私立中高進学通信
2018年10月号
私学の英語最前線
目黒星美学園中学校
少人数制授業で基礎固め積極性と学ぶ姿勢も培う
大学入試を見据えて、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能を確実に伸ばす教育を展開。英語を使って交流する楽しみや、積極的な姿勢も学びます。

ネイティブ教員に学ぶ英語の授業。ただ英語を学ぶのではなく、
英語の表現力を伸ばすことで、豊かなコミュニケーション力を養います。
きめ細かな指導で諦めない姿勢が身につく
『グローバルな世の中を、言語力を武器にボランティアの精神で生きていく』女性を育てることをめざしている同校。英語ではどのような指導をしているのでしょうか。
同校は1クラス約30名ですが、中1・中2をⅠ期、中3・高1をⅡ期、高2・高3をⅢ期と分けて、Ⅰ期は英語と数学はクラスを2分割し、15名以下で授業を行っています。英会話の授業も実施していますが、こちらもクラスを2分割して、授業での生徒の発話数を多く保っています。
「本校ではⅠ期はとくに基礎学力を培うことを大切に指導しています。少人数であれば、内気な生徒も周りの目を気にせずに発言しやすいですし、授業にも集中できます。教員の目も行き届くので、つまずく前に指導ができます」
と、英語科の
こうしたきめ細かな指導に加え、英語学習への弾みをつけるのが、中1の5月に行われる2泊3日の『イングリッシュ・キャンプ』です。ネイティブ教員の指導のもと、英語を使ってさまざまなアクティビティに取り組んだり、自己紹介のスピーチの練習をしたりします。初めは緊張気味の生徒も、気がつけばネイティブ教員と笑顔で会話をするようになり、英語を使うことを楽しみ、モチベーションが高まるそうです。
授業が進むと英語のレベルにも個人差が出てきます。そのため、中1の1学期の中間試験後、もしくは2学期から、英語の授業は習熟度別とし、基礎クラスと発展クラスに分けて、それぞれの学力に合わせた授業を行います。定期試験後には取りこぼしのないように、テストで45点に満たなかった生徒には課題プリントが課され、35点に満たない場合には補習が行われます。
この補習は次の定期試験までの間に、英・国・数の3教科合計で10回ほど行われるので、わからないからと諦めるのではなく、少しずつでも理解できた喜びを感じることで、生徒は前向きに取り組むようになっていきます。長期休暇中にも少人数制で補習を行い、基礎をしっかり固めていきます。
確かな基礎力のもとにⅡ期で総合的に学力アップ
中2の11月には、これまで学んだ英語を実際に使う場として、ブリティッシュヒルズでの英語研修が行われます。Ⅱ期(中3・高1)になると、定期テストの総合点を基に、主要5教科の授業を学力に応じて2つの“グレード”に分ける習熟度別の『グレード制』となります。これに伴い、Ⅰ期(中1・中2)に行っていた放課後の補習は、希望制の『土曜特別講座』へと形を変え、普段の授業では扱わない高度な内容の講座が開講されます。今年度は生徒からの要望を受けて、基礎レベルの講座も開講しました。
さらに、今年度から中3を対象にオンライン英会話をスタート。週1回、1対1のレッスンで、スピーキング力とリスニング力を身につけていきます。
「ブリティッシュヒルズでは、英語が苦手な生徒が、『ネイティブの先生と会話したい!』という思いから、がんばって話し続けているうちに、だんだん苦手意識がなくなっていく姿が印象的でした。
オンライン英会話は1対1のレッスンなので、生徒はとても緊張していますが、懸命に英語を使って通じた喜びを感じています。このほか、朝読書で洋書を読んだり、速読の教材を使用するなど、高度化する大学入試に対応した英語力が増進する指導を行っています」(英語科/萩原秀一先生)
自分のことは自分で解決! 海外研修で積極性が身につく
中3以降には、培ってきた英語を使って英語力を伸ばす、さまざまな海外研修が用意されています。中3は3週間のカナダホームステイ、高1~高3を対象としたフィリピンボランティア研修、高1・高2はニュージーランドターム留学、オーストラリア交換留学もあります。
中3のカナダホームステイは、トロント郊外のコーリングウッドという街に3週間ホームステイをして、現地校に通います。
「ホームステイでは食事や洗濯など、何かしら対処すべき問題が発生します。現地には本校の教員が付き添いますが、教員は直接、助けることはせず、困っていることをホストファミリーに伝えられるように英語での言い方を教えて、生徒自身の力で解決できるようにアドバイスしています。
こうした経験を通して、生徒たちは難題だと思っていたことも、きちんと意見を主張すれば解決できることを学びます。自分が行動しないと何も変わらない。その経験が生徒を大きく成長させるのです。引っ込み思案だった生徒がホームステイやターム留学を経て、一皮も二皮もむけたように積極性を身につけることも少なくありません」
(萩原先生)
英検やGTEC(※)の外部検定試験で大学入試に向けた準備も整えていきます。中1から高2まで校内で英検の準会場受検を実施しており、中3で英検準2級を取得することが目標です。大学入試改革を意識し、GTECの検定試験も中1から高2まで、毎年2回実施しています。スピーキングテスト対策として、現在中3が受講しているオンライン英会話を、中3・高1・高2の3学年に拡大する予定です。
さまざまな取り組みにより、中高6年間を通して、入試で求められる英語4技能に加えて、英語のコミュニケーション力を身につける生徒たち。
「将来、自分の夢に向かい、臆することなく挑戦できる女性に成長できることを願っています」(萩原先生)
※GTEC…英語4技能検定。「Global Test of English Communication」が正式名称で、その頭文字をとっています。GTECのスコアを入試で活用する大学も増えてきています。
目黒星美学園の一貫教育 充実のプログラム

※1 中3からオンライン英会話。高1・高2は平成31年度から実施予定。高3は希望者制。
※2 高3はオフィシャルスコアの検定日に希望者は受検可能。
※3 中3(英国数)、高1~高3(英国数理社)。
POINT1
15名以下の少人数で基礎を徹底

1クラスを半分に分ける2分割授業により、豊富な発話数を確保。少人数なので先生の目が行き届き、発音練習なども手厚い指導ができます。1学期の中間試験後、もしくは2学期から英語のクラスを習熟度別に再編成し、基礎をしっかり学ぶクラスと、応用を交えた発展的な内容を学ぶクラスに分けて指導しています。
POINT2
さまざまな取り組みで英語4技能を磨く

大学入試の英語の問題は、年々、問題文が長くなり、1文1文和訳する癖がついていると入試では不利になるケースが増えています。そこで、中学3年間は朝読書と夏休みの課題に洋書を取り入れ、多読に慣れるよう指導しています。速読の教材を使った授業を行い、速読の力も養います。今年度から導入したオンライン英会話も非常に効果が高く、生徒のモチベーションアップにも一役買っています。
POINT3
高3の2学期まで続く英語語彙コンテスト
中1から高3まで、学期に1度、『英語語彙コンテスト』が全校一斉で行われます。1回のテスト範囲は300〜400語。その中から100問が出題され、1問1点で60点以上が合格です。不合格の場合は、90点以上取るまで何度も追試が行われます。こうして、大学受験に必要な単語を、中高6年間をかけて、じっくりと覚えていくのです。「90点取れるまで諦めずにがんばることで、自分に合う英単語の覚え方を習得していきます」
(満田先生)
(この記事は『私立中高進学通信2018年10月号』に掲載しました。)
目黒星美学園中学校
〒157-0074 東京都世田谷区大蔵2-8-1
TEL:03-3416-1150
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