私立中高進学通信
2018年10月号
実践報告 私学の授業
芝浦工業大学附属中学校
オリジナル教材で培うセルフマネジメント力
将来、必ず役立つ自己管理能力を育てる

ホームルームの時間に『芝浦HR学習ノート』の使い方を学ぶ中1のクラス。
“いいところ見つけ”で計画を立てる良さを知る

高校生や大学生、社会人になった時にセルフマネジメントの力を身につけ、未来をしっかり考えて歩んでほしい──。同校の学習支援活動やキャリア教育は、自律性をキーワードに大学入試改革を視野に入れたユニークな取り組みです。学習習慣の形成に役立つ『芝浦HR学習ノート』と、中2・中3でのキャリア形成教育がその柱です。
『芝浦
「中学以降は自分で計画性をもって勉強することが大事になります。このノートは、セルフマネジメント力を高めるため10年前から始めた試みです」
と、学習指導部の志村創先生は導入のきっかけを話します。
試験範囲を写し学習ポイントを分析、定期考査の学習計画、記録、分析と振り返りをPDCAサイクルで長く繰り返しながら、自律学習を促す「学習計画表」を作ります。保護者面談でこのシートを見ながら話をすると、生徒の今の状況がよく伝わります。
「重要なのは自分が2週間前から計画・実行したことの中で、何が効果を発揮したかを把握することです。『できなかったこと』より、先に『できたこと』を見つけることで次回に向けた前向きな振り返りができますし、自己肯定感も高まります」
この方法で早いうちからポジティブな気持ちで計画性を身につけておけば、勉強だけでなく課外活動や進路選択、英検などの資格取得においても役立つのです。
『芝浦HR学習ノート』には学習計画だけでなく、校外学習やものづくり講座、宿泊行事の記録と感想をまとめます。これらをまとめることで、高校で実施している「eポートフォリオ」にもつなげていきます。定期的に担任や行事担当者が確認、評価します。
未来設計を俯瞰するキャリア教育

AI技術の発達で「将来なくなる仕事」などがささやかれる現在、キャリア学習は今の生徒たちにとって、大切な意味を持ってきます。将来への道筋を見つめるため、中2は職業調べ、勤労観の醸成、キャリア学習に取り組む『ドリームロケット・プロジェクト』、中3は一歩踏み込んで自己探求とキャリアを結び付ける『アースコア・シップ』というオリジナル教材を独自に作成。道徳の時間を活用して、キャリア学習を進めています。
自己理解や自分の夢を見つめたり、社会にあるさまざまな職業や、世界の国々などについて調べたりしながら、将来への道を少しずつ見定めていきます。じっくりと自分の将来について考える機会となり、このキャリア教育の取り組みも、『芝浦HR学習ノート』で養うマネジメント力とともに、生徒の未来を支える大きな助けとなるはずです。
また、これらの取り組みは、将来の大学入試に必要となる電子学習記録「eポートフォリオ」(※)への準備にもなります。「eポートフォリオ」を効果的に使えるようになるためにも、中学段階から計画的に勉強する経験を積み、学習記録の蓄積と振り返りを行うことで、自分の未来を前向きに変えていく体験をさせることも狙いなのです。
※eポートフォリオ……学校行事や課外活動、日々の授業などを記録する学習記録システム。授業や行事での役割なども詳細に記入します。生徒を知る手段として、大学出願時に「eポートフォリオ」を提出するように求める大学が増えるとされています。
マネジメント能力養成
家庭学習の管理方法をしっかりと学び実行する『芝浦HR学習ノート』
1学期の期末試験を1週間後に控えた中1のクラスでは、ホームルームの時間に『芝浦HR学習ノート』を出して、テストに向けた計画を見直します。
「中1の段階では、自分で計画できる生徒、そうでない生徒のばらつきがまだ大きいです。ホームルームできめ細かに繰り返し指導することで、計画の立て方や学習習慣が身についていきます。友達同士でノートを見せ合ったり、話し合ったり、うまくいった方法を発表するなど、情報を共有しながら少しずつ慣れていくようにしています。友達のノートを見て“こんなに勉強しているんだ。自分も、もっとがんばらなければ”と刺激を受ける生徒も少なくないようです」(志村先生)
計画の立て方は、その生徒の性格や得意教科、生活リズムなど十人十色です。決まったやり方を押し付けるのではなく、自分を知り、自分に合った学び方を見つけることを重視しています。



キャリア教育
収入? それとも好きなこと優先?「働く理由」を考えてみる
中2の道徳の授業では、6時間をかけて未来設計図『ドリームロケット・プロジェクト』に取り組みます。自分の未来を見つめ、職業について理解を深める取り組みです。
取材当日は、職業調べの前段階として子ども向けキャリア教育サイト「13歳のハローワーク」を活用し、「自分は何のために働くか」を考えて、発表する取り組みが行われていました。オリジナル教材のプリントを使って、「働く理由」として優先することは何か、「自分の能力が活かせる」「高い収入が得られる」「好きなことができる」「失業しない」など8項目に順位付けをして、それぞれがその理由について発表しました。


(この記事は『私立中高進学通信2018年10月号』に掲載しました。)
芝浦工業大学附属中学校
〒135-8139 東京都江東区豊洲6-2-7
TEL:03-3520-8501
進学通信掲載情報

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