私立中高進学通信
2018年9月号
The Voice 校長インタビュー
横浜女学院中学校
「愛と誠の人間教育」
人は人の中でこそ育つ

平間 宏一 (ひらま・こういち)校長先生
1957年生まれ。大学卒業後、横浜女学院へ。25歳で病に倒れた父親の会社を継ぐため離職、
その後、再び横浜女学院へ。英語科主任、国際教育部長、広報部長、教頭、副校長を歴任し、2015年より現職。
女子の特性に合わせた教育をめざして
本校は中高6年間を女子生徒だけで過ごす、いわゆる女子校ですが、私には “女子には女子に向けた教育がある”という思いがあります。
ある脳科学者の話によると、共感性や社会的な行動をつかさどる脳の機能の発達は、ちょうど思春期あたりから始まるそうです。一つは「思いやり」の領域。二つ目は「合理性の判断」をする領域、三つ目は「場の空気を読んで振る舞いを決める」領域だそうですが、三つ目の領域については、女子のほうが発達が早いことがわかっているそうです。また、これらの発達を促すには、しっかりと食べて寝ることに加え、良質な刺激、他者との良質なコミュニケーションを多くとることが望ましいと言われています。
成長を促す良質な刺激良質なコミュニケーション
中高の生徒たちにとって、学校はまさに、こうした刺激、コミュニケーションを得るのに格好の場ではないでしょうか。人は支え合わなければ生きていけません。人と共に生きるためには、社会性を身につけることが必要です。そして、さらに知性と品性を備えた女性へと成長するためには、良質な刺激と良質なコミュニケーションを日々、経験することが、大変重要になるわけです。
6年間という学校生活は、学業の成長だけでなく、さまざまな出会い、体験、チャンスにあふれています。机上で学べることは、人生のほんの一部でしかありません。部活動や課外活動、また、学校行事を通じて得る知恵、経験こそが、生徒たちにとって、かけがえのない力になると思います。
連携から学び、考える強くやさしい女性に

女子生徒の場合は、共感性を大事にすることが多く、つながりを非常に大切にします。後輩を、まるでわが子のようにかわいがる上級生がおり、東日本大震災の時などは学校で待機している生徒たちの名簿を上級生自らが作り、親鳥のように抱きしめて励ます姿が見られました。
普段の学校行事でもこうした傾向は見られ、体育祭も学年を越えた連携、連帯が見られます。
恒例種目に「棒倒し」という競技がありますが、生徒たちは本気でこの競技に挑むため、毎年けが人が絶えませんでした。本気で取り組むのはとても良いことなのですが、やはり、けがをしてしまうのは良いことではありません。そこで、生徒たちに、もし、競技を存続させたいのならば、安全に行える方法を考えなさいと伝えました。
生徒たちは自主的に学年を越えた話し合いの場を持ち、いろいろな意見を出し合い、一気に攻め込むスタイルから、攻める人数をあらかじめ決めるルールを考え、私たち教員に提案してきました。
一つのものごとがうまくいかなくなった時にどうしたらよいのか、今回は体育祭の競技での壁でしたが、このような経験を通して、ものごとにぶつかった時、代替案を出すという思考力を身につけていると感じました。
母校は一生の憩いの場
横浜女学院の学校目標
- 共生教育
- キリスト教教育
- 学習指導
不思議なことに、本校の生徒たちは学院を巣立った後も、折に触れて学校にやってきてくれます。留学、結婚、出産、うれしい時、人生に迷いを感じた時などに立ち寄ってくれるのです。
今日も一人、「子どもが生まれました」と教員に会いにきてくれた卒業生がいました。私立の学校ですから、教員の異動もほとんどありません。お世話になった先生に会いたい時は、学校に来れば必ず会えるというのも、巣立った彼女たちを支えているのかもしれません。
今年の体育祭での生徒によるスピーチに、「女学院に関わるすべての人々と出会えて、私は女学院に入って良かったと心から思います」という言葉がありました。卒業してからも、中高の6年間で育まれた絆と思い出は、きっとなくならないのだと思います。その絆を育て、サポートし、いつまでもつながりを大切にし続ける学校でありたいと思っています。

[沿革]
1947年、金子正氏が、1886年創立の横浜千歳女子商業学校と1943年創立の神奈川女子商業学校を合併して創立。プロテスタントのキリスト教の精神による女子教育を行ってきた。校訓は、イエス・キリストの教えである『愛と誠』。校章は父・子・精霊の三位一体と信仰の盾を図案化している。
(この記事は『私立中高進学通信2018年9月号』に掲載しました。)
横浜女学院中学校
〒231-8661 神奈川県横浜市中区山手町203
TEL:045-641-3284
進学通信掲載情報

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