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私立中高進学通信

2018年10月号

実践報告 私学の授業

佼成学園中学校

数多くの「問い」を発見するフィールド探究活動

長野と東京の里山を比較して動植物や地形を観察
フィールドワーク探究活動を終えた後、質問に答えてくれた5人の生徒たち。

フィールドワーク探究活動を終えた後、質問に答えてくれた5人の生徒たち。

「問い」から探究テーマを決めて調査や研究を進めていく

 7月の朝、同校の中1生約100名はJR五日市線の武蔵増戸駅に集合しました。ここから徒歩で東京都あきる野市にある「横沢入里山保全地域」に向かい、フィールド探究活動を行うためです。里山とは適度に人の手が入り生態系が保たれた場所のことで、人と自然が共生しています。

 生徒たちはこの1週間前に長野県の車山高原や八島ヶ原湿原などを巡る2泊3日の「自然教室」を体験したばかりです。

「今回の里山での探究活動の目的は2つあります。一つは長野県の自然と東京都の自然を比較すること。もう一つは『なぜだろう?』という『問い』をなるべく多く見つけることです」(広報部/小林計彦先生)

 この探究活動ではルーペのついた観察カップやメモ用紙、首にかけられるボールペンを持ち、興味を持ったことは必ずメモを取るようにします。こうして発見した「問い」を整理して自分の探究テーマを決定。夏休みに、個人またはグループで調査を進め、その成果をプレゼンテーションソフトを使ってまとめます。そして9月の文化祭で中間発表。以降はその成果をもとに実験や観察、調査を進めていきます。

「常に疑問を抱く習慣を身につけ、その疑問の答えを見つけていくプロセスの楽しさを実感してもらえたらと思っています」(英語科/北野尚之先生)

東京の昆虫が大きいのは気温や標高に関係するのでは?

 フィールドワークを終えた生徒5人に、どんな「問い」が見つかったのかを聞いてみました。

「長野の山と違って、東京の山頂から見た景色は家屋ばかりでした。なぜ、自然が少ないのだろうと思いました」

「長野で見たアメンボはその影が水面に写っていましたが、この里山で見たものは足のまわりに丸い不思議な影が映っていました。何なのか調べてみようと思います」

「長野には切り取られたような形をした石がありました。この里山でも同じような石を見つけたので、ガイドさんに聞いたところ、『人が削り取った跡なんだよ』と教えてもらいました」

「長野ではバッタなどの小さい昆虫ばかりを見ましたが、東京の里山は暑いせいか、ショウリョウバッタやオオカマキリなど大きな昆虫をたくさん見ました。大きさの違いは気温や標高の差と関係があるのかもしれないと思いました」

「長野にはイワナなどの川魚がいましたが、この里山にはドジョウなどの小魚しかいませんでした。なぜなのかと疑問に思いました」

Field 001
採石場跡に生まれた池を訪れ池に生息する生物を観察

 横沢入は東京都で初めて「里山保全地域」に指定された場所。田畑や雑木林、湿地など、人と自然が共生する環境が見られます。

 この里山で生徒は、FIT(森林インストラクター東京会)のガイドの方々の案内により、フィールドワークを体験しました。休憩所となった東屋を出発して、生徒がめざしたのは石山池です。この池は室町時代から江戸時代にかけ、約500年間にわたって伊奈石と呼ばれる石を切り出していた場所。伊奈石は石臼や墓石に使われていたそうです。

 石山池は、このように採石が行われた結果、生まれました。奥行き約100m、幅約40mの人工的な谷の底にあり、周囲は切り立った崖になっています。この池は枯れることがありません。池の中にはトウキョウサンショウウオやモリアオガエルのオタマジャクシなど、さまざまな生物が生息しています。

山に入る前にガイドの方から植物の説明を聞く生徒たち。山に入る前にガイドの方から植物の説明を聞く生徒たち。
伊奈石の採石場跡にできた谷と石山池。人の手によって、この巨大な空間が生まれました。伊奈石の採石場跡にできた谷と石山池。人の手によって、この巨大な空間が生まれました。
石山池で見つけたアカハライモリを観察。お腹が赤いためにこの和名がつけられたそうです。石山池で見つけたアカハライモリを観察。お腹が赤いためにこの和名がつけられたそうです。
Field 002
樹林帯の中を散策してガイドの方から植物の説明を聞く

 石山池を調べた後は、北西にある天竺山をめざします。この山は「横沢入里山保全地域」の最高峰で、標高は310mです。

 天竺山の頂には三内神社の奥社があります。御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)や少彦名命(すくなびこなのみこと)など。昔からこの地域に住む人たちと密接に関わってきた神社です。

 頂上の東側からは、東京の街並みが見えました。ここから石でつくられた階段を下り、針葉樹や広葉樹の混じった樹林帯の中を散策。その途中、ガイドの方が植物について説明します。実際にサンショウの葉を手に取り、その香りを生徒に嗅がせて何の葉だと思うか聞いていました。生徒はこうしたフィールドワークの中で「問い」を見つけていきます。

 下山後は、東屋に戻ってお弁当を食べた後、湿地帯や小川のフィールドワークに移りました。

天竺山の山頂に到着した生徒たち。この日は猛暑のため生徒たちは水分を補給しながら、元気いっぱいに歩いていました。天竺山の山頂に到着した生徒たち。この日は猛暑のため生徒たちは水分を補給しながら、元気いっぱいに歩いていました。
これはシダの葉です。この植物は種ではなくて、胞子によって増えます」とガイドの方が教えていました。これはシダの葉です。この植物は種ではなくて、胞子によって増えます」とガイドの方が教えていました。
湿地帯の生物を観察する生徒たち。池の中をのぞき込むと、たくさんの生き物がいることがわかります。湿地帯の生物を観察する生徒たち。池の中をのぞき込むと、たくさんの生き物がいることがわかります。
Field 003
「問い」が多ければ多いほど探究心が芽生えていく

 トンボの幼虫であるヤゴ、アメンボなどの昆虫、メダカなどの小魚、オタマジャクシ、タニシやカワニナなどの巻き貝…。生徒たちが訪れた湿地帯にはたくさんの生き物が生息していました。中でもカワニナは注目すべき貝でしょう。ホタルのエサとなるため、カワニナがいれば、ホタルもいることを意味します。

 次に訪れた小川では、ザリガニやドジョウを見つけることができました。生徒は、こうした生き物を網ですくい、ケースに入れて観察しながら、その体に触れてみます。

「ドジョウを触ったら、すぐに手を離してください。ドジョウにとって、人間の手は熱すぎるからです」とガイドの方が説明します。生徒にとってはどれも新鮮な体験で、知的好奇心が刺激されます。目を丸くしながら「問い」をメモに書き込んでいきました。「問い」が多ければ多いほど「調べてみよう」という探究心が芽生えていきます。

この探究活動では、肯定文を疑問文に変換して「問い」を見つけます。「この池にザリガニがいた」であれば「なぜ、この池にザリガニがいるんだろう?」と変換していくのです。この探究活動では、肯定文を疑問文に変換して「問い」を見つけます。「この池にザリガニがいた」であれば「なぜ、この池にザリガニがいるんだろう?」と変換していくのです。
池から採取したコミズムシを観察する生徒。水中を上下して動く様子が風船に似ていることからフウセンムシの名でも親しまれています。池から採取したコミズムシを観察する生徒。水中を上下して動く様子が風船に似ていることからフウセンムシの名でも親しまれています。

(この記事は『私立中高進学通信2018年10月号』に掲載しました。)

佼成学園中学校  

〒166-0012 東京都杉並区和田2-6-29
TEL:03-3381-7227

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