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私立中高進学通信

2018年8月号

私学の校外学習・学外交流

目黒学院中学校

東日本大震災の経験を学び防災意識を高める

東日本大震災研修
大槌町で建設中の高さ11mの防潮堤。黒い部分は震災時も建っていたところで、高さは6mあります。6mの高さでは津波を防げなかったことに、生徒は驚いていました。

大槌町で建設中の高さ11mの防潮堤。黒い部分は震災時も建っていたところで、
高さは6mあります。6mの高さでは津波を防げなかったことに、生徒は驚いていました。

防災意識を高め、自分たちに何ができるか考えるきっかけになっています。

津波の被害を受けた旧大槌町役場を見学する生徒たち。現場を実際に訪ねることで、震災の被害の大きさがわかります。津波の被害を受けた旧大槌町役場を見学する生徒たち。現場を実際に訪ねることで、震災の被害の大きさがわかります。

 2011年に発生した東日本大震災後、同校は目黒区の第二次避難所(一般の避難所より介護しやすい環境の施設)に指定されました。これをきっかけに、先生方は生徒たちに防災の意識を高めるための取り組みを始めました。

 中1生は、都内の防災施設の見学や消火訓練、学校周辺の帰宅マップの作成や、仮設トイレの組み立て実習、AED(自動体外式除細動器)の使用、備蓄米を使った料理実習といった防災学習に取り組みます。

 中2生は全員が、2泊3日の東日本大震災研修で遠野市・大槌町・釜石市・大船渡市を訪ね、被災者や支援者と交流します。遠野市は震災時に後方支援の拠点となった場所です。ここで防災センターの職員の方から、後方支援の内容を学習し、災害時に中学生ができる支援について考えます。大槌町と釜石市、大船渡市では、震災のつめあとや復興の状況を目の当たりにし、被災された方々の体験談を聞いて、地震の恐ろしさや防災の大切さを学習します。

 研修中、生徒たちは「津波が発生した現場にいたら、自分たちに何ができたのだろう」「首都直下型地震が起こったら、どう動くべきだろう」と考えます。体験や気づきは各自が新聞の形にまとめるなどして、梧林祭(文化祭)などで発表します。研修に参加した生徒の防災への意識が高まるのはもちろん、その大切さは後輩にも受け継がれていくのです。

生徒にインタビュー
驚きや発見がいっぱい!被災地で見たこと聞いたこと
東日本大震災研修に参加した中2生に話を聞きました。

――岩手県が東京と違うと感じたことは何ですか。

「人が少ないことです。それに、情報が入りにくいように思いました。地震のときは正確な情報が伝わらなくて大変だったと聞きました」

「釜石市では若い人の多くが、昼間は町の外で働いています。震災時、町にいたのは子どもとお年寄りがほとんどで、中学生が年下の子どもたちをリードして避難したと聞きました。自分にはできないのではないかと思いました」

――災害時の行動で気づいたことは何ですか。

「中1の防災学習で、災害時は被害や避難状況を模造紙に書いて壁に貼り、情報をみんなで共有すると教わりました。東日本大震災のときにもそれが実行されていたそうです。東京で災害が起きたときは、自分たちが勉強していることを役立てたいです」

「家族の間で避難場所を決めていなかったために家族を探していて津波に流されたと思われる人や、避難訓練をしていなかったために逃げ遅れたお年寄りの方がいたそうです。普段から避難訓練に真剣に取り組み、決め事は確認しておくことが大事だと思いました」

――復興の進み方を見てどう思いましたか。

「建物の数が少なく、空き地や更地になっている所が目立ちました。いろんな所で工事をしていて、復興はまだ途中だと思いました」

「漁師さんから、津波のために水質が変わり、震災前はたくさんのサケがとれた川に、サケが戻ってこなくなったと聞きました」

「震災前はホヤを韓国に出荷していたのに、現在は同国が輸入を禁止して売れなくなっていると聞いて、大変だと思いました」

遠野市で農林業体験と防災を学ぶ

 震災前は、福島県飯舘村で農林業体験をする研修を計画していましたが、同村が避難指示区域となり、さらには同校が第二次避難所に指定されたことから、震災時に後方支援の拠点だった遠野市で農林業体験と、支援について学ぶ研修が2016年から始まりました。

防災センターでの講義の様子。事前学習で準備した質問を職員の方に問いかけるなど、生徒の姿勢は積極的です。防災センターでの講義の様子。事前学習で準備した質問を職員の方に問いかけるなど、生徒の姿勢は積極的です。
農林業体験の一つである薪割りに挑戦する生徒たち。薪が重たくて、運ぶのが大変だったようです。農林業体験の一つである薪割りに挑戦する生徒たち。薪が重たくて、運ぶのが大変だったようです。

被災者との交流で震災の実態を学ぶ

 大槌町では災害の体験談を聞くだけでなく、町役場の職員の方へ中1で行った防災学習の成果を発表しました。職員の方からは「教えるつもりが反対に勉強になりました」と感想をいただく場面もあり、学んだことが身についた実感がありました。釜石市や大船渡市三陸町綾里で津波の被害や現在の暮らしについても話を聞きました。体験者の言葉は、生徒の心に重く響いています。

大船渡市三陸町綾里の漁港を見学。イカやホタテなどの名産物のバーベキューを楽しむ時間もありました。大船渡市三陸町綾里の漁港を見学。イカやホタテなどの名産物のバーベキューを楽しむ時間もありました。
釜石市では震災時の映像を見ながら、被災された方の体験談を聞きました。釜石市では震災時の映像を見ながら、被災された方の体験談を聞きました。
研修を通じて授業で学んだことがさらに深まる
稲垣 圭一 先生中2担任
稲垣 圭一 先生

 本校は、目黒区の第二次避難所に指定されていることもあり、中1から防災学習の時間を設け、生徒たちに防災への意識付けをしてます。また、災害発生時に避難してきた方々への対応や、生徒たちにできることを学習するために、東日本大震災研修を実施してます。

 研修では、普段の学校生活では出会えないさまざまな人と交流し、各地で被害の大きさや復興状況を見学します。この体験により、授業の一つとして参加していた防災学習が実用的なものとしての意義を持つようになり、生徒たちの防災への関心を高めているように思います。復興状況に合わせて訪問先や内容を調整しながら、よりよい研修になればと考えています。

(この記事は『私立中高進学通信2018年8月号』に掲載しました。)

目黒学院中学校  

〒153-8631 東京都目黒区中目黒1-1-50
TEL:03-3711-6556

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