私立中高進学通信
2018年9月号
目標にLock On!! 私の成長Story
麗澤中学校
クラスメートとの濃密な日々を通して得た
成長と気づきが、未来を切り拓く原動力に

京都大学 教育学部 教育科学科
OB 3年浦田晃正さん
クラスメートとの出会いが大きな転機になった
創立者が提唱した道徳科学「モラロジー」に基づく知徳一体の教育を基本理念に掲げ、「心の力」(感謝の心・思いやりの心・自立の心)を伸ばすことで次代を担う人材を育む同校。現在、京都大学教育学部の3年生である浦田晃正さんにとって、そんな同校での6年間で得た一番の財産は、「高2・高3でのクラスメートとの出会い」だと話します。
「国公立大学の理系をめざすクラスで、雰囲気が良くて大好きでした。とくに、クラス全員が団結して臨んだ体育祭や文化祭(麗鳳祭)が印象に残っています。高3の体育祭では進行委員のリーダーを務めるとともに、初めて軍対抗リレーのアンカーを経験しました」
と、笑顔で振り返ります。そして、クラスメートと心を通わせる濃密な日々は、浦田さんの心に大きな変化をもたらしました。
「その当時に強く意識していたわけではありませんが、今思えば、そのクラスで過ごす以前の私は、さりげなく心遣いを見せるなどの振る舞いができない自分を、あまり好きになれずにいたのです。
でも、2年間を通してクラスメート一人ひとりの個性に触れ、自分の個性も明確になっていくなかで、自分と他者の短所を受け入れることができるようになっていったと思います」
そんな自分自身の変化を確信したのは、卒業式の日だったと言います。
「1人ずつ1分間のスピーチをする機会があり、私は担任の先生と、中高時代に見つけた宝物について語ると約束をしていました。スピーチの直前までとくに思い浮かばなかったのですが、気づけば『自分が宝物』と自然に口をついていました。家族、先生、友人に恵まれて、大切にしたい人がたくさんいる。そのためにも、まずは自分自身を好きになり、大切にしたい。そんなふうに考えていることを自覚し、『自分は変わったな』と思いました」
浦田さんの大きな成長は、同校の「心の力」を育む教育を体現するものと言えるでしょう。
人として成長するために高3冬に志望大学を変更

中高6年間を通じて、野球部に所属していた浦田さん。「練習に励むためにも補習は避けたい」との思いから、日々の勉強を大切にしていたそうです。小学生の頃から教員になりたいと考えてはいたものの、具体的に進路を決める段階において鍵となったのは、大切なクラスメートの存在だったと言います。
「私は学校が大好きで、楽しい面ばかりを見ていました。ただ、クラスメートとの距離が縮まるなかで、誰にでも辛い時期があったり、悩みがあったりするという現実を目の当たりにしました。たまたま自分には試練と感じる経験がなかっただけで、ほとんどの人がそうした時期を経験し、乗り越えているんですよね。そう気づいた時、それまでは『自分のように楽しい学校生活のなかで成長させてあげたい』という思いばかりが強かったのですが、それだけではなく、『壁にぶつかった時に支えてあげたい』という気持ちが芽生えました。そこで、地元の心理学を学べる教育学部を探し始めました」
この志を新たな起点として、浦田さんは高3の12月、一つの大きな決断を下しました。当時の浦田さんの学力では難しいとされていた、京都大学への挑戦です。
「きっかけは、日に日に高まっていく『挫折や努力を経験しないまま教員になっていいのか?』という思いです。あまり苦労することなくここまで来ましたが、このまま教員になった時、子どもたちの気持ちを考えて向き合えないのではないかと考えるようになりました。そこで担任の先生に相談し、あえて志望校を、『ここで心理学を学びたい』と思っていたけれど、模擬試験でも合格の見込みが薄く、 “越えられない壁”かもしれない京都大学に絞ったのです。両親にも思いを伝え、浪人の覚悟をしたうえでチャレンジしました」
そこからは、受験勉強の質・量ともに大きく変わったそうです。過酷な日々の支えとなったのは、担任の先生の計らいで実現した各教科の個別指導と、やはりクラスメートの存在でした。
「毎日学校へ行き、後期試験まで仲間とともに勉強に励みました。みんなの勉強する姿に刺激されてモチベーションが高まりましたし、通学時間や友人と話すひとときはいい気分転換になりました」
結果、本人の予想は良い意味で裏切られ、京都大学への現役合格を果たしたのです。
視野を広げられたからこそ見出せた、新たなる道
浦田さんが現在所属しているのは、教育心理学系。ゆくゆくは臨床心理学を専攻し、中高生の心理について研究したいと考えているそうです。
「心理学を学んでさらに視野が広がったことで、学校が楽しくない、学校に行きたくないと感じている子どもたちに目を向けるようになりました。公認心理師の資格を取得し、教員という仕事にこだわることなく、何らかの形でそのような子どもたちに寄り添いたいという思いが強くなってきています」
そんな浦田さんが大切にしている言葉は、「自分らしく」。これはセンター試験の前日、一人ひとりがクラスメートに向けてメッセージを贈る際、浦田さんが選んだ言葉です。近い将来接することになる子どもたちに贈る言葉でもあるのでしょう。
「心理学の専門知識を持った人物による支援を必要としている子どもは、決して少なくはありません。目標は、そんな中高生の心に寄り添い、少しでも人生を前向きにとらえることができるように、あるいは日々の生活に楽しみを見出せるように、手助けができる存在になることです。その実現に向かう今の自分があるのは、先生はもちろん、生徒も心やさしい人ばかりで、学校にいるだけで安心できる、麗澤ならではの雰囲気に包まれて過ごしたからこそだと実感しています」
恩師からの応援メッセージ
仲間と最後まで走り抜けた学生生活
教育問題解決の夢へ向かってエール

教員からのアドバイスを素直に受け、そのうえで自分自身を客観的に分析して行動できる生徒でした。他者への思いやりがあり、クラスメートの誕生日にはユーモアたっぷりにお祝いすることも。前期試験で合格した後も、後期試験に向けて学習する仲間と最後まで教室で真剣に学習を重ねていました。昨年度、本校の中2生が関西研修旅行で京都を訪れた際には、講話を行って後輩たちにエールを送ってくれました。大学での学びを通して、これからの教育問題の解決に向けて活躍してくれることを楽しみにしています。(諌山佳子先生)
(この記事は『私立中高進学通信2018年9月号』に掲載しました。)
麗澤中学校
〒277-8686 千葉県柏市光ヶ丘2-1-1
TEL:04-7173-3700
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