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私立中高進学通信

2018年8月号

実践報告 私学の授業

桐朋女子中学校

音楽・美術・書道を学び芸術的感性を育てる

創造性を育て表現する力を養う
中3の美術の授業。デッサン室、デザインルーム、工芸室など、創作に専念できる環境が整えられています。

中3の美術の授業。デッサン室、デザインルーム、工芸室など、創作に専念できる環境が整えられています。

芸術教科で育まれる感性は他教科にも影響を与える

『こころの健康 からだの健康』をモットーとする同校では、時代をリードする創造性豊かな女性の育成をめざしています。その取り組みの一つが、独自の芸術科目のカリキュラムです。

「音楽」「美術」「書道」の3つを芸術科目とし、中1では音楽を週2時間、美術を週2時間、書道を週1時間、中2では音楽と美術をそれぞれ週2時間学びます。

 中3では3科目から主専攻として1科目を選択。1年を通して、週2時間学びます。このほか音楽、美術、書道の共通カリキュラムを1学期ずつ、週1時間学ぶ副専攻も設けています。このように芸術科目にたっぷりと時間をかけることで、一般的な中高の学校教育の枠を越えた学びが可能となるのです。

 例えば、音楽ではヴァイオリンなど本物の楽器も用いて、オーケストラ作品の演奏に挑戦します。美術ではデッサンの基礎から水彩画、デザイン、彫刻に取り組み、書道では楷書や行書のほか、てん書や隷書、草書など多岐にわたる書体を学ぶことができます。

「中3で芸術科目に週3時間もの授業時間数を設定している学校は多くないでしょう。本校では、芸術の授業を通して、国語や英語、数学といった他教科にも関連する感性が育まれると考えています。授業で培った芸術性は学校行事や日々の生活にも関わってきます。時間をかけて生徒の感性を育てていきたいと考えています」
(芸術科・美術/瀧田義たきためぐむ先生)

芸術的な素地を持つことでその後の人生を豊かに

 高1になると音楽、美術、書道のいずれかを選択、高2からは自由選択となり、「音楽特講」「素描特講」も含めた中から選んで学ぶことができます。高3ではさらに芸術科目が豊富になり、「西洋美術史特講」「日本美術史特講」「総合芸術」など10科目の中から選択して履修できます。

 こうした芸術の授業を可能にしているのが、豊富な経験を持った教員陣です。音楽科9名(うち専任2名)、美術科6名(うち専任2名)、書道3名(うち専任1名)が生徒の指導にあたります。

 同校から東京藝術大学や武蔵野美術大学、多摩美術大学、桐朋学園大学、国立音楽大学などの芸術系の大学に毎年入学者を出しているのは、こうした指導の賜物です。

「芸術系の大学に進まなくても、作品を作ったり音楽を奏でたりすることは、人間らしく豊かに生きていくために必要な素地であると考えています。芸術科目に取り組むことで、自分を表現する力を育みます。それこそが生徒の将来を形づくる力となり、大人になってからも人生を豊かなものにしてくれるでしょう」

音楽
合唱・器楽・合奏・ヴァイオリンの授業を通して表現力を高める

 中3の主専攻で「音楽」を選んだ生徒たちは、3つのグループに分かれてヴァイオリン、合唱、器楽の授業を受けます。

 ヴァイオリンでは、少人数の生徒に先生が1名つき、「キラキラ星」の変奏曲を練習。その後、個人練習では先生が一人ひとりを見て回り、弓の動かし方や弦の押さえ方を細かく指導しました。

 合唱は谷川俊太郎作詞による合唱曲「春に」を練習。詩に描かれた感情を、声の強弱や言葉のアクセントで表現していきます。

 器楽の授業では、キーボードをはじめ、本物の弦楽器や管楽器、打楽器を生徒が担当し、合奏します。32台のキーボードのほか、学校が持つ数々の楽器が授業でも使われています。

先生がていねいに指導するので、ヴァイオリンに初めて触れる生徒も安心です。先生がていねいに指導するので、ヴァイオリンに初めて触れる生徒も安心です。
声による表現力を身につける合唱の授業。声による表現力を身につける合唱の授業。
器楽の授業では、楽器経験者はより高度な内容を学びます。器楽の授業では、楽器経験者はより高度な内容を学びます。
美術
絵画、立体造形、平面構成を学びデッサンや造形で実践
絵画の授業では、光の当たり方や瓶への映り込みなどをよく観察して、作品に反映させます。絵画の授業では、光の当たり方や瓶への映り込みなどをよく観察して、作品に反映させます。

「美術」では、前期に絵画、立体造形、平面構成の3分野をすべて学び、後期はそのうちの1つを選択します。

 絵画は飲料が入った瓶のデッサンです。下描きをしたら、それに水彩絵の具で色をつけていきます。瓶の形、シルエット、ラベルや瓶に写り込んでいる周囲の景色、影のでき方など、先生の指導を受けながら作品を完成させていきます。

 立体造形は針金による動物づくり。図鑑を参考にしてスケッチを描き、それをもとに針金を曲げて輪郭を作っていきます。胴体が完成したら耳や脚、しっぽなどのパーツを作り、動物を立体的に仕上げていきます。

 平面構成ではデザインを学びます。二点透視図法を使って直方体を描き、彩色まで行います。

 いずれの授業でも、昨年度の作品が参照できるように置かれており、生徒の制作意欲に刺激を与えていました。

先輩の作品を参考にしながら、自分なりの作品を仕上げていく生徒たち。先輩の作品を参考にしながら、自分なりの作品を仕上げていく生徒たち。
二点透視図法により、遠近感のある表現を学びます。二点透視図法により、遠近感のある表現を学びます。
書道
古典を学び、書の世界に親しみ書風を確立して作品へと高める

 書の表現の多様性を学ぶ「書道」の中3の主専攻。授業ではプリントを配布して、書の歴史や表現技法についても学びます。

 この日は、まずプリントを使って楷書文字の概形を学び、練習しました。翌週に定期試験を控えていたため、習った内容を講義形式で復習するとともに、初唐の三大家の書のそれぞれの特徴を捉えて「青雲大志」という文字を書く倣書という練習をしました。

 筆の角度など書風をまねるコツを聞きながら、作品に挑む生徒たち。「書けば書くほど、自分の中でその書風が確立されていくので、何度も練習してね」と先生に励まされ、熱心に筆を動かしていました。

「デジタル化が進み、書道に触れる時間が昨今は減ってきています。自分で字を書き、作品にまで高めていくという時間はとても貴重です。今後も大切にしていきたいと考えています」

 と瀧田先生は書道の時間の意義を話します。

見本の書の特徴を出すために、筆の角度まで指導します。見本の書の特徴を出すために、筆の角度まで指導します。
唐の初めの三大家の書を学び、それに倣って作品を書きます。唐の初めの三大家の書を学び、それに倣って作品を書きます。
進学通信2018年8月号
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