の文章に対して前後のつながりをどれだけ読み取れるのかという論理力を、物語的文章では、状況の変化や登場人物の心情を読み取れるかを見ています。いずれの問題も、文章のつながりから重要な部分を読み取ることを受験生には期待しています。また、100字程度の記述を書くというのも特徴です。しっかりと読み取ったことをもとに、解答として的確に表出できるかどうかを見ています。

秋葉邦彦先生数学科主任秋葉邦彦先生
数学科主任

秋葉先生(算数)
算数の入試問題では、数学的な背景のある問題を、大問で1、2題は出そうと思っています。例えば、現在大学で実際に研究されている分野を、その知識を持たない小学生でも解けるように切り取って出題します。また、数や式に対する感覚、センスを持っているかを見抜ける問題を意識的に作っています。
市川を志望する受験生には、過去問をきっかけに算数に興味を持ち、入学してから数学の楽しさを勉強してほしいというメッセージをこめています。
数学的なセンスの中に含まれる図形の補助線の引き方は、練習問題を解くパターン学習で学べますし、素数や約数、倍数という数の性質みたいなものも問題を解きながら覚えていくでしょう。

長山定正先生 理科主任長山定正先生
理科主任

長山先生(理科)
理科の入試問題は、考えることを重視しています。知識があることは前提ですが、知識だけでは解くことはできません。問題文を読んで考え、推理しながら解いていく問題を心がけています。そうは言っても、特に難しいことを要求するのではなく、小学校で学ぶべきことを学び、やるべき実験を体験して、基本的な計算を身につけていれば解けるような問題だと思います。

本川梨英先生 社会科主任本川梨英先生
社会科主任

本川先生(社会科)
社会科は暗記でどうにかできると思っている受験生が多いのですが、新しいデータや資料と組み合わせて、持っている知識を使いながら考えるような問題を、地理、歴史、公民の分野で出題しています。
細かい知識は、ひょっとしたら歴史が好きな子どもは自分で本を読んで覚えたりするかもしれません。でも、マニアックな知識を追い求めるのではなく、普段の授業や使っているテキストから、「この出来事のために社会がどう変化したのか」などを考える習慣をつけてほしいですね。最近は受験生に限らず、解説や結論をすぐに求めがちな傾向がありますが、自分の頭で考えることを意識してほしいです。

"市川らしい"問題とは

過去問を例に、市川の「入試で見極めようとする力」について、先生方に話を聞きました。

渋谷先生(国語)
国語の今年の説明的文章は、サッカーとラグビーを比較して筆者なりの考えが述べられていくというものでした。それぞれの競技についてよく知っている子が有利ということはありません。あくまでも、2つの競技について筆者がどう論じているのかを問うています。
設問で図を使用していますが、図として捉えられるかどうかではなく、本文の説明、つまり論理展開をしっかりと整理できているかを見ています。この設問に限らず、どの問題も本文の展開に基づいて解けるものです。とにかく本文にのっとって解くことが大事です。

2018年度入試問題より

秋葉先生(算数)
ファレイ数列というテーマを使った問題です。この数列を作り出す操作をするときに起こる規則性を読み取れるかを問うています。この題材は、いろいろな学校が出題しているので、操作自体は経験をしている受験生も多いでしょう。ファレイ数列を知らなくても問題は理解ができますし、分数に対して普段の計算とは違う操作をしていますが、この分野に興味を持っている受験生はインターネットで調べて考えてくれるかもしれないと期待して出題しています。
分数の約分をわざとしないことで、分母の和にも規則性を作り出すことができます。そういう所を見つけられる生徒に入学してほしいです。

2014年度入試問題より

長山先生(理科)
市川の理科は、設問が徐々に難しくなっていき、計算が多いという点が特徴です。また、普段から身近なことに興味を持ってもらいたいという思いをこめています。
まずは問題文を読み、提示されているデータを読み取る力が必要です。この問題では、g(グラム)とL(リットル)の単位が混在していることを見分け、小学校で勉強したことをうまく使いこなせるかを試しています。知識はほとんど必要ありませんし、計算も比の性質を使えば解ける内容になっています。
ところで、この問題は1題解くのに15分くらいかかります。試験時間は40分間で4題あるので、一見して難しそうな問題は後回しにするなど、難易度を見極めて取捨選択する判断力も必要です。最近は課題解決力がキーワードになっていて、課題を見つけてどのように解き、どの課題を優先しなければならないかを考える力が重視されています。このように市川の入試では、教科の力のほかの力も測っています。

2018年度入試問題より

本川先生(社会科)
歴史のこの問題では、まず、〈資料1〉(古代)、〈資料2〉(中世)、〈資料3〉(近世)を読み、関所の役割をグルーピングします。その上で、各時代の関所が作られた目的と役割について説明します。受験生は、関所いうと「入り鉄砲に出女」のように近世の関所には治安維持や軍事的な意味があることは知っていると思いますが、古代や中世の知識はおそらくないでしょう。資料からそれを読み取って、知識と新しく得た情報を組み合わせて解く問題になっています。
記述式問題は毎年出題しています。条件に沿ってきちんと書けているかという、問題の読解力と歴史事項の理解力、そして文字数制限に合わせてまとめる文章力を見ています。

2018年度入試問題より

採点の舞台裏

採点をしていて気になることなどを先生方に聞きました。

長山先生(理科)
最近、採点をしていて思うのですが、問題文をあまり読まない子が増えていると感じます。受験慣れしているので、すぐに答えを出そうとするのですが、問われている本質まで読み取れていない。私たちもあえて逆をつくような問題を作っているので、最後まで問題文を読んでいたら、多分正解にたどり着けただろうと感じられる答案が多いのでもったいないと思いますね。

秋葉先生(算数)
算数は必ずしも記述問題を出題するわけではないので、途中式の過程を見ない年もあり、数字だけでは受験生の特徴を読み取りづらいところはあります。それでも、問題文を読まずに何が問われているかを把握しないで解いていると感じることはあります。例えば体積を求める問題でも、どの部分を含むかをきちんと理解していないと、正しい解答は出ません。

渋谷先生(国語)
国語は、選択肢が2~3行と長いことがあります。すると、本文には全く書かれていないが、常識や一般論で言われている選択肢が選ばれることがよくあります。あなたがどう考えるのかではなく、本文にどう書かれているかで判断してほしいですね。

本川先生(社会科)
社会科では、条件を読めない生徒は多いですね。関所の問題のように、まずは分類をしてから、役割を説明することを求めているのに、役割だけを説明する解答が多く見られました。自分が持っている知識を、出題者の条件に合わせて運用することが重要なので、練習問題に取り組む時はそのことを意識してほしい。
あと、正解の基準の線引きにはいつも悩みますね。もちろん正誤の基準は決まっていますが、私たちが想像できる解答の範囲は限られています。小学生の発想は豊かなので、"そういう観点も考えられるのか"と教員同士で議論になります。それが教員の栄養になり、学ばせてもらっています。

長山先生(理科)
確かに、この答えは正解にしてよいのかという議論で採点作業が止まることはよくありますね。

秋葉先生(算数)
論述問題など途中過程まで見る場合は、部分点をどうするかで教員同士で議論になることはあります。ただ、算数では基本的に、解答ができる問題を出題しているので、ほとんどの受験生はこう解くだろうという予想があります。ひねった問題よりは、解ける問題をどう書いてくるかを見ているので、難しい問題で記述をさせようとは思っていません。

渋谷先生(国語)
すべての教員が真剣に採点しているので、採点の議論は熱くなります。記述式の解答では、いろいろな表現が出てきます。ある程度想定はしているのですが、予想外のものは複数の辞書を用いて調べます。そうして調べる作業はどの教科にもある姿勢でしょうが、国語の教員は"思いを汲みたい"という気持ちが特に強いと感じますね。

市川を志望する受験生に向けて

先生方から、市川をめざす受験生へ、応援メッセージをいただきました。

本川先生(社会科)
社会科は暗記教科ではありません。市川では、頭を使って知識を正しく運用する姿勢を養うための授業やテストを行っています。豊富な知識ももちろんだけど、それを使っていけるような骨のある生徒さんをお待ちしているので、がんばって入試を突破してください。

長山先生(理科)
昨年度から理科は大問が7題から4題に変わりました。これは1つのテーマをじっくり考えてもらいたい、という考えからです。受験勉強でいろいろな問題を経験していると思いますが、入試では初めて見る問題が出題されることがあります。新しいテーマであってもヒントは問題文にあるので、じっくり読んで、習ってきたことを使い、推理して解答に反映させてください。

秋葉先生(算数)
数や図形に興味を持っている、素数などに興奮できるなど、数学が好きな子に来てほしいですね。入試問題にはそういう思いをこめて作っているつもりです。

渋谷先生(国語)
言葉にもっと興味と関心をもって、いろんな言葉を吸収してください。どの教科でも言葉は重要なので、言葉については受験勉強に特化せず、もっと自由に貪欲に目を向けてほしいですね。

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