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私立中高進学通信

2019年特別号

実践報告 私学の授業

埼玉平成中学校

埼玉大学と連携し、STEM教育の授業を導入。人間力を育む

STEM教育の授業の様子。各自が工夫して自動車をつくり、自動車を動かすためのプログラミングをする。

STEM教育の授業の様子。各自が工夫して自動車をつくり、
自動車を動かすためのプログラミングをする。

埼玉大学STEM教育センター准教授の野村泰朗先生埼玉大学STEM教育センター准教授の野村泰朗先生

 AI(人工知能)の進歩などにより、先を見通しにくい時代にあって、知識や技能をもとに主体的に考え問題を解決する「人間力」の育成する。そんな理念に基づく教育の一環として、同校では2019年度から中1年に、年間15回のSTEM教育の授業を導入しています。STEM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering (工学)、Mathematics(数学)を横断的に学ぶ教育です。STEM教育は、理数系の学びを重視した教育ととらえられがちですが、その本質は異なります。

 STEM教育は、理数科目教育やプログラミング教育を超えて、創造力や問題解決能力を育て、主体性を伸ばす総合的な教育システムです。人間力を育むための手法としてSTEM教育の導入を図った同校では、埼玉大学STEM教育センターに相談し、連携してカリキュラムを考案。両者の共同研究としての「STEM授業」を導入するに至ったのです。

 埼玉大学STEM教育センター准教授の野村泰朗先生は、次のように語ります。

「STEM教育の授業では、教科の授業とは異なり、生徒が課題にどう取り組むかは基本的に自由です。自分自身で、各教科で学んだ知識や技術を組み合わせて問題を解決することを体験します。発想としては、教科横断的な学びを実際の問題解決に役立てるということであり、教科を融合するという役割もあります。各教科の学びが大切であることを実感しまた、ものごとを数量的、科学的に考えることが必要であることにも気づかせます」

【授業レポート】「さまざまな材料を用い、自動車をつくる」
自由な発想で主体的な問題解決を

 コンピュータでプログラミングしながら、ブロックやモーターなどを使って自動車をつくります。身近なものが動くしくみを観察し、さまざまな材料を組み合わせて再現する狙いがあります。教科の授業と大きく違うのは、完成図や決まった正解がないことです。モーターが1個でも2個でも構いません。輪ゴムでもセロハンテープでも、自分が使えそうだと思う材料を使ってつくればよいのです。

さまざまな形のブロック、モーター、導線、金属棒などを使って、走る自動車をつくる。
こうでなければいけないといった“正解”はない。

野村先生は、例を示すことはあっても「こうしなさい」という言い方はしない。野村先生は、例を示すことはあっても「こうしなさい」という言い方はしない。

「今の子どもは手先が不器用ですし、すぐに正解を求めたがります。ものをつくろうとして観察したり、集中して取り組んだりすることで、主体的に問題解決できるようになってほしいと思っています。そのためには、がまんすることや、うまくいかないことを冷静にとらえることも必要です。この授業は、教科の授業とは違って、自分のペースでやっていいということにも慣れてほしいと思います」(野村先生)

 生徒の主体的な問題解決能力を伸ばすために、野村先生も、一緒に取り組む同校の教員も、安易につくり方を教えることはしません。ただし、ブルドーザーの動画を見せたり、野村先生がつくった自動車を例として見せ、「これを真似してつくってごらん」と言うことはあります。真似をするには、よく観察しなければなりません。真似することは科学の基本であり、そこに自分なりのアイデアを加えられればよいと考えるからです。

「小学校までに、正解はひとつという固定観念ができているのか、生徒たちは、まだまだ真似をしてものをつくることも上手ではありません。何年かかけてでも、そういう考えをほぐしていきたいと思っています。ただ、最近は『STEM教育の時間は楽しい』と言う生徒の声を聞きます。楽しく学ぶことは、この授業の狙いでもあるので、少しずつ変わってきているのかなという気もしています」(野村先生)

柔軟な思考力が発揮される場面も
先生も生徒とともに試行錯誤する。先生も生徒とともに試行錯誤する。

 授業は自由な雰囲気の中で進みます。黙々と集中する生徒もいれば、組み立てては壊すことを繰り返す生徒もいます。また、隣の生徒に部品を借りて、試行錯誤する生徒もいます。

 野村先生と共同でSTEM教育の授業に取り組む理科教諭の佐々木先生は、次のように語ります。

「STEM授業を導入して半年ほどですが、少しずつ生徒が変わっていることを感じます。初めは『STEMってなに?』というところからで、戸惑いもありましたし、PCルームに来ても指示を待っているだけでしたが、今は、言われなくてもコンピュータを立ち上げ、必要な準備をしておくようになってきました」

 時には、生徒の柔軟な発想に教員が驚かされることもあります。

「私も生徒と同じように、自動車づくりに取り組んでみましたが、私より先に完成させた生徒もいました。ギアを使ってより速く走らせようと工夫をした生徒もいました。モーターが1個のときはうまくできても2個になるとできない生徒や、その逆の生徒もいます。一人ひとりが違っていることに改めて気づかされました」(佐々木先生)

 2019年度のSTEM授業は中1生だけに導入されていますが、次年度は引き続き中2生と、新中1生にも導入され、取り組みが広がっていきます。

「今後は、科学コンテストやロボットコンテストに参加するといったことも考えていきたいと思っています。興味のある生徒をより伸ばせるような機会は大切にしていきます」(野村先生)

 STEM授業は始まったばかりの取り組みですが、今後も受け継がれ、同校の人間力育成に寄与していくことでしょう。

個性豊かな自動車ができた。

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